はじめに|メールにAIを使う前に知っておくこと
一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2026」は、仕事でメールを使う1,293名に、2026年4月に聞いた調査です。1日の平均は、送信12.27通・受信46.49通でした。1通にかかる平均時間は、書くのに6分19秒、読むのに1分39秒です。どちらも過去4年間で最も長くなっています。協会は、メールの読み書きだけで1日2時間半以上を使っている計算になる、としています。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| メール作成や返信で生成AIを使うことが「ある」 | 63.96% |
| 使う目的:表現の調整(丁寧にする、柔らかくするなど) | 53.2% |
| 使う目的:長文や複数メールの要約・整理 | 30.96% |
| 使う目的:メール作成・処理時間の短縮 | 28.42% |
| 使っている人のうち、直したり、参考にして自分で書いたりして送る | 97.34% |
| 返信が遅れる最大の理由:内容の精査や情報の収集に時間がかかる | 46.83% |
返信が遅れる理由の1位は、文を打つ手間ではなく「内容の精査や情報の収集」でした。そこでこの記事のプロンプトは、文章を整えるだけでなく、何を書くかの材料を人が先にそろえ、AIはその材料だけで書く形にしています。
会社の側の数字もあります。総務省「令和8年版 情報通信白書」で、日本の企業に業務ごとの生成AIの活用を聞いた結果、「議事録・メール作成補助」は次のとおりでした。活用の効果を感じる割合は72.3%で、白書が並べた業務の種類(社内ヘルプデスク、営業・販売、経理・財務など)の中で最も高い値です。
| 答え | 割合 |
|---|---|
| 業務プロセスがAI中心に変更されている | 11.3% |
| 部署内の特定業務で活用している | 24.7% |
| 従業員が個人作業の効率化で活用している | 35.2% |
| 未導入 | 17.5% |
| わからない | 7.8% |
| 社内に該当業務はない | 3.4% |
「個人作業の効率化」が35.2%で最も多く、会社として決まった使い方になっている所は多くありません。社員がそれぞれ自己流で使っている段階から、会社の型にそろえるのが、この記事の16のプロンプトの目的です。
どのプロンプトにも入れる6つの項目
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 1. 役割 | AIに誰の立場で書かせるか | あなたは〔会社名〕の営業担当です |
| 2. 相手と関係 | 社外か社内か、はじめてか、何度も取引があるか | はじめて連絡する取引先のご担当者 |
| 3. 用件 | 相手に何をしてほしいか(1つに絞る) | 30分のオンライン面談を受けてほしい |
| 4. 材料 | 書いてよい事実。日付・数字・経緯 | 候補日3つ、前回の連絡日 |
| 5. 形 | 件名の有無、文字数、トーン、順番 | 件名3案、本文300字以内、です・ます調 |
| 6. 守ること | 推測しない、約束しない、〔 〕を残す | 材料にないことは【要確認】と書く |
6つ目が特に大切です。AIは、材料にない日付や約束をもっともらしく足すことがあります。個人情報保護委員会も、生成AIの答えには不正確な内容が含まれることがあると注意を呼びかけています。金額・日付・宛名は〔 〕のまま残させ、送る前に人が入れます。
AIに入れない情報
個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)で、事業者に2つの点を求めています。1つ目は、個人情報を含むプロンプトを入れるときに、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめることです。2つ目は、本人の同意なく個人データを入れる場合に、サービスの提供者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめることです。
メールは、本文以外に個人情報が入りやすいのが特徴です。届いたメールを貼る前に、次の4か所を消すか「A社のB様」のように置き換えます。
- 署名:名前、電話番号、携帯番号、住所
- 引用部分:「>」で始まる過去のやり取り。別の人の名前や連絡先が残っている
- 宛先・CC:メールアドレスの一覧
- 金額と取引の条件:単価、請求額、口座。AIには〔金額〕のまま渡し、人が入れる
使ってよいツールと、入れてよい情報は、社内で先に決めておきます。決め方は生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。
ほかの記事で扱うメール
- 商談のあとのお礼のメールと商談記録:業務効率化×AI プロンプト&事例15選の用途3
- お客様からのよくある問い合わせへの返信(手順書をもとに答える):問い合わせ対応をAIで自動化するやり方
- 会議のあとに送る議事録:議事録をAIで整理するやり方
- Gmail の中の Gemini の設定と社内ルール:Geminiで業務効率化するやり方
用途1【社外】はじめての相手に、面談のお願いをする
こんな課題を解決
はじめての相手への連絡は、書き出しで手が止まります。会社の紹介が長くなり、結局何をお願いしたいのかが伝わらず、返事が来ません。
どう解決したか
相手を知ったきっかけ、自社の紹介(2行)、お願いしたいこと、候補日を箇条書きで渡し、件名の案と本文を作らせます。「断ってもかまいません」の一言を入れさせると、相手が返事をしやすくなります。
ポイント
- 実績や数字は、自社の資料で確かめたものだけを材料に入れる
- 相手の会社名と担当者名は、送る直前に人が入れて読み直す
- どの会社に連絡するかは、社長と営業の責任者が決める。営業の仕事ごとの任せ方はシス学 AI営業で紹介しています
用途2【社外】見積書や資料を送るときの添え状を作る
こんな課題を解決
ファイルを添付して「ご確認ください」だけで送っています。有効期限や前提の条件が伝わらず、あとで「その金額には〇〇も入っていると思った」と行き違いになります。
どう解決したか
見積書の件名、有効期限、前提の条件、含まないものを箇条書きで渡し、本文の中に要点を3行で書かせます。金額は本文に書かせず「添付の見積書のとおり」とし、転記の間違いを防ぎます。
ポイント
- 添付したファイルが、その相手あての最新版かを確かめる。本文のファイル名と添付が同じかも見る
- 有効期限と前提の条件が、見積書の記載と一致しているかを確かめる
- 値引きや特別な条件は、社長が決める。見積書そのものの作り方は見積書をAIで作成するやり方で解説しています
用途3【社外】返事が止まった相手に、もう一度連絡する
こんな課題を解決
提案や見積を送ったあと、返事がありません。催促すると失礼かと思って待つうちに、話そのものが消えてしまいます。
どう解決したか
前回送った日と内容を渡し、相手を責めない書き方で、短い再連絡の文を作らせます。返事の選び方(進める・見送る・時期が未定)を書いておくと、相手は1行で返せます。強さの違う3案を出させ、担当者が選びます。
ポイント
- 前回の送信日と内容は、送信済みのメールを開いて確かめる
- 何回まで連絡し、いつ追うのをやめるかは、営業の責任者が決めておく
- 「見送る」と返ってきたら、理由を1つだけ聞く。次の提案の材料になる
用途4【社外】納期の遅れやミスのお詫びと、最初の報告をする
こんな課題を解決
トラブルが起きたとき、お詫びの文面に悩んで最初の連絡が遅れます。急いで書くと、言い訳に読めたり、まだ決めていない対応を約束してしまったりします。
どう解決したか
「分かっていること」「まだ分かっていないこと」「次に報告する日時」を分けて渡し、最初の報告のメールを作らせます。原因が分かっていない段階では、原因を推測で書かせません。補償や値引きには触れさせず、【責任者が判断】の印を付けさせます。
ポイント
- 送る前に、上司か責任者が全文を読む。事実と日時が、社内の記録と合っているかを確かめる
- 補償や値引きをするか、どこまでするかは社長が決める
- 大きなトラブルは、メールの前に電話で伝える。メールは、伝えた内容を文字で残すために使う
用途5【社外】値上げ(価格の改定)のお知らせとお願いをする
こんな課題を解決
材料費や人件費が上がり、値上げをお願いしなければならないのに、文面が書けずに先延ばしになっています。理由の書き方によっては、取引先に納得してもらえません。
どう解決したか
社長が決めた改定の中身(対象・幅・時期)と、理由の根拠になる資料を渡し、お知らせとお願いの文を作らせます。内閣官房と公正取引委員会は「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年11月29日、令和8年1月1日改正)を出しています。受注者としての行動の2つ目に、労務費の上昇を示す根拠資料には、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること、とあります。自社の労務費を含むコストの内訳を見せると、逆に発注者から原価を査定され、引き下げを求められる可能性がある、とも書かれています。
この指針は労務費についてのものです。原材料費の値上げは、仕入れ値の変化が分かる資料(仕入れ先からの値上げの通知など)を別に用意します。AIには、どちらも資料の名前と数字だけを渡し、自社の原価の内訳や利益率は渡しません。
ポイント
- 改定の幅・時期・取引先ごとの条件は、社長が決める。AIに幅を考えさせない
- 数字と資料の名前は、担当者が元の資料で確かめる
- 大切な取引先には、訪問や電話でお伝えしてから、内容を文字で残すためにメールを送る
用途6【社外】依頼や見積をお断りする
こんな課題を解決
断りのメールは関係を壊しそうで書きにくく、あいまいな返事で相手を待たせてしまいます。相見積もりで選ばなかった会社への連絡も、つい後回しになります。
どう解決したか
断る結論、伝えてよい理由、今後のお付き合いの希望を渡し、結論を最初の3行以内に書かせます。理由は「伝えてよい範囲」を人が決めて渡します。
ポイント
- 断るかどうかは、社長か責任者が決める
- 相見積もりの他社の金額や名前は、理由に書かない
- 断りの連絡は早いほど、相手の手間が減る。決まったその日に送る
用途7【社外】入金がまだの取引先に、確認をお願いする
こんな課題を解決
支払期日を過ぎても入金がない取引先への連絡が、書きにくくて遅れます。強すぎる書き方で関係を損ねたり、こちらの請求の行き違いだったと後で分かったりします。
どう解決したか
1回目は「確認のお願い」として、行き違いへのお詫びを一文入れた文を作らせます。2回目に使う、期日をはっきりお願いする文も同時に作らせておきます。金額・期日・請求書番号は〔 〕のまま残させ、経理が入れます。
ポイント
- 送る前に、経理が入金の明細をもう一度確かめる。こちらの請求の誤りでないかも見る
- 2回目より先の対応(取引の見直し、専門家への相談)は、社長が決める
- 取引先ごとの金額をAIに入れない。入金の照合のやり方は業務効率化×AI プロンプト&事例15選の用途4で紹介しています
用途8【社外】海外の取引先へ、英語のメールを書く
こんな課題を解決
英語のメールに時間がかかり、英語ができる社員に仕事が集まります。翻訳ツールの直訳では、失礼に聞こえていないか、意味がずれていないかが分かりません。
どう解決したか
日本語で要点を渡して英語の本文を作らせ、同時に、その英語を日本語に訳し戻した文も出させます。英語に自信がなくても、訳し戻した日本語を読めば、言いたいことが伝わっているかを確かめられます。
ポイント
- 日付・数量・単位(個、箱、kg)と通貨は、担当者が要点と突き合わせる
- 価格・支払い・責任の範囲など契約にかかわる文は、英語の分かる人か専門家が確かめる
- 相手から来た英語のメールは、用途9の要約のプロンプトで、日本語で要点をまとめてから読むと早い
用途9【受信】長いメールのやり取りから、要点と自分がやることを抜き出す
こんな課題を解決
CCで回ってくる長いやり取りを読むのに時間がかかります。途中で自分あての依頼が埋もれ、気づいたときには期限が過ぎています。
どう解決したか
やり取りを古い順に貼り、決まったこと、相手が求めていること、自分がやること(期限つき)、まだ決まっていないことに分けさせます。それぞれに、元のメールのどの文から読み取ったかを引用させるので、その文だけを開いて確かめられます。
ポイント
- 期限と数字は、引用された元の文で必ず確かめる
- ③に出たものは、そのまま自分の予定表やタスクの一覧に入れる
- Gmail の画面を開いたまま要約するなら、Geminiで業務効率化するやり方のプロンプト1(Gmail のサイドパネル用)が使える
用途10【受信】取引先からの依頼に、3通りの返信の案を作る
こんな課題を解決
「来週までに〇〇をお願いできますか」という依頼に、受けるか、条件をつけるか、断るかを決めきれず、返事が遅れます。冒頭の調査でも、返信が遅れる理由の1位は「内容の精査や情報の収集に時間がかかる」(46.83%)でした。
どう解決したか
届いた依頼と自社の状況を渡し、「受ける」「条件をつけて受ける」「お断りする」の3つの返信の案を並べさせます。あわせて、どれかに決める前に社内で確かめることを書き出させます。担当者と社長は、確かめて、選んで、直すだけになります。
ポイント
- 案Bの条件(納期・費用・範囲)は、担当者が社内で確かめてから入れる
- どの案で返すかは、金額や今後の取引にかかわる場合は社長が決める
- お客様からの、答えが決まっている質問への返信は、問い合わせ対応をAIで自動化するやり方の手順書を使う形のほうが向いている
用途11【受信】日程調整の返信を、1往復で終わらせる
こんな課題を解決
打ち合わせの日程のやり取りが何往復も続きます。候補の日付と曜日がずれていて、相手から問い合わせが来ることもあります。
どう解決したか
相手が出した候補と、自分の空いている時間を渡し、合う枠を選んだ返信を作らせます。合う枠がなければ、こちらから3つの候補を出す文にさせます。場所(会議室・オンラインのURL)や所要時間も1通に入れさせ、往復を減らします。
ポイント
- 送る前に、日付と曜日が合っているかをカレンダーで確かめる
- 返信を送ったら、決まった枠をすぐに自分の予定表に入れる
- 社長の予定を押さえる場合は、どの打ち合わせを優先するかを社長が決める
用途12【社内】社長や上司への報告を、結論から書く
こんな課題を解決
報告のメールが経緯から始まって長くなり、社長が最後まで読まないと何を決めればよいのか分かりません。返事をもらえず、仕事が止まります。
どう解決したか
メモを渡し、件名に【報告】か【判断のお願い】を付け、1行目に結論、次に判断してほしいことと期限、経緯は最後、の形に並べ替えさせます。ビジネスメール実態調査2026でも、うまいと感じたメールの内容として85.05%が「要点が簡潔にまとめられている」を挙げています。
ポイント
- 数字と日付は、担当者が元の資料で確かめてから送る
- 判断を求める場合は、自分ならどの案にするかも一言添えると、社長が決めやすい
- 決めるのは社長。返事の期限を過ぎたら、もう一度短く聞く
用途13【社内】ほかの部署に、期限つきで仕事をお願いする
こんな課題を解決
ほかの部署へのお願いのメールが読み流され、期限になっても届きません。何を、どの形で、いつまでに出せばよいかがあいまいなまま送っているためです。
どう解決したか
お願いしたいこと、理由、期限、出してほしい形、出し先を渡し、相手の手間を減らす一言(ひな形の場所、分からない所の聞き先)を入れた文を作らせます。
ポイント
- 期限は、相手の部署の忙しい時期と重なっていないかを確かめてから決める
- 同じお願いを毎月するなら、できた文を型として残し、日付だけ変えて使う
- 部署どうしで仕事の取り合いになる場合は、どちらがやるかを社長が決める
用途14【社内】締め切りのリマインドを、時期ごとに作っておく
こんな課題を解決
提出物の締め切りが近づくたびに、催促の文を考えています。締め切りを過ぎたあとの催促は、言い方がきつくなりがちです。
どう解決したか
「1週間前」「前日」「締め切りを過ぎた日」の3通を一度に作らせ、型として保存します。次からは日付と提出物の名前を入れ替えるだけで送れます。
ポイント
- 3通目の「いつまでなら受け付けられるか」は、担当者と上司が決めて入れる
- 毎回遅れる人がいる場合は、メールでなく、提出の手順そのものを見直す
- 社員全体へのお知らせ文の作り方は、業務効率化×AI プロンプト&事例15選の用途7で紹介しています
用途15【仕上げ】送る前に、自分のメールを点検させる
こんな課題を解決
送ってから、質問への答えが抜けていた、添付を忘れた、冷たい言い方になっていた、と気づきます。ビジネスメール実態調査2026では、受け取って不快に感じた内容の1位が「質問に答えていない」(44.29%)でした。2位は「高圧的な表現や見下したような物言い」(37.3%)です。相手のメールで失敗を見つけても、70.4%は相手に指摘していません。
どう解決したか
届いたメールと自分の下書きを並べて渡し、決めた項目で点検させます。AIには指摘だけをさせ、直すのは自分です。AIに書き直させると、自分の言葉でなくなり、直した所が見えにくくなるためです。
ポイント
- 指摘を読んで直すのは、送る本人。AIの指摘が正しいかも自分で判断する
- 宛先・CC・添付ファイルは、AIでなく送信の画面で最後に目で見る
- 社外に出す大事なメール(値上げ、お詫び、断り)は、点検のあとに上司も読む
- お客様の問い合わせへの返信を、回答の手順書と照らして点検するなら、問い合わせ対応をAIで自動化するやり方のプロンプト4を使う
用途16【仕上げ】自社のメールの「型」と言い回しを決める
こんな課題を解決
AIに書かせた文が、会社らしくない言い回しになります。ビジネスメール実態調査2026では、届いたメールを「AIが書いたな」と気づくことがある人が44.86%でした。手がかりは「本人のキャラや立場に合わない言い回し」(48.28%)、「慇懃無礼なほど丁寧すぎる」(45.52%)です。
どう解決したか
社内で評判のよかった過去のメールを3〜5通(名前と金額は消す)渡し、書き出し、結び、よく使う言い回し、使わない表現を「メールの決まり」1枚にまとめさせます。できた1枚を、用途1〜14のプロンプトの先頭に貼って使います。
ポイント
- できた決まりは、社長か責任者が読んで、会社として使う言い方を決める
- 決まりは共有の場所に1つだけ置き、直した日と直した人を書く
- Google Workspace の Gemini には、毎回の指示を保存できる「カスタム指示」がある。決まりをそこに入れておく方法もある。設定のしかたはGeminiで業務効率化するやり方で解説しています
メール作成に使うAIの選び方|メールソフトの中のAIか、チャットのAIか
「メール作成 AI おすすめ」で調べると多くの製品が出てきますが、使う場所で分けると次の2つです。この記事では特定の製品をすすめません。機能は2026年10月23日に各社の公式ヘルプで確かめた内容です。
| 形 | 例(公式ヘルプの呼び名) | 公式ヘルプに書かれていること | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| メールソフトの中のAI | Gmail の Gemini(「文書作成サポート」) | 新しいメールと返信の画面で下書きを作れる。下書きは「よりフォーマルに」「フレンドリー」「短くする」で調整できる。対象の Google Workspace プランか Google AI プランで使え、個人の Google アカウントで使えるのは米国のみ | 会社のメールが Google Workspace。返信をその場で書く |
| メールソフトの中のAI | Outlook の Copilot(新しい Outlook は「下書き」、クラシック Outlook は「Copilot で下書き」) | 下書きを作り、トーンや長さを変えて作り直せる。スマートフォンの Outlook では、100文字以上書いた文に「Copilot による指導」で改善案を出せる。使えない場合は IT 管理者に確かめるよう案内している | 会社のメールが Microsoft 365。用途15の点検に近い使い方もできる |
| チャットのAI | ChatGPT、Claude、Gemini アプリ、Copilot Chat など | (メールの外で下書きを作り、メールソフトに貼る) | この記事のプロンプトをそのまま使う。メールソフトを問わない |
データの扱いも、公式の説明で確かめます。Google の「Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ」には、次の一文があります。「Workspace は、お客様の事前の許可または指示なしに、モデルのトレーニングにお客様データを使用することはありません。」Microsoft の「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」も、トレーニングに使わないと説明しています。対象は Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データで、使わない先は基礎の大規模言語モデルです。どちらも会社の契約(Google Workspace、Microsoft 365)での説明です。
選ぶときは、次の4つを順に確かめます。
- 会社のメールが Google Workspace か Microsoft 365 か。すでに契約しているメールソフトに付いているAIから試す
- 会社の契約のアカウントで使えるか。個人の無料のアカウントで仕事のメールを扱わない
- 入力した内容が学習に使われるかを、各社の公式の説明と利用規約で確かめる。個人情報保護委員会も、一般の利用者に、利用規約やプライバシーポリシーなどを十分に確かめるよう呼びかけています
- 用途16の「メールの決まり」を、毎回貼るか、ツールに保存できるか
法人向けの料金は法人向け生成AIの料金比較、ツールごとの始め方はGeminiで業務効率化するやり方とCopilotの導入費用と進め方で解説しています。
シス学の場合|メールの下書きはAI、事実の確認は社員、約束は社長
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。手順と判断の基準を仕組みに移し、下書きや転記はAIが、確かめる仕事は社員が受け持ちます。この記事の用途5(値上げのお知らせ)に当てはめると、次のようになります。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 値上げのお知らせでは |
|---|---|---|
| AI | 作業 | 改定の内容と根拠の資料から、お知らせとお願いのメールの下書きを作る。取引先ごとに宛名と対象の品を差し替えた版を作る |
| 社員 | 確認 | 数字と根拠の資料の名前を元の資料と突き合わせる。取引先ごとの送り方(訪問のあとに送る、など)を確かめる |
| 社長 | 判断 | 改定の幅と時期、取引先ごとの条件、ご相談の場で譲れる線を決める |
社長がメールの文面を一から考える時間をAIと社員に渡し、社長の手元には「いくらにするか」「どこまで譲るか」の判断を残します。社長がいなくても回る会社(時間創出)に向けた、いちばん身近な一歩です。
シス学 AI研修では、社員が自社のメールを題材に、6つの項目を入れたプロンプトの書き方、送る前の点検、自社の「メールの決まり」づくりまでを練習します。研修のあとは、業務別の手順書と指示文の型、社内のAI利用ルールを整えます。
厚生労働省は、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の令和8年8月3日からの変更点で、生成AIの訓練の例を示しています。生成AIで商品提案書の構成案づくり・文章の生成・修正のしかたを学ぶ営業担当者向けの訓練は、助成の対象です。生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は、対象外です(経過措置があります)。メールの研修も、受講者の職務に合わせた内容で組むことが前提です。
研修は、条件を満たせば助成金の対象となる場合があります。対象は雇用保険の被保険者で、計画届は研修を始める日の6か月前から1か月前までに出します。受講料はいったん全額を会社が支払い、支給されるかどうかは労働局の審査で決まります。受給を保証するものではありません。このコースは令和8年度末までの時限措置です。シス学では、助成金の有無で受講料を変えません。くわしくはAI研修に使える助成金で解説しています。
まずは無料相談から。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。全国オンラインで対応しています。30分の無料相談で、御社のメールのどこからAIに任せられるかを一緒に整理します。
まとめ|16のプロンプトに共通すること
| 場面 | 用途 | AIに任せる作業 | 人が確かめ・決めること |
|---|---|---|---|
| 社外 | 1. はじめての面談のお願い | 件名3案と本文 | 実績の数字・どの会社に連絡するか(社長) |
| 社外 | 2. 見積書の添え状 | 要点3行と確認のお願い | 添付の版・有効期限 |
| 社外 | 3. 返事が止まった相手 | 強さの違う3案 | 前回の日付・追うのをやめる時期 |
| 社外 | 4. お詫びと最初の報告 | 分かったこと・次の報告日時の文 | 事実と日時・補償(社長) |
| 社外 | 5. 値上げのお知らせ | お知らせとお願いの文 | 数字と資料・幅と時期(社長) |
| 社外 | 6. お断り | 結論が先の断りの文 | 断るか・伝えてよい理由 |
| 社外 | 7. 入金の確認 | 1回目と2回目の文 | 入金の再確認・その先の対応(社長) |
| 社外 | 8. 英語のメール | 英文と訳し戻し | 日付・数量・契約の文 |
| 受信 | 9. 長いやり取りの要約 | 4つに分けた要点と引用 | 期限と数字を元の文で |
| 受信 | 10. 依頼への返信3案 | 受ける・条件つき・断るの案 | 条件の中身・どの案か(社長) |
| 受信 | 11. 日程調整 | 合う枠を選んだ返信 | 日付と曜日をカレンダーで |
| 社内 | 12. 社長への報告 | 結論が先の報告文 | 数字・判断は社長 |
| 社内 | 13. ほかの部署へのお願い | 期限つきのお願いの文 | 期限が無理でないか |
| 社内 | 14. リマインド | 時期ごとの3通 | 遅れた場合の受付の線 |
| 仕上げ | 15. 送る前の点検 | 7項目の指摘 | 直すのは本人・宛先と添付は目で |
| 仕上げ | 16. 自社のメールの型 | 過去のメールから決まりを抜き出す | 会社として使う言い方(社長) |
16のプロンプトには、メールならではの共通点があります。
- 用件は1つ:相手にしてほしいことを1つに絞ってから頼む(はじめにの6項目の3)
- 事実は人が渡す:日付・経緯・理由は材料として渡し、AIに考えさせない
- 金額・日付・宛名は〔 〕で残す:転記の間違いを防ぎ、送る前に人が入れる
- 約束はAIに書かせない:補償、値引き、条件は【責任者が判断】の印にする
- 送るのは人:用途15で点検し、宛先・CC・添付は送信の画面で目で見る
まずは明日、今いちばん書きにくいメールを1通選び、6つの項目を埋めてAIに下書きさせてみてください。送る前に用途15の点検を通せば、AIの文をそのまま送る失敗も防げます。うまくいったら、そのプロンプトを社内の共有の場所に残します。
よくある質問
メール作成に使うAIは、どれがおすすめですか?無料でも使えますか?
特定の製品はすすめていません。会社のメールが Google Workspace か Microsoft 365 なら、まず契約に付いているAIから試します。Gmail の Gemini、Outlook の Copilot が使えるかを、管理者に確かめてください。仕事のメールを、個人の無料のアカウントで扱うのは避けます。どのツールでも、入力した内容が学習に使われるかを、各社の公式の説明と利用規約で確かめてから使います。
AIで書いたメールだと、相手に分かりますか?
ビジネスメール実態調査2026では、届いたメールを「AIが書いたな」と気づくことがある人は44.86%でした。手がかりは「本人のキャラや立場に合わない言い回し」(48.28%)や「慇懃無礼なほど丁寧すぎる」(45.52%)です。用途16で自社の「メールの決まり」を作ってプロンプトの先頭に貼り、送る前に自分の言葉に直すと、不自然さを減らせます。
取引先の名前や金額をAIに入れても大丈夫ですか?
個人情報保護委員会は事業者に、個人情報を含むプロンプトを入れるときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめるよう求めています。本人の同意なく個人データを入れる場合は、提供者がそのデータを機械学習に使わないことなどを確かめる必要があります。この記事のプロンプトは、名前・連絡先・金額を〔 〕で残すか「A社のB様」に置き換える形にしています。署名や引用部分にも個人情報が残るので、貼る前に消してください。
AIが書いたメールを、そのまま送ってもよいですか?
そのまま送らないでください。AIの答えには不正確な内容が含まれることがあります。Microsoft も、生成AIの応答は100%事実であるという保証はなく、他の人に送る前に利用者の判断が必要だと説明しています。ビジネスメール実態調査2026でも、生成AIを使っている人の97.34%が、直したり参考にして自分で書いたりして送っていました。
届いたメールへの返信まで、AIで自動にできますか?
取引先への返事は、内容に約束や判断が入るため、この記事では人が確かめて送る形にしています。お客様からの、答えが決まっているよくある質問への返事は、仕組みにできます。やり方と、自動にしてよい種類の決め方は、[問い合わせ対応をAIで自動化するやり方](/column/toiawase-ai)で解説しています。
社員にメールのAIを使ってもらうには、どうすればよいですか?
プロンプトを配るだけでは、自社の取引や言い回しに合わない所が残ります。ビジネスメール実態調査2026では、会社でビジネスメールの社員研修が「ない」人が83.37%でした。用途16で会社の「メールの決まり」を作り、場面ごとのプロンプトを自社の言葉に直して共有し、送る前の点検(用途15)を全員の決まりにすると、使い方がそろいます。社員が自社のメールを題材に練習する研修も、選択肢の一つです。

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