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AI研修に使える助成金|対象になる研修の条件と申請の流れ【2026年版】

会議室で、社員たちがノートPCを前に座り、講師が正面の画面の表を指しながら説明している様子

AI研修を社員に受けさせたい。でも、費用が気になる。そう考えて調べ始めた社長が、最初に見つけるのが「助成金」です。研修の費用や、研修中の賃金の一部が、国から助成される制度があります。

ただし、助成金は申し込めば自動的に出るものではありません。研修を始める前に出す書類があり、研修の内容や時間にも条件があります。研修が終わってから気づいても、間に合いません。

この記事では、AI研修に使える助成金の中心である人材開発支援助成金について、厚生労働省の資料にもとづいて解説します。助成率と上限額、対象になる研修の条件、申請の流れ、注意点までわかります。

AI研修に使える助成金とは?中心は人材開発支援助成金

AI研修の費用に使える国の制度として、まず確かめたいのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。会社が社員に、仕事に関連した訓練を計画に沿って行ったとき、訓練の経費と、訓練中の賃金の一部が助成されます。

申請するのは会社(事業主)で、窓口は都道府県の労働局です。研修会社が受け取る制度ではありません。対象になるかどうかは、労働局が審査して判断します。

AI研修で確かめたい2つのコース

この助成金にはいくつかのコースがあります。AI研修で確かめることが多いのは、次の2つです。

AI研修で確かめたい2つのコース(中小企業。人材育成支援コースは正規雇用労働者の場合)
コース対象になる訓練経費助成賃金助成(1人1時間)
事業展開等リスキリング支援コース新規事業の立ち上げや、社内のDX化に伴って必要になる知識・技能を学ぶ訓練75%1,000円
人材育成支援コース(人材育成訓練)職務に関連した10時間以上のOFF-JT(ふだんの仕事と分けて行う訓練)45%(賃金を上げるなどの要件を満たすと60%)800円(同じく要件を満たすと1,000円)

この記事では、経費助成率の高い事業展開等リスキリング支援コースを中心に説明します。コースによって条件が違うため、どのコースを使うかは労働局で確かめてください。

事業展開等リスキリング支援コースの助成率・上限額と、対象になる会社

中小企業が事業展開等リスキリング支援コースで受けられる助成は、次のとおりです。経費助成の上限額は、訓練の実時間数で決まります。

事業展開等リスキリング支援コースの助成内容(中小企業)
項目内容
経費助成率75%
賃金助成受講者1人につき1時間あたり1,000円(所定労働時間内に行った訓練が対象)
経費助成の上限(1人1訓練あたり)実訓練時間が10時間以上100時間未満は30万円、100時間以上200時間未満は40万円、200時間以上は50万円
eラーニング・通信制の場合経費助成のみ(賃金助成なし)。上限は1人15万円
1事業所が1年度に受けられる額1億円まで
受講できる回数1人につき1年度に3回まで。うちeラーニングは1回まで(令和8年8月3日以降に出す計画届の場合)

助成額の計算のしかた

計算用に、仮の数字で考えます。受講料が1人20万円の12時間の研修を、所定労働時間内に行ったとします。経費助成は20万円の75%で、15万円です。上限は10時間以上100時間未満の30万円なので、範囲内です。

賃金助成は、1,000円に12時間をかけて1万2,000円です。合わせて16万2,000円になります。これは計算のしかたを示す例です。実際の金額は、審査で認められた経費と時間で決まります。

対象になる会社と受講者

助成金を受けられるのは、雇用保険の適用事業所の事業主です。受講者は、その事業所の雇用保険の被保険者で、計画届に添える「対象労働者一覧」に載っている人です。

助成率が高くなる「中小企業」かどうかは、主な事業ごとに、資本金か常時雇用する労働者の数のどちらかで決まります。どちらか一方に当てはまれば、中小企業事業主です。判断は、支給申請をする時点の内容で行います。

中小企業事業主の範囲(どちらか一方に当てはまればよい)
主な事業資本金の額または出資の総額常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

どの区分になるかは、総務省の日本標準産業分類にもとづきます。ほかの助成金や補助金と、同じ経費や賃金を対象に申請すると、どちらか一方しか支給されないことがあります。

対象になるAI研修の条件|10時間以上・職務に直結・同時双方向

AI研修なら何でも対象になるわけではありません。厚生労働省のパンフレットにある主な条件を、チェック表にまとめました。

対象になる研修のチェック表(事業展開等リスキリング支援コース)
確かめること中身
実訓練時間が10時間以上移動時間や、食事を伴う休憩は含めません。対象外の内容の時間も除いて数えます
ふだんの仕事と分けて行う(OFF-JT)営業中の売り場や生産ラインでの現場実習、営業への同行は対象外です
次のどれかに当てはまる新規事業などの事業展開、社内のDX化、人材育成計画に基づく今後の職務のための訓練。どれに当てはまるかで、計画届に添える書類が変わります
職務に関連した内容受講者の職務と、研修の内容が結びついていること
実施方法通学(対面)か、講師にその場で質問できる同時双方向のオンライン。eラーニングや通信制は経費助成のみです
受講時間受講者が実訓練時間の8割以上を受講すること
教材文章や図表で内容を表した教材(テキスト)を使うこと
講師その分野の専門的な知識・技能を持つ講師が行うこと
計画どおりの実施計画届に書いた日時と内容で行います。年次有給休暇を使わせて受講させる研修は対象外です

研修の主催者によって、条件が少し変わります。会社が自分で企画して外部の講師を招く研修は「事業内訓練」です。教育訓練機関が企画・主催する研修を受けに行く場合は「事業外訓練」です。

2026年8月3日から変わったこと

令和8年8月3日以降に出す計画届から、対象外になる研修が広がりました。DX化に関する訓練であっても、職務に間接的にしか必要でない内容や、職業人として共通して必要になる内容は、対象外です。

厚生労働省が示した、AI研修で対象になる例・ならない例
研修の内容判断理由(厚生労働省の資料より)
生成AIで商品提案書の構成案づくり、文章生成、修正の方法を学ぶ、営業担当者向けの訓練対象営業担当者の具体的な業務に直結し、そのまま使える内容のため
生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練対象外特定の業務への具体的な適用を伴わない、汎用的な内容のため
DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練対象外共通知識の習得にとどまり、業務に直接適用される内容ではないため

受講者の選び方も見られます。厚生労働省の例では、CO2排出量の算定を学ぶ訓練は、算定を担当する人が受講すれば対象です。人事や営業の担当者を受講者にすると、対象外になります。

AI研修でも同じ考え方です。経理担当者には請求書の確認、営業担当者には提案書や見積書、総務担当者には問い合わせへの回答、と題材を分けます。そうすると、職務との結びつきを説明しやすくなります。

対象外になりやすいもの

  • コンサルタントによる経営改善の指導や、品質管理のマニュアルなど、会社の手順書をつくる作業(通常の事業活動とされます)
  • 既存のアプリやシステムを買って、その操作方法を覚えるだけの内容
  • パソコンで文章や数字を入力する程度の、初歩的な操作だけの内容
  • ビデオを見るだけの講習(eラーニングを除く)
  • AIツールの購入や導入にかかる費用(AI研修の費用は対象経費ですが、AIツールの導入費用は対象経費ではありません)

申請の流れと期限|計画届は研修を始める1か月前まで

助成金の手続きは、研修を行う前から始まります。流れは次のとおりです。

  1. 事前の準備:職業能力開発推進者を選び、社内の職業能力開発計画をつくって、社員に知らせる
  2. 計画届の提出:研修を始める日の6か月前から1か月前までの間に、職業訓練実施計画届と事業展開等実施計画などを、労働局へ出す
  3. 研修の実施:計画どおりに行い、出席の記録を残す。研修の経費は、支給申請までに会社が全額支払う
  4. 支給申請:研修が終わった日の翌日から2か月以内に、支給申請書と必要な書類を、労働局へ出す
  5. 審査・支給決定:労働局が審査し、支給か不支給かを決める。確認する項目が多く、ほかの助成金より時間がかかる

計画届は、窓口への持参、郵送、電子申請のどれでも出せます。郵送では、書類が労働局に届いた日が提出日です。消印の日ではありません。電子申請を使うには、GビズIDが必要です。

計画届の期限の例(研修を始める日の、1か月前の同じ日付まで)
研修を始める日計画届を出す期限
2027年1月18日(月)2026年12月18日(金)
2027年2月15日(月)2027年1月15日(金)
2027年3月1日(月)2027年2月1日(月)

パンフレットでは、提出期限が土日や休日にあたるときは、翌開庁日が期限です。年末年始は窓口が休みになるため、期限ぎりぎりを狙わず、余裕をもって出します。

研修の日時や内容を変えるときは、決められた期日までに変更届を出します。出さずに変えると、支給されないことがあります。支給申請の期限も、終わった日の翌日から2か月以内で、厳守です。

助成金で失敗しやすい点|「実質無料」をうたう勧誘に注意

助成金は、条件を一つでも外すと支給されません。特に多いのは、次の点です。

  • 計画届を出さずに研修を始める:6か月前から1か月前までの提出が必要で、出していないと支給されません
  • 研修の経費を全額負担していない:返金や協力金で実質の負担を減らすと、支給要件を満たしません
  • 所定労働時間の外で研修を行う:その時間の賃金助成は対象外です
  • 内容が職務と結びついていない:汎用的な内容は対象外です
  • 申請の期限を過ぎる:研修が終わった日の翌日から2か月以内です
  • 書類を残していない:審査に必要な書類は、5年間保存します

申請手続きの代行にも決まりがあります。申請書の作成や提出の代行を、報酬を得て行えるのは社会保険労務士だけです。研修会社が「申請も無料でやります」と言っても、受講料に代行の対価が含まれていると見られると、問題になります。

AI研修とAIツールの導入をセットで売り、ツールの費用も研修費として申請できる、と説明する例も挙げられています。研修の費用は対象経費ですが、AIツールの導入費用は対象経費ではありません。

同じ内容の研修なのに、助成金を使う会社だけ受講料が高く設定されている場合も注意が必要です。理由のない差額は、経費として認められないことがあります。

研修会社に確かめること|チェック表

助成金を使うなら、研修会社を決める前に、次の点を確かめます。答えが具体的かどうかで、助成金に慣れた会社かどうかが分かります。

助成金を使う前に、研修会社に確かめること
確かめることなぜ確かめるか
10時間以上のカリキュラム表を出せるか計画届に、日ごとの内容、時間数、受講料が分かる資料を付けるため
受講者の職務に合わせた内容か汎用的なAI研修は、対象外になるため
通学か、同時双方向のオンラインか録画を見るだけの研修は、賃金助成が出ず、条件も変わるため
受講の記録を出してもらえるか8割以上の受講を、出席の記録で示す必要があるため
料金は助成金の有無で変わらないか助成金を使う会社だけ高い料金にしていると、差額が経費として認められないことがあるため
研修と、ツール導入や手順書づくりを分けて見積もるかAIツールの導入費用や、成果物をつくる作業は、対象外のため
申請は社会保険労務士に頼む前提か手続きの代行を、報酬を得て行えるのは社会保険労務士だけのため
教育訓練機関として条件を満たしているか(事業外訓練の場合)民間の教育訓練機関には条件があるため(登記簿に教育訓練事業の記載がある国内法人であること、支給申請承諾書に承諾できること)

最後の点は、会社の側からは分かりにくい部分です。登記簿の事業目的に「教育訓練事業」があるか、承諾書に承諾できるかを、先に聞いておきます。

助成金より先に決めること|どの仕事をAIに任せるか

助成金の条件は「職務に直結した研修」です。つまり、どの仕事にAIを使うかが決まっていないと、条件に合う研修も組めません。

AIを活用しない理由で最多なのは、「活用する業務がイメージできていない」の63.4%です(中小企業庁の資料、複数回答)。研修の前に、仕事を洗い出す必要がある理由です。

同じ資料に、ITツールの活用に取り組んだ中小企業を、社員向けの研修や勉強会の有無で分けた調査があります。「想定した効果が得られなかった」と答えた割合は、研修や勉強会をしている企業で8.7%でした。していない企業は19.1%でした。

順番は、次の3つです。

  1. どの仕事をAIに任せるかを決める
  2. その仕事をしている社員を、受講者に選ぶ
  3. 研修の題材を、その仕事に合わせる

仕事の洗い出し方は、業務の棚卸しのやり方で解説しています。

シス学のAI研修と、助成金の考え方

シス学(システムAI経営学)は、株式会社むさしAI研修のAI導入支援ブランドです。仕組み(システム)で回る会社をつくる経営を、AIで支えます。

シス学 AI研修は、社員が毎日行っている業務を題材に、AIで仕事を終わらせるところまで練習する研修です。見積書、請求書、日報、受注メールなど、受講者の職務に合わせた題材を使います。

助成金を使う場合は、10時間以上で、職務に合わせた内容にして、助成金の対象になりうる形に研修を組むことができます。対象になるかどうかは、管轄の労働局が判断します。申請の手続きは、社会保険労務士にご依頼ください。必要な研修の資料(カリキュラム、受講の記録、領収書)は、シス学からお渡しします。

助成金を使う場合も使わない場合も、研修の料金は同じです。AIツールの導入や開発は、研修とは別のお見積もり・ご請求にします。

仕事の洗い出しから、研修、仕組みづくりまで、同じチームでまとめて進めることもできます。全国オンラインで対応し、初回のご相談は無料です。日時を選んで無料相談を予約できます。

まとめ

  • AI研修に使える助成金の中心は、厚生労働省の人材開発支援助成金。中小企業の事業展開等リスキリング支援コースは、経費の75%と、1人1時間1,000円の賃金助成(上限あり)
  • 対象は、10時間以上で、受講者の職務に直結した研修。2026年8月3日から、汎用的なプロンプトの研修や、DXの概念だけの研修は対象外
  • 計画届は、研修を始める1か月前まで。このコースは令和8年度末までの時限措置のため、2027年3月末までに終える日程が安心
  • 「実質無料」をうたう勧誘や、申請の代行を約束する研修会社には注意する

まずは、AIに任せたい仕事を3つ書き出し、その仕事をしている社員の名前を挙げてみてください。研修を始めたい日が決まったら、1か月前の日付を数え、労働局か社会保険労務士に相談します。研修の選び方全体は、生成AI研修の選び方にまとめています。

よくある質問

AI研修の助成金は、いくらくらい受け取れますか?

中小企業が事業展開等リスキリング支援コースを使う場合、経費の75%と、1人1時間1,000円の賃金助成が制度の内容です。経費助成には、10時間以上100時間未満の研修で1人30万円などの上限があります。実際の金額は審査で決まり、対象になるかどうかは労働局が判断します。

事業展開等リスキリング支援コースは、いつまで使えますか?

厚生労働省の資料では、令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置とされています。令和9年度以降の扱いは、厚生労働省の発表で確かめてください。計画届や研修の時期の扱いは、管轄の労働局に確かめるのが確実です。

eラーニングのAI研修でも対象になりますか?

対象になる場合があります。ただし、eラーニングや通信制は経費助成のみで、賃金助成はありません。経費助成の上限は、中小企業で1人15万円です。令和8年8月3日以降に出す計画届では、eラーニングは1人につき1年度に1回までです。

研修会社が助成金の申請を代行してくれますか?

申請書の作成や提出の代行を、報酬を得て行えるのは社会保険労務士だけです。研修会社が無料で代行すると言っていても、受講料に代行の対価が含まれていると見られると、問題になります。申請は会社が行い、手続きの代行は社会保険労務士に頼みます。

研修が終わってから、助成金を申請できますか?

できません。計画届を、研修を始める日の6か月前から1か月前までの間に出す必要があります。届を出していない研修は、支給されません。研修が終わった日の翌日から2か月以内の、支給申請も必要です。

出典・参考

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