AI導入支援とは?外部の専門家に頼めること
AI導入支援とは、会社がAIを仕事に使えるようになるまでを、外部の専門家が手伝うサービスの総称です。決まった定義はなく、会社によって指す範囲が違います。計画づくりだけを指すこともあれば、仕組みをつくるところまで含むこともあります。
頼める内容は、大きく4つの段階に分けられます。
- 課題の整理と計画づくり:どの仕事にAIを使うかを決め、順番と進め方をまとめる
- 社員の研修:社員がAIを使えるようにする。社内で使うルールの整理も含む
- 仕組みづくり(開発):ツールの設定や、業務を自動で進める仕組みをつくる
- 定着と見直し(顧問):導入のあとも、使い方と効果を続けて確かめ、直していく
「AIコンサル」と「AI導入支援」という言葉について
この記事では、1の課題の整理と計画づくりを「AIコンサル」、1から4までを含む広い呼び方を「AI導入支援」と呼びます。ただし、開発や運用まで含めて「AIコンサル」と呼ぶ会社もあります。呼び方は会社ごとに違うため、言葉ではなく、何をしてくれるかで比べます。
なぜ外部の支援を使うのか|国の調査でわかること
中小企業庁の資料によると、2019年以降のAI活用に「取り組んだ」中小企業は、約3割(30.3%、n=5,645)でした。取り組んでいない中小企業が挙げた理由は、次のとおりです(n=3,888、複数回答、上位5つ)。
| 理由(国の調査) | 割合 | 支援で手伝えること(この記事の整理) |
|---|---|---|
| 活用する業務がイメージできていない | 63.4% | 課題の整理と計画づくり |
| 活用を推進する人材が不足している | 40.0% | 社員の研修、顧問による伴走 |
| 社内ルール・ガイドラインが整備されていない | 26.2% | ルールの整理、入力してよい情報の整理 |
| セキュリティ・情報漏えいへの不安がある | 14.5% | ルールと、使うサービスの選び方 |
| 必要な予算を確保できない | 13.8% | 費用の見積もりと、補助金の確認 |
上位3つは、予算ではなく、どの仕事に使うか、誰が進めるか、どんなルールで使うかです。外部の支援は、この3つを決める場面で使うと考えると、頼む内容を決めやすくなります。
同じ資料には、ITツールの活用に関する調査もあります。従業員のITツール活用を促す研修や勉強会に取り組んでいる企業で、「想定した効果が得られなかった」と答えた割合は8.7%でした。取り組んでいない企業は19.1%です。部門間の連携ができている企業は7.6%、できていない企業は34.8%でした。ツールを入れるだけでなく、使う人の研修や、部署間の連携も、支援の範囲に入れて考えます。
AI導入支援の4つの種類|AIコンサル・研修・開発・顧問の違い
| 種類 | 頼めること | 向いている会社 | 1つだけでは足りないこと |
|---|---|---|---|
| AIコンサル(計画づくり) | 業務の整理、AIを使う仕事の優先順位づけ、導入計画書 | 何から始めるか決まっていない会社 | 社員が使えるようになること、動く仕組み |
| AI研修 | 社員がAIを使えるようにする。自社の業務を題材にした実習、社内ルールの整理 | 道具はあるが、使いこなせていない会社 | 仕事の選び方、仕組みづくり |
| AI開発 | 業務を自動で進める仕組み、AIエージェントの設計と構築 | 使う仕事が決まっていて、手作業を減らしたい会社 | 社員への定着、続けての見直し |
| AI顧問 | 定例の打ち合わせと日々の相談で、判断を続けて支える | 導入のあとも、相談できる人がほしい会社 | 手を動かす作業(開発など) |
1つの種類だけを頼むときは、右端の列の「足りないこと」を、社内か、別の依頼先で補う前提で決めます。種類ごとの詳しい内容は、次の記事で解説しています。
- 顧問:AI顧問とは?
- 研修:生成AI研修の選び方
- 開発:AIエージェントとは?
どれから頼むか|社内の状況別の目安
| 社内の状況 | 最初に頼むもの |
|---|---|
| AIで何をするか、まだ決まっていない | 課題の整理と計画づくり(AIコンサル) |
| 使う仕事は見えているが、社員が使えない | AI研修 |
| 使う仕事も手順も決まっていて、手作業を減らしたい | AI開発 |
| 使い始めていて、判断に迷う場面が出てきた | AI顧問 |
| いくつも当てはまる | 最初の相談で整理して、まとめて頼む形も含めて決める |
頼む前に、社内で決める3つのこと
外部の支援は、社内で決めたことがあるほど、使いやすくなります。見積もりを取る前に、次の3つを決めておきます。
1つ目:困っている仕事を、1〜3つ書き出す
「AIを入れたい」ではなく、「見積書の作成に、1件30分かかっている」「日報を読むのに、毎朝1時間かかる」のように、仕事の名前と時間で書きます。くり返す回数もあると、支援する側が範囲と費用を見積もりやすくなります。書き出し方は、業務の棚卸しで解説しています。
2つ目:社内の窓口を、1人決める
外部の担当者の質問に答え、結果を確かめる人です。社長でも、社員でも構いません。窓口がいないと、依頼した内容と現場の仕事が、少しずつずれていきます。国の調査でも、AIを活用していない理由の2番目は、「活用を推進する人材が不足している」(40.0%)でした。
3つ目:外に渡してよい情報を、決める
支援を受けるときは、自社の資料や、取引先の情報を渡す場面があります。何を渡してよいか、渡せない情報は何かを、先に決めます。個人情報や取引先の機密は、扱いを決めてから渡します。ルールの作り方は、生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。
費用の考え方|何に対して払うのか
AI導入支援の費用は、会社と内容によって違います。公的な相場表もありません。この記事では、金額の相場は書かず、費用が何で決まるかと、見積もりで確かめることを説明します。
| 種類 | 費用が決まる主な要素 | 見積もりで確かめること |
|---|---|---|
| AIコンサル(計画づくり) | 対象の業務の数、聞き取りの回数、成果物の内容 | 計画書に何が入るか。実行に必要な費用の見積もりも含まれるか |
| AI研修 | 受講の人数、時間、自社の業務を題材にするかどうか | 研修の時間数、人数の条件、教材と手順書が残るか |
| AI開発 | つなぐ業務の数、使うシステムの数、確認の仕組みの有無 | 対象の範囲、できあがりの定義、修正の回数、納品後の保守 |
| AI顧問 | 月の打ち合わせの回数、相談の窓口、対応の時間 | 月に何をしてくれるかの一覧、契約の最短期間 |
シス学の費用の目安
シス学の場合の目安は、研修が1名あたり8万円〜(12時間・税別・4名から)、開発が1業務50万円〜(税別)です。初回の相談(30分)は無料です。対象の業務、人数、つなぐ範囲で変わるため、詳しくは無料相談でお見積もりします。
費用を抑える公的な制度
デジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録されたITツールの導入費が対象です。事務局に登録されたIT導入支援事業者と、共同で申請します。公募要領には、交付決定の前に購入したITツールは対象外と書かれています。契約の前に、日程と条件を確かめます。詳しくはAI導入に使える補助金で解説しています。社員の研修の費用は、AI研修に使える助成金をご覧ください。
無料で使える公的な相談窓口
よろず支援拠点は、47都道府県に設置された、中小企業・小規模事業者の経営相談の窓口です。公式サイトによると、経営上のあらゆる相談に、何度でも無料で対応しています。AIに限らず、有料の支援に頼む前に、考えを整理する場として使えます。
依頼先の選び方|確かめる8つの質問
2〜3社から、同じ条件で見積もりを取り、次の表で比べます。答えは、口頭ではなく、紙やメールで残してもらいます。
| 確かめること | 質問の例 | よい答えの目安 |
|---|---|---|
| 自社の仕事を聞くか | 最初の打ち合わせで、何を聞かれますか | 業務の流れ、時間、困りごとを聞く。ツールの話から始めない |
| 何を渡してくれるか | 契約の終わりに、手元に何が残りますか | 計画書、手順書、設定済みの仕組みなど、物で答える |
| 範囲がはっきりしているか | どこまでが料金に含まれ、何が別料金ですか | 含まれる範囲と、別料金になる条件を、紙で示す |
| 社内に残るか | 終わったあと、自社だけで続けられますか | 手順書、研修、引き継ぎまで含めて計画している |
| 小さく始められるか | 1つの業務だけ、頼めますか | 1業務から契約でき、広げるかどうかをあとで決められる |
| 情報の扱い | 渡した資料は、どこに保管され、誰が見ますか | 保存先、見られる人、削除の方法を説明できる |
| 効果の確かめ方 | 何を見て、うまくいったと判断しますか | 所要時間、ミスの件数など、自社で測れる数字を挙げる |
| できないことを言うか | AIが向かない仕事は何ですか | 向かない仕事や、人の確認が要る場面を説明する |
「何でもできます」と答える会社より、できないことを説明する会社のほうが、見通しを立てやすくなります。
契約の前に確かめること|経済産業省のチェックリストから
経済産業省は、2025年2月に「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表しました。AI関連サービスの契約に慣れていない事業者を含めて、契約のときに確かめる点を整理したものです。チェックリストは、契約を次の3つの類型に分けています。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| 汎用的AIサービス利用型 | 提供されている汎用的なAIサービス(生成AIサービスなど)を使う契約 |
| カスタマイズ型 | 提供事業者が、自社向けに改良・調整したサービスを使う契約 |
| 新規開発型 | 開発事業者と組んで、独自のAIシステムを開発して使う契約 |
チェックリストは、会社が相手に渡す情報(インプット)と、相手から受け取る成果物(アウトプット)の2つを軸にしています。中小企業が見ておきたい点を、項目から挙げます。
- 渡した情報の使い道:相手が、渡した情報を、サービスの提供以外の目的に使えるか。相手が自社の学習に使うと定めている場合は、許容できるかを慎重に考える
- 渡した情報の管理:保管の体制とセキュリティの水準。管理の状況の確認や、情報の提供を求められるか
- 成果物の権利と使い道:できあがった成果物を、自社が使えるか。権利が誰のものか
- 個人情報:個人データを渡す場合は、個人情報保護法にもとづく扱いを整理する
- そのほかの条項:保証、責任の範囲、解除、準拠法・紛争解決なども、十分に検討する
契約の内容は、専門家の確認が要る場面があります。この記事は、法律上の助言ではありません。契約書の案が出たら、顧問弁護士などに見てもらいます。
AI導入支援でよくある失敗と対策
失敗1:丸投げして、社内に何も残らない
支援が終わると、使い方も、手順もわからなくなります。対策:社内の窓口を1人決め、手順書と研修を、契約の成果物に含めます。
失敗2:範囲を広げすぎて、どれも終わらない
最初から、全部の業務を対象にしてしまうことがあります。対策:最初は1つの仕事に絞り、90日で一巡させます。進め方は、業務改善にAIを使う方法で解説しています。
失敗3:成果物が決まらず、終わりが見えない
何が渡されたら完了か決めずに、始めてしまうことがあります。対策:契約の前に、完了の条件を紙に書きます。
失敗4:使えるのが、支援する側だけになる
仕組みができても、社員が使い方を知らず、止まってしまいます。対策:研修と手順書を入れ、社員が自分で使えるところまで進めます。
失敗5:入力してよい情報を決めずに始める
資料を渡したあとで、渡してはいけない情報だったとわかることがあります。対策:先に、渡してよい情報と、渡せない情報を分けます。
シス学のAI導入支援の進め方
シス学(システムAI経営学)は、社長の頭の中にある判断と勝ちパターンを、AIでマニュアルにし、AIエージェントで仕組みにして、誰がやっても回る会社をつくる経営の方法です。株式会社むさしAI研修のAI導入支援ブランドとして提供しています。旗の言葉は「世界は、システムでできている。」です。
シス学が会社に進めるやり方は、AIで会社をシステム化し、再現性を高めることです。具体的には、次の3つです。
- 社長や一部の社員の頭の中にある、手順と判断の基準を書き出し、会社の仕組みに移します。
- うまくいったやり方(勝ちパターン)を、誰がやっても同じ品質で、何度でも再現できるようにします。ミスも減ります。
- 新たな勝ちパターンのつくり方も仕組みにして、
進化し続けられるようにします。
このやり方で、次の「シス学で叶える3つのシ」を目指します。
- 1つ目のシ:収益改善:高収益体質へ。削れた作業時間と、新たな勝ちパターンで伸びた分の両方を、数字で確かめます。
- 2つ目のシ:時間創出:社長がいなくても回る会社へ。社長は経営の判断と次の一手に、社員はお客様への対応と自分の成長に、時間を使えるようにします。
- 3つ目のシ:承継価値の向上:いつでも、高い価値で次へ引き継げる会社へ。
この記事で扱ったAI導入支援は、1つ目のシ「収益改善」と、2つ目のシ「時間創出」につながります。
サービスは、3つです。シス学 AI戦略は、経営課題の分析とAI導入計画です。シス学 AI研修は、自社の業務を題材にした社員教育です。シス学 AI開発は、AIエージェントと業務自動化の構築です。この3つを、同じチームが担当します。戦略・研修・開発は、それぞれ単独でもご依頼いただけます。
全国オンラインで対応します。訪問での研修や打ち合わせは、地域と内容に応じてご相談ください。山口県の会社は、山口県のAI導入支援もご覧ください。
まとめ
- AI導入支援は、AIを仕事に使えるようになるまでを手伝うサービスの総称。呼び方は会社ごとに違うので、成果物で比べる
- 種類は、計画づくり(AIコンサル)、研修、開発、顧問の4つ。社内の状況で、最初に頼むものが変わる
- 頼む前に、困っている仕事、社内の窓口、渡してよい情報の3つを決める
- 費用は、業務の数・人数・範囲で決まる。契約の前に、成果物、情報の扱い、完了の条件を確かめる
まずは、困っている仕事を1〜3つ書き出してみてください。書き出しには、無料の社長の仕事 棚卸しパック(Excel・PDF)が使えます。お名前・会社名・メールアドレスの入力で受け取れます。AI導入の全体の流れは、中小企業のAI導入の進め方にまとめています。
書き出した仕事のうち、どれから頼むのがよいかを一緒に整理したいときは、日時を選んで無料相談を予約できます。初回は30分・無料・全国オンラインで、相談のあとに無理な営業はしません。
よくある質問
AI導入支援とは、何ですか?
会社がAIを仕事に使えるようになるまでを、外部の専門家が手伝うサービスの総称です。課題の整理と計画づくり、社員の研修、仕組みづくり、導入後の見直しなどが含まれます。決まった定義はなく、会社によって範囲が違います。
AIコンサルとAI導入支援は、何が違いますか?
この記事では、課題の整理と計画づくりを「AIコンサル」、研修や開発、顧問まで含む広い呼び方を「AI導入支援」としています。ただし、呼び方は会社ごとに違います。言葉ではなく、契約の終わりに何が手元に残るかで比べてください。
AI導入支援の費用は、どのくらいですか?
公的な相場表はなく、会社と内容によって違います。業務の数、人数、つなぐ範囲で決まります。シス学の目安は、研修が1名あたり8万円〜(12時間・税別・4名から)、開発が1業務50万円〜(税別)です。
AI導入支援に、補助金は使えますか?
デジタル化・AI導入補助金が、使える場合があります。対象は事務局に登録されたITツールで、事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で申請します。交付決定の前に購入したITツールは、対象外です。研修の費用は、人材開発支援助成金を確認します。
社内にAIに詳しい人がいなくても、頼めますか?
頼めます。ただし、外部の担当者の質問に答え、結果を確かめる窓口を、社内で1人決めてください。国の調査では、AIを活用していない理由の2番目が、「活用を推進する人材が不足している」(40.0%)でした。




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