AI顧問とは?中小企業が頼めること
AI顧問とは、社外の専門家が、定例の打ち合わせと日々の相談を通して、会社のAI活用を経営の立場から支える頼み方です。税理士や社会保険労務士の顧問のように、続けて相談できる相手を社外に持つ形です。
大事なのは、ツールを1つ入れて終わりではないことです。どの仕事からAIに任せるか、社員にどう使わせるか、効果をどう確かめるかを、社長と一緒に決め続けます。
AI顧問に頼めることの例
- 順番づくり:見積書、日報、受注メールの入力など、どの仕事からAIに任せるかを決める
- ツールの見極め:新しく出たAIツールが自社に要るかどうかを、業務に当てはめて判断する
- 社内ルール:顧客情報を入れてよいか、AIが作った文書を誰が確かめてから外に出すかを決める
- 質問の窓口:社員の「この使い方で合っていますか?」に答える
- 効果の確認:削れた作業時間や外注費を、月ごとの数字で確かめる
- 開発の判断:既製のツールで足りるか、自社向けの仕組みを作るべきかを見極める
反対に、AI顧問だけで社員の使い方がそろったり、仕組みが出来上がったりするわけではありません。研修や開発が必要なときは、顧問が判断材料を整え、別の契約や別の担当と組み合わせて進めます。
AI顧問とAIコンサル・研修・システム開発の違い
AIの支援には、いくつかの頼み方があります。名前は会社によって違いますが、中身で比べると次のように分かれます。
| 頼み方 | 主な中身 | 期間の考え方 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| AI顧問 | 定例の打ち合わせと日々の相談で、判断を続けて支える | 月ごとに続ける | 何から始めるか、どこまでやるかを相談しながら進めたい |
| AIコンサル | 業務の分析と導入計画を、期限を決めてまとめる | 数か月の区切り | 計画を一度しっかり作りたい |
| AI研修 | 社員がAIを使えるように教える | 研修の日程ごと | 使う人を増やしたい |
| システム開発 | AIエージェントや自動化の仕組みを作る | 開発の範囲ごと | 任せる仕事と手順がもう決まっている |
中小企業では、最初から大きな計画を作るより、相談しながら小さく始めるほうが合うこともあります。AI顧問は、その「相談しながら」の部分を受け持つ頼み方です。計画づくりや研修、開発が必要になった時点で、ほかの頼み方と組み合わせます。
なぜ中小企業にAI顧問が役立つのか
中小企業庁が2026年版中小企業白書の概要として示した資料では、省力化の投資でAIの活用に「取り組んだ」中小企業は30.3%でした。取り組んでいない事業者が挙げた理由の上位は、次のとおりです。
| 理由 | 回答の割合 | AI顧問が受け持てること |
|---|---|---|
| 活用する業務がイメージできていない | 63.4% | 自社の仕事を聞き、AIに任せる作業を具体的に挙げる |
| 活用を推進する人材が不足している | 40.0% | 社内の担当者と一緒に進め、判断に迷う所を支える |
| 社内ルール・ガイドラインが整備されていない | 26.2% | 使ってよい範囲と確認の手順を、ひな形から一緒に決める |
3つの理由は、どれも「知っている人が近くにいない」ことから起きています。AIの機能の説明はインターネットにあふれていますが、自社の見積書や日報に当てはめて考えてくれる人はいません。社員を採用して任せるには、仕事量も費用も読みにくい。この隙間を埋めるのが、AI顧問です。
ルールづくりも後回しにできません。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を入力するときの注意を呼びかけています。総務省と経済産業省は、AIを開発・提供・利用する事業者に向けた「AI事業者ガイドライン」を公表しています。こうした公的な資料を読み解き、自社の大きさに合うルールに落とし込むのも、顧問の仕事です。
AI顧問の進め方|最初の3か月と毎月やること
進め方は会社によって違いますが、ここでは一つの例として、最初の3か月と、その後に毎月くり返すことを紹介します。
最初の3か月の例
- 1か月目:社長と担当者から、今の仕事の流れを聞く。見積書、請求書、日報、受注メールなど、時間がかかっている仕事を書き出し、「作業」「確認」「判断」に分ける
- 2か月目:効果が出やすく、すぐ試せる仕事を1つ選び、AIで試す。同時に、社内で使ってよい範囲のルールを1枚にまとめる
- 3か月目:試した結果を数字で確かめ、続けるか、広げるか、やめるかを決める。次に任せる仕事の順番を決める
毎月くり返すこと
- 定例の打ち合わせで、先月の結果と今月の進め方を決める
- 社員からの質問に答え、よく出る質問は手順書に足していく
- 新しいツールや機能のうち、自社に関係するものだけを伝える
- 削れた作業時間、外注費、手直しの件数などを月ごとに確かめる
社長の手元に残すのは「判断」です。AIが下書きした見積書を社員が確かめ、最後の金額だけを社長が決める。こうした任せ方を一つずつ増やすと、社長の時間が生まれます。考え方は社長がいないと回らない会社から抜け出す方法でも詳しく解説しています。
AI顧問の費用はどう決まる?見積もりで確かめること
AI顧問の費用は、頼む範囲で大きく変わります。金額だけを比べると、中身の違う契約を比べてしまうことになります。費用を左右するのは、主に次の点です。
| 決まること | 確かめたい点 |
|---|---|
| 打ち合わせの回数と時間 | 月に何回、1回何分か。オンラインか訪問か |
| 相談の受け方 | メールやチャットで随時聞けるか。返事はいつまでに来るか |
| 対象の人数と部署 | 社長だけか、担当者や各部署の社員の質問も受けるか |
| 作るものの量 | ルールのひな形、手順書、効果の報告書を作るか |
| 研修・開発の扱い | 顧問料に含まれるか、別の見積もりか |
| 契約の期間 | 最低の期間があるか。途中でやめるときの決まり |
払い方は、月ごとに決まった額を払う形、使った時間に応じて払う形、計画づくりなどの区切りごとに払う形があります。相談が毎月続くなら月ごとの形、聞きたいことが時々なら時間ごとの形が合いやすい、というように、使い方に合わせて選びます。
AI顧問の選び方|頼む前のチェック表
頼む相手を選ぶときは、次の点を初回の相談で確かめます。
| 確かめること | なぜ確かめるか |
|---|---|
| 自社の仕事を聞いてから提案するか | 最初からツールの話をする相手は、仕事の流れが変わるところまで考えていないことがある |
| 特定のツールの販売が目的になっていないか | 自社に合わないツールを勧められると、費用だけが増える |
| 研修や開発が必要になったときの進め方が決まっているか | 相談だけで止まると、仕事の流れは変わらない |
| 情報の扱いを最初に決めるか | 見積書や顧客の情報を見せる前に、守秘義務と扱う範囲を書面にしておく |
| 効果の測り方を一緒に決めるか | 数字で確かめないと、続けるかやめるかを判断できない |
| 社内で回せる状態をゴールにしているか | 顧問の頭の中にやり方が残ると、契約が終わったときに元に戻る |
最後の点は見落とされがちです。AI顧問のゴールは、顧問がいなくても社内で回る状態をつくることです。手順書や判断の基準を会社に残してくれるかどうかを、契約の前に確かめておきます。
AI顧問でよくある失敗と対策
失敗1:任せきりにして、社内に担当がいない
顧問は社外の人です。社内で試す人、社員に声をかける人がいないと、打ち合わせで決めたことが進みません。対策:社内の担当者を1人決め、定例には社長と担当者がそろって出ます。
失敗2:定例が「最新ニュースの紹介」で終わる
新しいツールの話は面白いのですが、それだけでは仕事は変わりません。対策:定例の最後に、来月までにやることと担当者を決めます。
失敗3:ルールがないまま、各自が使い始める
社員がそれぞれ好きなツールに顧客情報を入れてしまうと、後から止めるのは大変です。対策:最初の1か月で、使ってよいツールと入れてはいけない情報を1枚にまとめます。
失敗4:やり方が顧問の頭の中にだけ残る
AIの使い方を顧問だけが知っている状態は、社長だけが知っている状態と同じ属人化です。対策:手順書と判断の基準を、会社の共有フォルダに残していきます。属人化のほどき方は属人化を解消するには?で解説しています。
シス学の進め方
シス学は、株式会社むさしAI研修のAI導入支援ブランドです。「AIエージェントで売上を上げる」を掲げ、AIで会社をシステム化して再現性を高めるやり方で、収益改善、時間創出、承継価値の向上の「3つのシ」を目指しています。
シス学は、顧問の形ではなく、3つのサービスで進めます。シス学 AI戦略で変える業務と順番を決め、シス学 AI研修で社員がAIを使えるようにし、シス学 AI開発で繰り返す仕事を仕組みにします。手順書と判断の基準は、会社の中に残します。
全国オンラインで対応し、費用は業務の内容を伺ってお見積もりします。初回のご相談は無料です。
まとめ
- AI顧問は、社外の専門家が定例と日々の相談で、AI活用を経営の立場から支える頼み方
- 中小企業がAIを使っていない理由の上位は、使う業務が見えない、進める人がいない、ルールがない。どれも顧問が受け持てる
- 費用は頼む範囲で決まる。見積もりは「月に何をしてくれるか」の一覧で比べる
- 選ぶときは、自社の仕事を聞くか、ツールの販売が目的でないか、社内に残る形をゴールにしているかを確かめる
まずは、社長の1週間の仕事を書き出し、AIに下書きや転記を任せられそうな仕事に印を付けてみてください。印が付いた仕事が、外の専門家と最初に話すテーマになります。進め方全体は中小企業のAI導入の進め方にまとめています。
よくある質問
AI顧問とAIコンサルの違いは何ですか?
AIコンサルは、業務の分析や導入計画を、期限を決めてまとめる頼み方が中心です。AI顧問は、定例の打ち合わせと日々の相談で、判断を続けて支える頼み方です。計画を作ってから、その実行を顧問として支える組み合わせもあります。
AI顧問の費用はどのように決まりますか?
打ち合わせの回数と時間、随時の相談の受け方、相談できる人数、作る資料の量、研修や開発を含むかどうか、契約の期間で決まります。見積もりは、月ごとにやることの一覧で比べるのがおすすめです。
AIに詳しい社員がいなくても頼めますか?
はい。詳しい社員がいないからこそ、社外の専門家に相談する意味があります。ただし、社内で試す担当者は1人決めておくと、打ち合わせで決めたことが進みやすくなります。
どのくらいの期間お願いすればよいですか?
社内で回せるようになるまでを目安に決めます。最初に、何ができたら顧問を終えるかを決めておくと、目的のないまま契約が続くのを防げます。
顧問に社内の資料や顧客の情報を見せても大丈夫ですか?
見せる前に、守秘義務と、扱う情報の範囲、保存先を書面で決めておきます。顧客の個人情報を使わずに、仕事の流れだけを説明して相談することもできます。




PDF・11ページ/3項目の入力ですぐに読めます