業務改善とは?AIを使うと何が変わるか
業務改善とは、仕事のやり方を見直して、ムダ、ミス、待ち時間を減らし、成果を高めることです。AIを使うと、手順が決まっている文章や数字の作業を、機械に渡せるようになります。下書き、転記、要約、照合の一覧づくりなどです。
中小企業庁の資料によると、2019年以降のAI活用の状況を聞いた調査(n=5,645)で、「取り組んだ」と答えた中小企業は、約3割(30.3%)でした。AI活用に取り組んだ事業者に、部門別の活用状況を聞いた結果は、次のとおりです。
| 部門 | 活用している割合 |
|---|---|
| バックオフィス部門 | 73.4% |
| 営業・販売・顧客対応部門 | 68.2% |
| 製造・生産管理・物流部門 | 57.2% |
同じ資料には、付加価値額の増加率の比較もあります。2019年以降に「成長に向けたAI活用」に取り組んだ企業(n=2,618)は23.0%、取り組んでいない企業(n=9,089)は17.9%でした。比べているのは、2024年と2019年の中央値です。AI以外の要因もあるため、AIだけの効果とは言えません。
AIに任せにくい仕事
- 毎回内容が違い、手順を説明できない仕事(新しい取引先との条件の交渉など)
- 相手との信頼関係そのものが価値になる場面(お詫びの電話、大事な取引先へのあいさつなど)
- 会社の方針や、判断の基準そのものを決める仕事
こうした仕事は、仕事そのものではなく、準備と記録の部分だけを仕組みにします。たとえば、交渉の前に集める資料の一覧や、判断の記録です。
年末年始にやること1|1年の振り返りで、困りごとを書き出す
12月は、1年の仕事を振り返りやすい時期です。カレンダー、メール、LINEの履歴を見返しながら、次の質問に答えて書き出します。
| 質問 | 見つかるもの | 次にやること |
|---|---|---|
| 1年で、いちばん時間を取られた仕事は何か | 時間のかかる仕事 | 頻度と、1回の時間を書く |
| 何度も直した書類や、やり直した作業は何か | ミスや手戻りの多い仕事 | 確認の手順を作る |
| 待たされた、待たせた場面は何か | 待ち時間のある仕事 | 誰の確認で止まるかを見る |
| 社長に確認が集まった判断は何か | 基準が書かれていない判断 | 基準を、条件と数字で書く |
| 特定の人しかできなかった仕事は何か | 属人化した仕事 | 手順を書き出す役を、その人にお願いする |
| 社員から「面倒」と言われた作業は何か | 現場の負担 | 作業・確認・判断に分ける |
社長1人で書かずに、社員にも聞きます。「仕事を取り上げるための調査ではなく、ふだんの仕事を楽にするためのもの」と、最初に伝えます。特定の人しか知らない仕事の扱いは、属人化を解消するには?で解説しています。
振り返りの進め方
- 社長と、各担当者が、それぞれ1人で、質問に答えて書き出す(付せんや表計算の1行に1つ)
- 書き出したものを、全員の分、1つの表に集める
- 同じ仕事が、何人の分に出てきたかを数える
- 時間がかかっているもの、何人も困っているものに、印を付ける
何人もが同じ仕事に困っている場合は、その仕事が、全社の困りごとです。優先順位の候補に入れます。
年末年始にやること2|来年の優先順位を、時間と失敗の影響で決める
書き出した仕事が多くても、来年の前半に手をつけるのは、1つか2つに絞ります。選ぶ軸は、かかっている時間と、失敗したときの影響です。
- 最初に選ぶ:時間がかかっていて、失敗の影響が小さい仕事。日報の要約、問い合わせメールへの返事の下書きなど
- 2番目:時間がかかっていて、失敗の影響が大きい仕事。確認の手順を先に作ってから進める。見積書、請求書の照合など
- 後回し:時間があまりかかっていない仕事
詳しい選び方は、業務の棚卸しの記事にまとめています。2026年版の小規模企業白書では、社内ノウハウの蓄積・共有で有効だった取組は、「マニュアルや手順書の整備」が最も高い結果でした。仕事を手順にしておくと、AIにも、社員にも渡しやすくなります。
AIに向く仕事かを見る5つの質問
- 週に何度も、同じ形でくり返す仕事か
- 元になる資料が、データやメールで手元にあるか
- 手順を、文章で説明できるか
- 間違えても、確認の段階で気づけるか
- 個人情報や取引先の機密を入れなくても、進められるか
「はい」が多い仕事ほど、AIに向いています。「いいえ」がある仕事は、その部分を先に整えます。たとえば、紙の資料を写す作業や、確認の手順づくりです。
AIで改善しやすい仕事の例
| 仕事 | 作業(AIが下書き・転記) | 確認(社員) | 判断(社長) |
|---|---|---|---|
| 見積書 | 過去の見積書と単価表から、下書きを作る | 数量、条件、宛名を、依頼のメールと照らす | 基準を超える値引きに応じるかを決める |
| 日報 | 要点と、未対応の件を抜き出す | 担当者が、抜けと誤りを見る | 対応の優先順位を決める |
| 問い合わせメール | 過去の返事をもとに、返事の下書きを作る | 先輩社員が、内容を見て送る | 前例のない問い合わせに答える |
| 会議の記録 | 録音の文字から、決まったことと担当を整理する | 出席者が、内容を確かめる | 決まったことの変更を決める |
年末年始にやること3|予算と時期を、来年の計画に入れる
優先順位が決まったら、来年の計画に、時期と費用を入れます。決めておく項目は、次のとおりです。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 対象の仕事 | 優先順位が1位の仕事を1つ |
| 担当者 | 試す担当者と、結果を確かめる人 |
| 使う道具 | 社内で使ってよいAIサービスと、入力してよい情報。生成AIの社内ルールの作り方で解説しています |
| 費用 | ツールの月額、社員の研修、外部の支援。補助金や助成金を使う場合は、条件と日程を先に確認する |
| 時期 | 1月に着手し、3か月で一巡させる |
| 測る数字 | 導入前の所要時間、ミスの件数、社長への確認の回数 |
補助金や助成金には、公募回や条件があり、交付が決まる前に契約すると対象外になるものがあります。使う場合は、契約の前に確認します。AI導入に使える補助金とAI研修に使える助成金で解説しています。
来年1年の進め方の見通し
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1〜3月 | 優先順位が1位の仕事を、90日で一巡させる |
| 4〜6月 | 1つ目の仕事を見直し、2つ目の仕事に着手する |
| 7〜9月 | 社内ルールと、使ってよいサービスの一覧を見直す。3つ目の仕事を検討する |
| 10〜12月 | 1年の振り返りを行い、次の年の優先順位を決める |
90日で1つの仕事を回す進め方
- 1〜2週目:今を測る。1回にかかる時間、ミスの件数、待ち時間を、1週間分記録する
- 3〜5週目:作業・確認・判断に分け、手順と基準を書く。書き方は、マニュアル作成にAIを使う方法で解説しています
- 6〜9週目:AIに下書きを頼み、担当者が確かめる。入力してよい情報は、先に決めておく
- 10〜12週目:初めての人に試してもらい、直す。手順書だけで進めてもらい、つまずいた所を直す
- 13週目:効果を測り、続けるか、広げるかを決める。導入前と同じ項目で測る
13週は、約90日です。1つの仕事が回ったら、次の仕事に広げます。最初から複数の仕事を並べると、どれも終わらなくなります。
効果の測り方|数字は自社のものを使う
効果は、導入前と同じ項目で比べます。他社の数字ではなく、自社の数字を使います。
| 項目 | 測り方 | 見積書の例 |
|---|---|---|
| 1回の所要時間 | 10回分を記録して、平均を出す | 見積書1件を作るのにかかった分数 |
| ミス・手戻りの件数 | 1か月の件数を数える | 金額や宛名を直した件数 |
| 待ち時間 | 依頼から返事までの日数を見る | 依頼を受けてから、社長の確認が終わるまでの日数 |
| 社長への確認の回数 | 1週間の回数を数える | 値引きや例外の相談の回数 |
中小企業庁の資料には、ITツールの活用に関する調査もあります。従業員のITツール活用を促す研修や勉強会に取り組んでいる企業で、「想定した効果が得られなかった」と答えた割合は8.7%でした。取り組んでいない企業は19.1%でした。
部門間の連携でも差がありました。連携できている企業で、「想定した効果が得られなかった」と答えた割合は7.6%、連携できていない企業は34.8%でした。ツールを入れる前に、使う人の研修と、関係する部署との連携を、計画に入れます。
業務改善でよくある失敗と対策
失敗1:改善する仕事が多すぎて、どれも終わらない
年初に、あれもこれもと決めてしまうことがあります。対策:来年の前半は、優先順位が1位の仕事を1つに絞り、一巡させます。
失敗2:道具を先に決める
先にツールを決めると、そのツールでできる仕事を探すことになります。対策:仕事、手順、基準の順に決めて、最後に道具を選びます。
失敗3:効果を測らず、続けるか決められない
導入の前の数字がないと、効果を比べられません。対策:着手する前の週に、所要時間とミスの件数を記録します。
失敗4:現場に伝えず、社長だけで進める
現場の手順と、社長が思っている手順が違うことがあります。対策:振り返りの段階から社員に聞き、書いた手順を、実際にやっている人に直してもらいます。
失敗5:1回やって終わる
仕事は、AIを入れたあとも変わります。対策:3か月に1回、同じ項目を測り直し、手順を見直します。
シス学の進め方|来年の業務改善を、仕組みにして進めます
シス学(システムAI経営学)は、社長の頭の中にある判断と勝ちパターンを、AIでマニュアルにし、AIエージェントで仕組みにして、誰がやっても回る会社をつくる経営の方法です。株式会社むさしAI研修のAI導入支援ブランドとして提供しています。旗の言葉は「世界は、システムでできている。」、掲げる言葉は「AIエージェントで売上を上げる」です。
シス学が会社に進めるやり方は、AIで会社をシステム化し、再現性を高めることです。具体的には、次の3つです。
- 手順と判断の基準を仕組みに移し、下書きや転記はAIが、確かめる仕事は社員が受け持ちます。
- うまくいったやり方(勝ちパターン)を、誰がやっても同じ品質で、何度でも再現できるようにします。ミスも減ります。
- 新たな勝ちパターンのつくり方も仕組みにして、
進化し続けられるようにします。
このやり方で、次の「シス学で叶える3つのシ」を目指します。
- 1つ目のシ:収益改善:高収益体質へ。削れた作業時間と、新たな勝ちパターンで伸びた分の両方を、数字で確かめます。
- 2つ目のシ:時間創出:社長がいなくても回る会社へ。社長は判断と次の一手に、社員はお客様への対応と自分の成長に、時間を使えるようにします。
- 3つ目のシ:承継価値の向上:いつでも、高い価値で次へ引き継げる会社へ。
この記事で扱った業務改善は、1つ目のシ「収益改善」と、2つ目のシ「時間創出」につながります。
シス学 AI戦略では、年末年始の振り返りから、来年の優先順位づけ、導入計画づくりまでを、社長と担当者から話を伺って一緒に進めます。社員向けのAI研修、手順の自動化を行うAI開発も、同じチームで担当します。
全国オンラインで対応し、初回のご相談は無料です。費用は、業務の内容を伺ってお見積もりします。日時を選んで無料相談を予約できます。
まとめ
- 業務改善の中心は、道具ではなく、仕事の見直し。AIは、手順が決まった作業の部分を受け持つ
- 年末年始にやることは3つ。1年の振り返り、来年の優先順位(時間と失敗の影響)、予算と時期
- 来年の前半は、優先順位が1位の仕事を1つに絞り、90日で一巡させる
- 効果は、導入前と同じ項目で測る。ツールを入れる前に、研修と部署間の連携も計画に入れる
まずは、この1年で、いちばん時間を取られた仕事を、1つ書き出してみてください。年が明けたら、着手する週に、所要時間とミスの件数を、1週間分記録します。それが、効果を比べるときの基準になります。AI導入の全体の流れは、中小企業のAI導入の進め方にまとめています。
よくある質問
業務改善に、AIはどのように使えますか?
手順が決まっている文章や数字の作業を、AIに手伝わせます。見積書の下書き、日報の要点の抜き出し、問い合わせメールへの返事の下書き、会議の記録の整理などです。確認と判断は、人が行います。
業務改善は、何から始めればよいですか?
1年の振り返りで、いちばん時間を取られた仕事、何度も直した仕事、社長に確認が集まった判断を書き出します。そのうえで、時間がかかっていて、失敗の影響が小さい仕事を1つ選びます。
年末年始は、何をしておけばよいですか?
1年の仕事の振り返り、来年の優先順位づけ、予算と時期の確認の3つです。着手する前の所要時間とミスの件数も、記録を始めておきます。
業務改善の効果は、どう測ればよいですか?
導入前と同じ項目で、導入後に測り直します。1回の所要時間、ミスや手戻りの件数、待ち時間、社長への確認の回数などです。自社の数字を使います。
業務改善に、補助金は使えますか?
AIのソフトウェアの導入には、デジタル化・AI導入補助金があります。ただし、対象は、事務局に登録されたITツールで、交付決定の前に契約・発注すると対象外になります。補助金の手続きは、事務局に登録されたIT導入支援事業者と進めます。



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