なぜCopilotを入れても、仕事の時間が減らないのか
中小企業庁が2026年版中小企業白書の概要として示した資料では、2019年以降の省力化の取り組みのうち、AIの活用に「取り組んだ」中小企業は30.3%でした。取り組んでいない会社が挙げた理由の上位は次のとおりです。どれも、Copilotを契約しただけでは解決しません。
| 理由 | 回答の割合 | この記事で扱うステップ |
|---|---|---|
| 活用する業務がイメージできていない | 63.4% | Step 6(最初に使う業務を選ぶ) |
| 活用を推進する人材が不足している | 40.0% | Step 7(社員の研修と相談役) |
| 社内ルール・ガイドラインが整備されていない | 26.2% | Step 4・5(データの扱いと管理者の設定) |
| セキュリティ・情報漏えいへの不安がある | 14.5% | Step 4(学習に使われるか、誰が何を見られるか) |
Copilotの導入で止まる会社には、共通する所があります。
- 「Copilot」が指すものが社内で違う:無料のCopilot Chatと、有料のCopilot(Microsoft 365 Copilot)は別の契約です。個人向けのMicrosoft 365 Personal・Familyで使うCopilotも、また別です。社長と担当者が別のものを思い浮かべていると、見積もりが合いません
- 全員に配って、説明会1回で終わる:何に使うかが決まっていないので、物珍しさが消えると使われなくなります
- 共有フォルダの権限が広いまま:Copilotは、その人が開ける社内の文書を読みにいきます。誰でも開ける場所に給与の表があれば、それも答えの材料になります
- 効果を測る数字を決めていない:1年分を払った後に、続けるかどうかを判断できません
Copilotを会社に入れる8ステップ
流れは「今のプランを確かめる → ライセンスを決める → 料金を計算する → データの扱いを確かめる → 管理者が設定する → 最初の業務を選ぶ → 社員の研修 → 効果を測る」です。
Step 1:今のMicrosoft 365のプランを確かめる
有料のCopilotは、今のMicrosoft 365に「足す」契約です。まず、自社がどのプランを何人分持っているかを確かめます。Microsoft Learnの手順は次のとおりです。見られるのは、グローバル管理者か課金管理者の役割を持つ人です。
- Microsoft 365 管理センター(admin.microsoft.com)にサインインする
- 簡易ビューなら「サブスクリプション」、ダッシュボード ビューなら「請求」→「製品」を開く
- 一覧で、製品名、割り当てたライセンスの数、ライセンスの合計数、状態を確かめる
分かったプランを、次の表に当てはめます。対象のプランは、Microsoft Learnの「Copilot Chat の対象」と「Microsoft Copilot のライセンス オプション」から取りました。中小企業でよく使うものだけを抜き出しています。
| 今のプラン | 無料のCopilot Chat | 有料のCopilot Business(300人まで)を足せるか |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Business Basic | 追加費用なしで使える | 足せる |
| Microsoft 365 Business Standard | 追加費用なしで使える | 足せる |
| Microsoft 365 Business Premium | 追加費用なしで使える | 足せる |
| Microsoft 365 Apps for business | 対象の一覧に記載なし | 足せる |
| Microsoft Teams Essentials | 追加費用なしで使える | 足せる |
| Microsoft 365 E3・E5 | 追加費用なしで使える | Copilot Businessではなく、大企業向けのCopilotのライセンスを足す |
| 個人向け(Microsoft 365 Personal・Family) | 対象の一覧に記載なし | 会社向けのCopilotの対象の一覧に記載なし(個人向けのアプリで使うCopilotは別の扱い) |
Learnには、「(Teams なし)」と書かれたプランも Copilot Chat の対象に含まれるとあります。社員がMicrosoft 365を個人のアカウントで使っている会社は、会社の契約(ビジネス向けプラン)にそろえるところから始めます。
Step 2:必要なライセンスを決める(Copilot Chatで足りるか)
無料のCopilot Chatは、Web上の情報と、自分で貼った文章・上げたファイルを使って答えるチャットです。有料のCopilotは、加えて社内のメール・会議・チャット・文書をまたいで答え、Word・Excel・PowerPoint・Teamsの中で使えます。違いは後の「Copilot Chat(無料)と有料のCopilotの違い」の表にまとめました。
決め方の目安は次のとおりです。まず全員がCopilot Chatを職場のアカウントで2週間使う。そのうえで、「会議の要約を毎週作っている」「長いメールのやり取りを毎日追っている」など、社内の情報をまたぐ仕事が多い人だけに、有料のCopilotを足します。Microsoft Learnも、最初は少人数のグループにライセンスを割り当てて試し、その後に広げる3段階(パイロット・展開・運用)を示しています。
有料のCopilotは、個人ごとに割り当てる契約です。管理センターで、個人やグループに割り当てたり、別の人に付け替えたりできます。従業員が300人を超える会社は、Copilot Businessではなく、大企業向けのCopilotのライセンスを使います。
Step 3:料金を計算する
Microsoftの公式の料金ページに出ている、中小企業向けの金額は次のとおりです。すべて1ユーザーあたりで、消費税は含まれていません。
| 契約 | 年払い(月あたり) | 月払い |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Copilot Business(今のプランに足すアドオン) | 3,148円。キャンペーン価格は2,698円(下の注意を参照) | 3,778円 |
| Microsoft 365 Business Standard と Microsoft 365 Copilot Business(Copilotを含むプラン) | 3,523円 | 4,228円 |
| Microsoft 365 Business Premium と Microsoft 365 Copilot Business(Copilotを含むプラン) | 4,797円 | 5,756円 |
| Microsoft 365 Business Standard(Teams なし)と Copilot Business | 3,041円 | 3,649円 |
| Microsoft 365 Business Premium(Teams なし)と Copilot Business | 4,316円 | 5,179円 |
| 参考:Microsoft 365 Business Basic(Copilot Chatのみ) | 1,049円 | -(料金ページには年払いの金額だけが出ている) |
料金ページの注意書きで、費用に関わるのは次の点です。
- キャンペーン価格:2,698円は、2026年7月1日から12月31日までの割引キャンペーンの価格です。年間契約が必要で、割引は初年度だけです。Copilot Businessのアドオンは、対象のビジネス向けプランを使っている既存のMicrosoft 365の顧客だけが利用できます
- 従量課金:チャットやMicrosoft 365アプリのCopilotなど日常の機能はライセンスに含まれます。より高度な機能は、使った量に応じて別に課金されます。料金ページのFAQでは、Copilot Cowork、Copilot Code、Copilot Autopilot、Work IQ API などが挙がっています。管理者は管理センターの Cost Management で、使う量と支出の上限を管理できます
- 無料の試用とキャンセル:1か月の無料試用があり、終わると自動で有料に切り替わります(申し込みにクレジットカードが必要)。試用版は割引キャンペーンの対象外です。有料の開始から7日以内ならキャンセルでき、日割りで返金されます。サブスクリプションをキャンセルすると、関連するデータはすべて削除されると書かれています
計算の例:今Business Standardを使っている社員10人の会社が、まず5人にCopilot Businessを足して1年試す場合です。年払いの通常価格なら、3,148円×5人×12か月で18万8,880円(税抜)です。キャンペーン価格なら2,698円×5人×12か月で16万1,880円、月払いなら3,778円×5人×12か月で22万6,680円です。キャンペーンの価格は申し込み時期で変わるので、申し込む日に料金ページで確かめます。
Business Standard・Premiumを使っている会社は、2つの金額を比べます。「今のプラン+アドオン」と「Copilotを含むプランへの切り替え」です。金額は、管理センターか販売店で出してもらいます。年払いは1年分の人数が決まる契約なので、最初の1年は試す人数だけにします。
Step 4:データの扱いを確かめる(社外に学習されないか)
Microsoft Learnの2つのページから、社長が押さえておきたい点を順に並べました。「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」と「エンタープライズ データ保護」です。
| 確かめること | Microsoft Learnの説明 |
|---|---|
| AIの学習に使われるか | プロンプト、応答、Microsoft Graph経由で取り出したデータは、基礎となる大規模言語モデル(LLM)のトレーニングに使われない。保存されたやり取りも同じ |
| どの契約で守られるか | 有料のCopilotも無料のCopilot Chatも、データ保護に関する補遺(DPA)とMicrosoft製品条項が適用される。Microsoftはデータ処理者として動く(エンタープライズ データ保護) |
| 誰が何を見られるか | Copilotは、各ユーザーが少なくとも表示の権限を持っている社内のデータだけを表示する。権限の設定がそのまま効く |
| Web検索 | プロンプトから数語の検索語を作り、ユーザーと会社の識別子を外してBingに送る。広告主とは共有せず、LLMの学習にも使わない。BingはMicrosoft 365とは別に動き、Microsoftが独立したデータ管理者になる |
| 評価(フィードバック) | 任意のフィードバックは製品の改善に使うことがあるが、基礎となるLLMのトレーニングには使わない。管理者が管理できる |
| やり取りの記録 | プロンプトと応答は保存される。社員はマイアカウントのポータルで履歴を削除でき、管理者はMicrosoft Purviewで保持の期間を設定できる |
大事なのは、職場のアカウントでサインインしたときだけこの保護がかかることです。Learnによると、Copilotのアプリは、職場のアカウントでも個人のMicrosoftアカウントでもサインインできます。職場のアカウントでは、「職場」の表示と緑色のデータ保護の盾が出ます。社員には、盾が出ていることを確かめてから仕事の内容を入れるように伝えます。
個人情報保護委員会は、会社が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入れる場合、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめるよう求めています。本人の同意なく入れた個人データが、応答の出力以外の目的で扱われると、法律に違反する可能性があります。そのため、サービスの提供者が個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認することも求めています。上の表は、その確認の材料です。それでも、マイナンバーや健康の情報など、入れる必要のない情報は入れないルールにします。
Learnには、CopilotでAnthropicやOpenAIのモデルを使うかは管理者が決められ、追加の条件がかかる場合があるとも書かれています。使う前に、管理センターの設定と条件を確かめます。
Step 5:管理者が設定する
Microsoft Learnの「Microsoft Copilot を設定し、ライセンスを割り当てる」から、中小企業でも必ずやることを抜き出しました。担当は、Microsoft 365の管理者(社内の担当者か、契約している販売店)です。
| 順番 | やること | 場所・中身 |
|---|---|---|
| 1 | 全員に多要素認証(MFA)をかける | 管理センターで全ユーザーの多要素認証を有効にする |
| 2 | 共有の範囲を見直す | SharePoint・OneDriveで、社内の全員が開ける場所に、給与・人事・顧客の個人情報が置かれていないかを確かめる。Learnは過剰な共有を防ぐことを導入の準備に挙げている |
| 3 | Officeアプリの更新チャネルをそろえる | Copilotは「半期エンタープライズ チャネル」以外の更新チャネルで使える。最新チャネルか月次エンタープライズ チャネルにする |
| 4 | ライセンスを割り当てる | 管理センターの「課金」→「ライセンス」→「Microsoft Copilot」で、使う人に割り当てる。アプリに出るまで最大24時間かかり、アプリの再起動が要ることがある |
| 5 | Copilotの設定を決める | 管理センターの「Copilot」→「設定」で、Web検索を許可するかを決める。エージェントは「統合アプリ」で、社内で使ってよいものだけを許可する |
| 6 | 従量課金の上限を決める | 管理センターの Cost Management で、従量課金の機能を使えるか、支出の上限をどうするかを決める |
Copilot Chatは、対象のユーザーには多くの場合、最初からMicrosoft 365アプリにピン留めされています。使わせない社員がいる場合は、管理センターでアクセスを制限します。ピン留めを外すだけでは、使えてしまうことがあるためです(Learn「Microsoft Copilot Chatの管理」)。
Step 6:最初に使う業務を選ぶ
最初の業務は、毎週くり返す・元になるメールや資料がある・間違えても社内で止められるの3つがそろうものから、3つだけ選びます。中小企業で選びやすい候補を、無料のCopilot Chatでできるかと、人が確かめることで分けました。
| 業務 | 使う場所 | 無料のCopilot Chatで | 人が確かめること |
|---|---|---|---|
| 長いメールのやり取りの要約と、返信の下書き | Outlook | できる。料金ページのFAQでは、Copilot ChatにCopilot in Outlookが含まれる | 日付・数量・約束した内容。送るかは担当者 |
| 規程や公募要領などのファイルの要約 | Copilot Chat(ファイルを上げる) | できる(上げたファイルを分析) | 期限と要件を原文で確かめる |
| 取引先へのお知らせ文の下書き | Copilot Chat | できる(事実を貼って頼む) | 事実と違う所がないか。約束は社長 |
| 会議の要約と宿題の一覧 | Teams | できない。料金ページの比較表では、TeamsのCopilotはBusiness Basicの列に含まれない | 決まったことと担当者を、出席者が確かめる |
| 社内のメール・会議・文書をまたいだ質問(例:A社との先月のやり取りの要点) | Copilot(有料) | できない(有料版はMicrosoft 365全体をまたいで答える) | 出てきた根拠のメールや文書を開いて確かめる |
| Excelの集計とグラフ | Excel | ライセンスと会社の設定による(有料版は優先して使える) | 小さな表で検算してから使う |
3つ選んだら、それぞれ今かかっている時間を1週間分メモしておきます。Step 8で、使った後と比べるためです。どれを選ぶか迷うときは、後の「プロンプト1」に仕事の書き出しを貼ると、候補を並べてくれます。
Step 7:社員の研修と、相談役を決める
Microsoft Learnは、最初にライセンスを渡す人を「いろいろな部署で、すでにMicrosoft 365をよく使っている人」から選ぶよう勧めています。慣れた人が、周りの質問に答える役(チャンピオン)になる形です。中小企業なら、部署をまたいで3〜5人を選び、そのうち1人を社内の相談役にします。
2026年版中小企業白書の本文(第2-2-91図)は、AIの活用に取り組んだ中小企業を、社員向けの研修や勉強会をしているかで比べています。「想定した効果が得られなかった」は、している会社で8.6%(920社)、していない会社で16.1%(789社)でした。説明会1回で終わらせず、次の3回を開きます。
- 1回目(初日・30分):職場のアカウントでのサインインと緑の盾の確かめ方、入れてはいけない情報、Step 6の3業務でのプロンプトの貼り方
- 2回目(2週間後・30分):うまくいった使い方を、使った本人が画面で見せる。うまくいかなかった頼み方を直す
- 3回目(1か月後・30分):Step 8の数字を見て、続ける業務・やめる業務・次に足す人を決める
社内のルールの決め方(責任者、入れてよい情報の区分、見直しの時期)は、生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。
Step 8:使用状況レポートと時間の記録で、効果を測る
有料のCopilotの使われ方は、管理センターで見られます。Microsoft Learnの手順は「レポート」→「使用状況」→「Microsoft Copilot」→「Copilot」です。過去7・28・90・180日で切り替えられ、Excelで開けるCSVに書き出せます。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 有効なユーザー | 期間中にCopilotのライセンスを持っていた人数 |
| アクティブ ユーザー・アクティブ ユーザー率 | Copilotの機能を実際に使った人数と、その割合。ボタンを開いただけでは数えず、プロンプトを送るなどの操作で数える |
| 送信されたプロンプトの合計・1人あたりの平均 | Copilot Chatに送った質問や指示の数 |
| アプリ別の導入 | Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなど、どのアプリで使われているか |
| ユーザーごとの最後のアクティビティの日 | アプリごとに、最後に使った日 |
ただし、使用状況レポートで分かるのは「使われたか」までです。費用に見合ったかは、Step 6でメモした時間と比べて決めます。比べる項目は「1件にかかる時間」「確認で直した所の数」「社外に出たあとの指摘の数」です。3か月たってもアクティブにならない人のライセンスは、使いたい人へ付け替えます。
そのまま使えるプロンプト
Copilot Chat、OutlookやTeamsのCopilotに、そのまま貼って使える文例です。〔 〕の中を自社の内容に置き換えてください。職場のアカウントでサインインし、緑の盾が出ていることを確かめてから使います。
プロンプト1:最初の3業務を選ぶ(Step 6)
プロンプト2:長いメールのやり取りを要約し、返信の下書きを作る(Outlook)
プロンプト3:会議の決定事項と宿題を表にする(Teams)
プロンプト4:規程のファイルだけで、社員の質問に答える
プロンプト5:社員の確認用。下書きを元の資料と突き合わせる
プロンプト6:使用状況と時間の記録から、続けるかを決める材料を作る(Step 8)
部署ごとのプロンプト(営業・経理・総務・人事)は、業務効率化×AI プロンプト&事例15選にまとめています。どのプロンプトもCopilotでそのまま使えます。
Copilot Chat(無料)と有料のCopilotの違い
Step 2で決めるときの表です。Microsoft Learnの「Microsoft Copilot Chatの概要」の比較表と、公式の料金ページの比較表・FAQから作りました。
| 項目 | Copilot Chat(追加費用なし) | Microsoft 365 Copilot(有料) |
|---|---|---|
| Webの情報を使うチャット | できる | できる |
| エンタープライズ データ保護 | ある(職場のアカウントでサインインしたとき) | ある |
| ファイルを上げて分析 | できる | できる |
| 画像を作る | できる | できる |
| Outlookでの社内の情報を使った答え | Outlookの中ではできる(受信トレイ・予定表・会議など) | できる |
| 社内のメール・会議・チャット・文書をまたいだ答え | 限られる | できる(Microsoft Graph、Work IQ) |
| Word・Excel・PowerPoint・OneNoteでのCopilot | ライセンスと会社の設定による(Learn) | 使える |
| TeamsでのCopilot(会議の要約など) | 料金ページの比較表では、Business Basicの列に含まれない | 使える(Teamsのライセンスが必要) |
| 混み合ったときの使い方 | 標準のアクセス | 優先してアクセスできる |
| エージェント | 会社が作ったものは従量課金で使える | Microsoftが用意したエージェント(リサーチ ツール、アナリストなど)を追加料金なしで使える |
| 利用状況・定着・効果を測る分析 | 使用状況レポートで、Copilot Chatの使われ方を見られる | 使用状況レポートに加え、高度な分析機能も使える |
社員の質問への答えやお知らせ文の下書きなど、材料を自分で貼れば済む仕事は、無料のCopilot Chatで始められます。社内のメールや会議をまたいで探す仕事が多い人に、有料のCopilotを足します。
ほかのAIと比べたい場合は、Claudeで業務効率化するやり方とChatGPTの業務利用の注意点をご覧ください。業務での使い方と、プランごとの入れた内容の扱いを、各社の公式ページをもとに解説しています。すでにMicrosoft 365を使っている会社は、まず追加費用のかからないCopilot Chatで2週間試すと、ほかのAIと比べる材料もそろいます。
Copilotの導入でよくある失敗
失敗1:社員が個人のMicrosoftアカウントで使う
Copilotのアプリは、個人のMicrosoftアカウントでもサインインできます。その場合、職場のアカウントのデータ保護はかかりません。対策:使い始める日に、全員で「職場」の表示と緑の盾を画面で確かめます。管理者は、個人のアカウントでのサインインを制限する設定(Learnの「テナントの制限 v2」)も検討します。
失敗2:全員分を年払いで契約し、説明会1回で終わる
年払いは1年分の人数が決まります。使われない席が出ても、その年の費用は減りません。対策:最初は部署をまたいだ3〜5人だけに渡し、Step 7の3回の勉強会を開きます。広げるのは、Step 8の数字を見てからです。
失敗3:共有フォルダの権限を見直さずに入れる
Copilotは、その人が開ける文書を答えの材料にします。「とりあえず全員に共有」したフォルダに人事や顧客の資料があると、Copilotの答えに出てくることがあります。対策:Step 5の2番を、ライセンスを割り当てる前に終わらせます。
失敗4:従量課金の機能の設定を見ないまま使う
ライセンス料のほかに、高度な機能は使った量で課金されます。対策:管理センターの Cost Management で、従量課金の機能を使うか、支出の上限をどうするかを、社長が決めてから始めます。
失敗5:確認の担当を決めずに、下書きを社外に出す
Microsoft Learnには、生成AIの答えは100%事実である保証はなく、ほかの人に送る前に人の判断が要る、と書かれています。対策:業務ごとに、誰が・何と突き合わせて確かめるかを決めます。プロンプト5を使うと、突き合わせが速くなります。
失敗6:利用率だけを見て、効果を判断する
使用状況レポートのアクティブ ユーザー率が高くても、仕事の時間が減ったとは限りません。対策:Step 6で取った「1件にかかる時間」と、使った後の時間を比べて、続けるかどうかを決めます。
シス学の場合|Copilotに任せる仕事を「作業・確認・判断」に分けて、社員が回せる形にする
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。Copilotを使う仕事も、「作業・確認・判断」に分けて、誰が受け持つかを決めます。取引先からの問い合わせメールへの返信を例にすると、次のとおりです。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 中身 |
|---|---|---|
| AI(Copilot) | 作業 | Outlookで、やり取り全体を要約し、相手の質問の一覧と返信の下書きを作る。金額と日付は空欄で残す |
| 社員(担当者) | 確認 | 質問の一覧に漏れがないか、日付・数量を元の伝票と突き合わせ、空欄を埋める |
| 社長 | 判断 | 値引き・納期の変更など、会社として約束する内容だけを決める |
これは、シス学の3つのシのうち「時間創出」にあたります。社長に集まっていた下書きや確認を、AIと社員に渡します。社長が決めた答え方を社内の手順書に残すと、次からはその手順書を材料に、Copilotが同じ形で下書きを作れるようになります。
シス学 AI研修では、自社のメール・会議・書類を題材に、社員が自分の業務をAIで終わらせるところまで練習し、研修後のルールと相談役まで整えます。研修は、条件を満たせば厚生労働省の人材開発支援助成金の対象となる場合があります。対象になるかどうかは労働局の審査で決まり、受給を保証するものではありません。対象は雇用保険の被保険者です。計画届は研修開始の1か月前まで(6か月前から)に出し、受講料はいったん全額を会社が支払います。助成金の有無で受講料は変わりません。事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度末までの時限措置です。詳しくはAI研修に使える助成金をご覧ください。
料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。まずは無料相談から、30分の無料相談を予約してください。
まとめ
- Copilotの導入は「今のプラン → ライセンス → 料金 → データの扱い → 管理者の設定 → 最初の業務 → 研修 → 効果の測定」の順で進める
- Business Basic・Standard・Premiumなどを使っていれば、無料のCopilot Chatは追加費用なしで使える。有料のCopilot Businessは300人までの会社向けのアドオン
- 有料のCopilot Businessは、年払いで1ユーザー月3,148円、月払いで3,778円(税抜。2026年10月23日に確認)。高度な機能は別に従量課金
- プロンプト・応答・社内のデータはLLMの学習に使われない。守られるのは職場のアカウントでサインインしたとき。Copilotはその人が開ける文書を読むので、共有の権限を先に見直す
- 最初は部署をまたいだ3〜5人・3業務で試し、使用状況レポートと時間の記録を見てから広げる
まずは明日、Microsoft 365 管理センターの「請求」→「製品」で、今のプランと人数を確かめてください。次に、Copilot Chatを職場のアカウントで開き、緑の盾が出ることを確かめます。そのうえで、事務の1週間の仕事を書き出してプロンプト1に貼ると、自社でCopilotを使う最初の3業務と、有料版を渡す候補の人が見えてきます。
よくある質問
Copilotの導入費用は、1人いくらですか?
Microsoftの公式の料金ページでは、今のMicrosoft 365に足す「Microsoft 365 Copilot Business」は、年払いで1ユーザー月3,148円です。月払いは3,778円です(税抜、2026年10月23日に確認)。2026年12月31日までは、年払いの初年度に2,698円のキャンペーン価格があります。Copilotを含むプランは、年払いで「Business Standard と Copilot Business」が月3,523円です。「Business Premium と Copilot Business」は月4,797円です。高度な機能は、使った量に応じて別に課金されます。
Copilotは無料で使えますか?
対象のプラン(Microsoft 365 Business Basic・Standard・Premiumなど)があれば、Copilot Chatを追加費用なしで使えます。職場のアカウントでサインインすることが条件です。Web上の情報や、自分で貼った文章・上げたファイルを使って答えるチャットです。社内のメール・会議・文書をまたいで答える機能は、有料のCopilotの機能です。料金ページの比較表では、Teams会議の要約などに使うTeamsのCopilotも、Business Basicの列には含まれていません。
Copilotに入れた社内の情報は、AIの学習に使われますか?
Microsoft Learnには、プロンプト、応答、Microsoft Graph経由で取り出したデータは、基礎となるLLMのトレーニングに使われないとあります。有料のCopilotも無料のCopilot Chatも、データ保護に関する補遺(DPA)とMicrosoft製品条項の対象です。ただし、この保護は職場のアカウントでサインインしたときです。個人のMicrosoftアカウントでは仕事の情報を入れないようにします。確認日は2026年10月23日です。
何人分から契約すればよいですか?
ライセンスは1人ずつ割り当てる契約で、管理センターで割り当てる人を選んだり付け替えたりできます。Microsoft Learnも、最初は少人数で試して広げる進め方を示しています。中小企業なら、部署をまたいで3〜5人に渡し、使用状況レポートと時間の記録を見てから人数を増やすと、使われない席を減らせます。
年払いと月払いは、どちらがよいですか?
料金ページでは、年払いのほうが1人あたりの月額は安くなります(Copilot Businessで3,148円と3,778円)。年払いは1年分の契約で自動更新です。キャンペーン価格も年間契約が条件です。試す段階で人数が変わりそうなら月払い、使う人と人数が決まったら年払い、という分け方があります。どちらも有料の開始から7日間はキャンセルでき、日割りで返金されます。
従業員が300人を超える会社でも、Copilot Businessを使えますか?
使えません。Microsoft Learnには、Copilot Businessは、対象のビジネス向けライセンスを持つユーザーが300人までの会社向けとあります。300人を超える会社は、大企業向けのCopilotのライセンスを使う必要があります。

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