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業務改善にAIを使う方法|年末年始に決める、来年の優先順位と進め方

事務所で、表計算の画面を開いたパソコンの前に座る社員に、隣の人が紙の書類を見せながら確認している様子

年末が近づくと、来年は業務を改善しよう、AIも使ってみよう、と考える社長がいます。ところが、年が明けると目の前の仕事に追われ、何から手をつけるかが決まらないまま、春になってしまいます。

中小企業庁の資料では、AIを活用していない中小企業が挙げた理由で最も多いのは、「活用する業務がイメージできていない」(63.4%、n=3,888)でした。道具を探す前に、自社のどの仕事を改善するかを決める必要があります。

この記事では、業務改善にAIを使う進め方を、年末年始にやることから順に解説します。1年の振り返り、来年の優先順位の決め方、90日で1つの仕事を回す手順、効果の測り方までわかります。

業務改善とは?AIを使うと何が変わるか

業務改善とは、仕事のやり方を見直して、ムダ、ミス、待ち時間を減らし、成果を高めることです。AIを使うと、手順が決まっている文章や数字の作業を、機械に渡せるようになります。下書き、転記、要約、照合の一覧づくりなどです。

中小企業庁の資料によると、2019年以降のAI活用の状況を聞いた調査(n=5,645)で、「取り組んだ」と答えた中小企業は、約3割(30.3%)でした。AI活用に取り組んだ事業者に、部門別の活用状況を聞いた結果は、次のとおりです。

AI活用に取り組んだ事業者の、部門別のAI活用状況(「活用している」と答えた割合)
部門活用している割合
バックオフィス部門73.4%
営業・販売・顧客対応部門68.2%
製造・生産管理・物流部門57.2%

同じ資料には、付加価値額の増加率の比較もあります。2019年以降に「成長に向けたAI活用」に取り組んだ企業(n=2,618)は23.0%、取り組んでいない企業(n=9,089)は17.9%でした。比べているのは、2024年と2019年の中央値です。AI以外の要因もあるため、AIだけの効果とは言えません。

AIに任せにくい仕事

  • 毎回内容が違い、手順を説明できない仕事(新しい取引先との条件の交渉など)
  • 相手との信頼関係そのものが価値になる場面(お詫びの電話、大事な取引先へのあいさつなど)
  • 会社の方針や、判断の基準そのものを決める仕事

こうした仕事は、仕事そのものではなく、準備と記録の部分だけを仕組みにします。たとえば、交渉の前に集める資料の一覧や、判断の記録です。

年末年始にやること1|1年の振り返りで、困りごとを書き出す

12月は、1年の仕事を振り返りやすい時期です。カレンダー、メール、LINEの履歴を見返しながら、次の質問に答えて書き出します。

1年の振り返りの質問と、見つかるもの
質問見つかるもの次にやること
1年で、いちばん時間を取られた仕事は何か時間のかかる仕事頻度と、1回の時間を書く
何度も直した書類や、やり直した作業は何かミスや手戻りの多い仕事確認の手順を作る
待たされた、待たせた場面は何か待ち時間のある仕事誰の確認で止まるかを見る
社長に確認が集まった判断は何か基準が書かれていない判断基準を、条件と数字で書く
特定の人しかできなかった仕事は何か属人化した仕事手順を書き出す役を、その人にお願いする
社員から「面倒」と言われた作業は何か現場の負担作業・確認・判断に分ける

社長1人で書かずに、社員にも聞きます。「仕事を取り上げるための調査ではなく、ふだんの仕事を楽にするためのもの」と、最初に伝えます。特定の人しか知らない仕事の扱いは、属人化を解消するには?で解説しています。

振り返りの進め方

  1. 社長と、各担当者が、それぞれ1人で、質問に答えて書き出す(付せんや表計算の1行に1つ)
  2. 書き出したものを、全員の分、1つの表に集める
  3. 同じ仕事が、何人の分に出てきたかを数える
  4. 時間がかかっているもの、何人も困っているものに、印を付ける

何人もが同じ仕事に困っている場合は、その仕事が、全社の困りごとです。優先順位の候補に入れます。

年末年始にやること2|来年の優先順位を、時間と失敗の影響で決める

書き出した仕事が多くても、来年の前半に手をつけるのは、1つか2つに絞ります。選ぶ軸は、かかっている時間と、失敗したときの影響です。

  • 最初に選ぶ:時間がかかっていて、失敗の影響が小さい仕事。日報の要約、問い合わせメールへの返事の下書きなど
  • 2番目:時間がかかっていて、失敗の影響が大きい仕事。確認の手順を先に作ってから進める。見積書、請求書の照合など
  • 後回し:時間があまりかかっていない仕事

詳しい選び方は、業務の棚卸しの記事にまとめています。2026年版の小規模企業白書では、社内ノウハウの蓄積・共有で有効だった取組は、「マニュアルや手順書の整備」が最も高い結果でした。仕事を手順にしておくと、AIにも、社員にも渡しやすくなります。

AIに向く仕事かを見る5つの質問

  • 週に何度も、同じ形でくり返す仕事か
  • 元になる資料が、データやメールで手元にあるか
  • 手順を、文章で説明できるか
  • 間違えても、確認の段階で気づけるか
  • 個人情報や取引先の機密を入れなくても、進められるか

「はい」が多い仕事ほど、AIに向いています。「いいえ」がある仕事は、その部分を先に整えます。たとえば、紙の資料を写す作業や、確認の手順づくりです。

AIで改善しやすい仕事の例

作業・確認・判断に分けた例(書き方の見本)
仕事作業(AIが下書き・転記)確認(社員)判断(社長)
見積書過去の見積書と単価表から、下書きを作る数量、条件、宛名を、依頼のメールと照らす基準を超える値引きに応じるかを決める
日報要点と、未対応の件を抜き出す担当者が、抜けと誤りを見る対応の優先順位を決める
問い合わせメール過去の返事をもとに、返事の下書きを作る先輩社員が、内容を見て送る前例のない問い合わせに答える
会議の記録録音の文字から、決まったことと担当を整理する出席者が、内容を確かめる決まったことの変更を決める

年末年始にやること3|予算と時期を、来年の計画に入れる

優先順位が決まったら、来年の計画に、時期と費用を入れます。決めておく項目は、次のとおりです。

来年の計画に入れる項目
項目決めること
対象の仕事優先順位が1位の仕事を1つ
担当者試す担当者と、結果を確かめる人
使う道具社内で使ってよいAIサービスと、入力してよい情報。生成AIの社内ルールの作り方で解説しています
費用ツールの月額、社員の研修、外部の支援。補助金や助成金を使う場合は、条件と日程を先に確認する
時期1月に着手し、3か月で一巡させる
測る数字導入前の所要時間、ミスの件数、社長への確認の回数

補助金や助成金には、公募回や条件があり、交付が決まる前に契約すると対象外になるものがあります。使う場合は、契約の前に確認します。AI導入に使える補助金とAI研修に使える助成金で解説しています。

来年1年の進め方の見通し

来年1年の進め方の見通し(目安)
時期やること
1〜3月優先順位が1位の仕事を、90日で一巡させる
4〜6月1つ目の仕事を見直し、2つ目の仕事に着手する
7〜9月社内ルールと、使ってよいサービスの一覧を見直す。3つ目の仕事を検討する
10〜12月1年の振り返りを行い、次の年の優先順位を決める

90日で1つの仕事を回す進め方

  1. 1〜2週目:今を測る。1回にかかる時間、ミスの件数、待ち時間を、1週間分記録する
  2. 3〜5週目:作業・確認・判断に分け、手順と基準を書く。書き方は、マニュアル作成にAIを使う方法で解説しています
  3. 6〜9週目:AIに下書きを頼み、担当者が確かめる。入力してよい情報は、先に決めておく
  4. 10〜12週目:初めての人に試してもらい、直す。手順書だけで進めてもらい、つまずいた所を直す
  5. 13週目:効果を測り、続けるか、広げるかを決める。導入前と同じ項目で測る

13週は、約90日です。1つの仕事が回ったら、次の仕事に広げます。最初から複数の仕事を並べると、どれも終わらなくなります。

効果の測り方|数字は自社のものを使う

効果は、導入前と同じ項目で比べます。他社の数字ではなく、自社の数字を使います。

測る項目の例
項目測り方見積書の例
1回の所要時間10回分を記録して、平均を出す見積書1件を作るのにかかった分数
ミス・手戻りの件数1か月の件数を数える金額や宛名を直した件数
待ち時間依頼から返事までの日数を見る依頼を受けてから、社長の確認が終わるまでの日数
社長への確認の回数1週間の回数を数える値引きや例外の相談の回数

中小企業庁の資料には、ITツールの活用に関する調査もあります。従業員のITツール活用を促す研修や勉強会に取り組んでいる企業で、「想定した効果が得られなかった」と答えた割合は8.7%でした。取り組んでいない企業は19.1%でした。

部門間の連携でも差がありました。連携できている企業で、「想定した効果が得られなかった」と答えた割合は7.6%、連携できていない企業は34.8%でした。ツールを入れる前に、使う人の研修と、関係する部署との連携を、計画に入れます。

業務改善でよくある失敗と対策

失敗1:改善する仕事が多すぎて、どれも終わらない

年初に、あれもこれもと決めてしまうことがあります。対策:来年の前半は、優先順位が1位の仕事を1つに絞り、一巡させます。

失敗2:道具を先に決める

先にツールを決めると、そのツールでできる仕事を探すことになります。対策:仕事、手順、基準の順に決めて、最後に道具を選びます。

失敗3:効果を測らず、続けるか決められない

導入の前の数字がないと、効果を比べられません。対策:着手する前の週に、所要時間とミスの件数を記録します。

失敗4:現場に伝えず、社長だけで進める

現場の手順と、社長が思っている手順が違うことがあります。対策:振り返りの段階から社員に聞き、書いた手順を、実際にやっている人に直してもらいます。

失敗5:1回やって終わる

仕事は、AIを入れたあとも変わります。対策:3か月に1回、同じ項目を測り直し、手順を見直します。

シス学の進め方|来年の業務改善を、仕組みにして進めます

シス学(システムAI経営学)は、社長の頭の中にある判断と勝ちパターンを、AIでマニュアルにし、AIエージェントで仕組みにして、誰がやっても回る会社をつくる経営の方法です。株式会社むさしAI研修のAI導入支援ブランドとして提供しています。旗の言葉は「世界は、システムでできている。」、掲げる言葉は「AIエージェントで売上を上げる」です。

シス学が会社に進めるやり方は、AIで会社をシステム化し、再現性を高めることです。具体的には、次の3つです。

  • 手順と判断の基準を仕組みに移し、下書きや転記はAIが、確かめる仕事は社員が受け持ちます。
  • うまくいったやり方(勝ちパターン)を、誰がやっても同じ品質で、何度でも再現できるようにします。ミスも減ります。
  • 新たな勝ちパターンのつくり方も仕組みにして、進化し続けられるようにします。

このやり方で、次の「シス学で叶える3つのシ」を目指します。

  • 1つ目のシ:収益改善:高収益体質へ。削れた作業時間と、新たな勝ちパターンで伸びた分の両方を、数字で確かめます。
  • 2つ目のシ:時間創出:社長がいなくても回る会社へ。社長は判断と次の一手に、社員はお客様への対応と自分の成長に、時間を使えるようにします。
  • 3つ目のシ:承継価値の向上:いつでも、高い価値で次へ引き継げる会社へ。

この記事で扱った業務改善は、1つ目のシ「収益改善」と、2つ目のシ「時間創出」につながります。

シス学 AI戦略では、年末年始の振り返りから、来年の優先順位づけ、導入計画づくりまでを、社長と担当者から話を伺って一緒に進めます。社員向けのAI研修、手順の自動化を行うAI開発も、同じチームで担当します。

全国オンラインで対応し、初回のご相談は無料です。費用は、業務の内容を伺ってお見積もりします。日時を選んで無料相談を予約できます。

まとめ

  • 業務改善の中心は、道具ではなく、仕事の見直し。AIは、手順が決まった作業の部分を受け持つ
  • 年末年始にやることは3つ。1年の振り返り、来年の優先順位(時間と失敗の影響)、予算と時期
  • 来年の前半は、優先順位が1位の仕事を1つに絞り、90日で一巡させる
  • 効果は、導入前と同じ項目で測る。ツールを入れる前に、研修と部署間の連携も計画に入れる

まずは、この1年で、いちばん時間を取られた仕事を、1つ書き出してみてください。年が明けたら、着手する週に、所要時間とミスの件数を、1週間分記録します。それが、効果を比べるときの基準になります。AI導入の全体の流れは、中小企業のAI導入の進め方にまとめています。

よくある質問

業務改善に、AIはどのように使えますか?

手順が決まっている文章や数字の作業を、AIに手伝わせます。見積書の下書き、日報の要点の抜き出し、問い合わせメールへの返事の下書き、会議の記録の整理などです。確認と判断は、人が行います。

業務改善は、何から始めればよいですか?

1年の振り返りで、いちばん時間を取られた仕事、何度も直した仕事、社長に確認が集まった判断を書き出します。そのうえで、時間がかかっていて、失敗の影響が小さい仕事を1つ選びます。

年末年始は、何をしておけばよいですか?

1年の仕事の振り返り、来年の優先順位づけ、予算と時期の確認の3つです。着手する前の所要時間とミスの件数も、記録を始めておきます。

業務改善の効果は、どう測ればよいですか?

導入前と同じ項目で、導入後に測り直します。1回の所要時間、ミスや手戻りの件数、待ち時間、社長への確認の回数などです。自社の数字を使います。

業務改善に、補助金は使えますか?

AIのソフトウェアの導入には、デジタル化・AI導入補助金があります。ただし、対象は、事務局に登録されたITツールで、交付決定の前に契約・発注すると対象外になります。補助金の手続きは、事務局に登録されたIT導入支援事業者と進めます。

出典・参考

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