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新人教育をAIで仕組み化するやり方|8ステップとそのまま使えるプロンプト

会議室で、社員たちがノートPCを前に座り、講師が正面の画面の表を指しながら説明している様子

「新人が入ると、ベテランが1か月まるごと付きっきりになる」「中途で入った人に、同じことを3回説明した」。中小企業の新人教育は、教える人の時間でまかなわれています。教える人がいちばん忙しいベテランや社長だと、教えている間、その人の仕事が止まります。

教える時間の多くは、同じ説明のくり返し、仕事の途中に入る質問、「もう一人で任せてよいか」の見極めに使われています。この3つは、手順書・質問の受け皿・練習問題・チェック表という4つの道具に置き換えられます。道具の下書きはAIが得意な仕事です。

この記事では、教える人の時間の記録から、4つの道具をAIで作り、一人立ちを確かめるまでを解説します。8つのステップと、そのまま使えるプロンプト付きです。社員がこの作り方を自社の業務で練習する研修は、シス学 AI研修でご案内しています。

新人教育は、なぜベテランと社長の時間を取るのか

新人教育で教える人の時間がふくらむのは、教える中身が教える人の頭の中にしかないからです。書かれていないので、新人が来るたびに口で説明し、聞かれるたびに手を止め、できたかどうかも教える人の感覚で決めることになります。

育成の問題は「教える人がいない」「辞めてしまう」「時間がない」

厚生労働省の「令和7年度 能力開発基本調査」(常用労働者30人以上の企業・事業所が対象、令和8年7月31日公表)を見ます。能力開発や人材育成に何らかの問題があるとした事業所は80.1%でした。問題の内訳は次のとおりです。

人材育成に関する問題点(問題があるとした事業所、複数回答。令和7年度 能力開発基本調査 図36)と、仕組みで変えられること
問題点割合仕組みで変えられること
指導する人材が不足している59.5%説明を手順書と練習問題に移し、教える人がいなくても新人が自分で進められる時間を増やす
人材を育成しても辞めてしまう51.6%次に何を覚えればよいか、どこまでできたかを、新人自身が表で見られるようにする
人材育成を行う時間がない45.5%質問をまとめて受ける時間を決め、仕事の途中で手を止める回数を減らす
鍛えがいのある人材が集まらない27.5%(採用の問題。この記事では扱わない)
育成を行うための金銭的余裕がない14.3%新しい道具を買う前に、今の業務用のAIで下書きから始める
人材育成の方法がわからない10.0%この記事の8ステップを1つの業務で試す

同じ調査で、教育担当者・期間・内容を決めて段階的に行う「計画的なOJT」を、正社員の新入社員に実施した事業所は52.3%でした。正社員への計画的なOJTの実施率を企業の大きさ別に見ると、差がはっきり出ます。

正社員に計画的なOJTを実施した事業所の割合(企業規模別。令和7年度 能力開発基本調査 図34)
企業の大きさ実施した割合
30〜49人44.4%
50〜99人51.3%
100〜299人70.4%
300〜999人69.8%
1,000人以上78.4%

30〜49人の会社では、計画を持って正社員を育てている事業所は半分に届きません。正社員以外(パート・契約社員など)への計画的なOJTは、全体でも25.1%です。小さい会社ほど、教育が「隣の先輩しだい」になりやすいことがわかります。

小さい事業所ほど、新卒が3年以内に辞める割合が高い

厚生労働省が令和7年10月24日に公表した、令和4年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、高卒が37.9%、大卒が33.8%でした。事業所の大きさ別では次のとおりです。

新規学卒就職者の事業所規模別 就職後3年以内の離職率(令和4年3月卒業者)
事業所の大きさ高校卒大学卒
5人未満63.2%57.5%
5〜29人54.6%52.0%
30〜99人45.2%41.9%
100〜499人36.7%33.9%
500〜999人29.9%31.5%
1,000人以上26.3%27.0%

辞める理由は教育だけではありません。ただ、教える中身が人の頭の中にあると、辞めるたびに一から教え直しになり、教える人の時間はくり返し消えていきます。教えた中身を道具として会社に残しておけば、次の新人には同じ道具を渡せます。

教える人の時間が消える4つの所と、置き換える道具

教える時間が消える所と、それを受け持つ道具
時間が消える所よくある場面置き換える道具AIの役割
同じ説明のくり返し新人が来るたび、受注の入力を最初から口で説明する手順書ベテランの説明の文字起こしから下書きを作る
仕事の途中の質問「これはどっちの書式ですか?」で1日に何度も手が止まる質問の受け皿手順書をもとに先に答える。答えられない質問を集める
覚えたかの確認「わかった?」「はい」で次へ進み、あとで間違いが見つかる練習問題手順書から問題と解説を作る
任せてよいかの見極めいつ一人で任せるかを、教える人の感覚で決めているチェック表到達点から、できたかを見る項目の下書きを作る

近いテーマは別の記事で解説しています。手順書の書き方はマニュアル作成にAIを使う方法、社員全体の質問のFAQ化は社内FAQをAIで作るやり方です。退職・異動のときの引き継ぎは引き継ぎ書×AI プロンプト&事例10選にまとめています。この記事は、4つの道具を「新人が一人立ちするまでの順番」に並べる方法を扱います。

新人教育をAIで仕組み化する8つのステップ

全部の業務を一度に仕組みにする必要はありません。次に入る新人が最初の1か月で担当する業務を1つ選び、その業務で8ステップを一周させます。各ステップのプロンプトの全文は、次の章にまとめています。

8つのステップと担当
ステップやること担当できあがるもの
1教える人の時間を1週間記録する教える人+AI時間の記録と、多い説明・質問の一覧
2一人立ちの到達点を動詞で1行に書く社長・教える人業務ごとの到達点
3初日から3か月までの育成表を作る教える人+AI期間別の育成表
4ベテランの説明を録って手順書にするベテラン+AI手順書
5質問の受け皿を作る教える人・総務質問ノート、答える時間の決まり、新人用のAIの指示文
6練習問題を作るAI+教える人選択式の問題と場面の問題
7チェック表で一人立ちを判定する教える人・社長業務ごとのチェック表
8新人の質問と間違いで直し、時間を測り直す教える人+AI直した道具、教える時間の比較

Step 1:教える人の時間を1週間記録する

最初に、今どこで時間が消えているかを数字にします。次の新人が入る前なら、今いちばん新しい社員への説明で構いません。教える人に、1週間だけ次の表をつけてもらいます。紙でも表計算ソフトでも構いません。

教える時間の記録表(例)
日付種類中身(聞かれた言葉のまま)かかった分手が止まった仕事
〔10/1〕説明受注の入力の流れを最初から〔40〕〔見積の作成〕
〔10/1〕質問「この取引先は締め日が違いますか?」〔5〕〔電話対応〕
〔10/2〕確認入力した受注を横で見て直した〔20〕〔請求書の確認〕
〔10/2〕見極め「もう一人でやらせていいか」を社長に相談〔10〕―

種類は、前の章の4つ(説明・質問・確認・見極め)に分けます。1週間たったら、記録をAIに集計させ、種類ごとの合計時間と、くり返し出てきた説明・質問の上位を出します(プロンプト1)。この合計時間が、Step 8で比べる「始める前の数字」になります。

Step 2:一人立ちの到達点を、動詞で1行に書く

業務ごとに「何ができたら一人で任せるか」を1行で書きます。「受注の流れを理解している」のような書き方は、できたかどうかを誰も判定できません。「〔取引先〕からの注文メールを、先輩の確認なしで受注システムに入力し、出荷の指示まで出せる」のように、人が見て判定できる動詞で書きます(プロンプト2で書き直せます)。

到達点の書き方(悪い例と良い例)
業務よくない書き方判定できる書き方
受注受注の流れを把握する注文メールを、確認なしで入力し、出荷の指示まで出せる
請求請求業務を理解する月末の請求書〔20〕件を、締め日の前日までに発行し、先輩の確認で直しが〔1件〕以下
電話電話対応ができるよくある問い合わせ〔5〕種に答え、それ以外は聞き取りメモを作って担当に回せる
現場安全に作業できる作業前の点検表を一人で記入し、異常があれば作業を止めて〔職長〕に報告できる

新卒と中途では、到達点は同じでも、教える中身が変わります。新卒には仕事の基本から、中途には「前の会社とのやり方の違い」と「社内の決まり・使う道具・聞く相手」を中心に教えます。中途社員に一般論から教えると、時間が無駄になるうえ、本人の経験を軽く見ていると受け取られかねません。

到達点を決めるのは社長か、その業務の責任者です。ここは「判断」の仕事なので、AIには書き直しの案を出させるところまでにします。

Step 3:初日から3か月までの育成表を作る

到達点が決まったら、そこまでを期間で区切ります。初日に手順書を何本も渡しても、新人は読み切れません。区切るのは渡す量を減らすためと、確かめる間隔を決めるためです。1週間ごとに確かめていれば、つまずいている新人に遅くとも1週間で気づけます。

期間別の育成表(例)
期間渡すものこの時点の到達点確かめ方教える人の役目
初日会社の決まり、連絡の手段、質問の仕方、手順書1本出退勤と連絡、質問ノートへの書き込みが一人でできるその場で口頭質問の受け皿の使い方を見せる
1週目担当業務の全体の流れ、手順書2〜3本業務の流れを自分の言葉で説明できる練習問題(選択式)1日2回、決めた時間にまとめて質問に答える
2〜4週目残りの手順書、よくある例外の一覧先輩の確認つきで、業務を最後まで終えられる練習問題(場面)と、出来上がったものの確認出来上がったものを見て直す
1か月判断が要る場面の一覧と、聞く相手到達点の1行を、確認つきで満たすチェック表チェック表で判定し、面談する
3か月担当を広げる業務の手順書到達点を確認なしで満たすチェック表と、1か月分の直しの件数任せる範囲を社長と決める

手元にある手順書の一覧をAIに渡すと、この表の形に割り振った下書きを作れます(プロンプト3)。初日に渡すのは手順書1本まで、前の内容を前提にしている手順書は後ろの期間に置く、という条件を付けるのがこつです。

Step 4:ベテランの説明を録って、手順書にする

ベテランに手順書を書いてもらおうとすると、忙しくて進みません。代わりに、Step 1で多かった説明を、新人に話すつもりで10〜15分しゃべってもらい、録音して文字にします。その文字起こしをAIに渡し、手順書の形に整えさせます(プロンプト4)。新人向けの手順書で、特に抜けやすいのは次の4つです。

新人向けの手順書で抜けやすい4つの項目
項目なぜ抜けるか書き方の例
終わりの基準ベテランには当たり前で、口で言わない〔受注システム〕の状態が「出荷指示済み」に変わったら完了
迷ったときに聞く相手その場で誰かに聞けばよいと思っている値引き・納期の変更は〔営業課長〕へ。入力の操作は〔総務の担当〕へ
よくある間違い起きてから口で注意して終わっている同じ社名の別の取引先を選んでしまう。取引先番号で確かめる
社内の言葉の意味社内で毎日使うので、言葉だと気づかない「赤伝」=取り消しの伝票のこと

よくある間違いは、ベテランに「この手順どおりに新人がやったら、どこで間違えますか?」と聞くと出てきます。手順書の項目と、確かめ方の詳しい手順はマニュアル作成にAIを使う方法にまとめています。AIの下書きは、必ず話したベテランが読み、今のやり方と合っているかを確かめます。

Step 5:質問の受け皿を作る

新人の質問をなくすことはできませんし、なくすべきでもありません。変えるのは、質問が教える人に届く「時間」と「経路」です。次の3つを決めます。

質問の受け皿の決まり(例)
決めること中身例
質問ノート新人が質問を書き込む共有の表。聞かれた言葉のまま残す日付、質問、自分で調べた所、答え、答えた人
まとめて答える時間教える人が質問にまとめて答える時間を1日に決める〔11:30〕と〔16:30〕の2回、各15分
すぐ聞いてよい質問待たずに、その場で聞いてよい種類安全にかかわること、お客様を待たせていること、お金の間違い

あわせて、会社で使ってよいと決めた生成AIに手順書を読み込ませ、新人が先にAIに聞ける形を作ります。最初の指示文で「手順書にないことは答えず、質問ノートに書くよう案内する」「値引き・納期・お客様への約束など、決める必要がある質問には答えない」と決めておきます(プロンプト5)。AIが答えられなかった質問は、手順書に足すべき所の目印になります。社員全体の質問を受けるFAQの作り方は社内FAQをAIで作るやり方で解説しています。

Step 6:練習問題を作る

手順書を読んだかどうかは、問題を解いてもらえばわかります。AIに手順書の本文を渡し、2種類の問題を作らせます(プロンプト6)。

練習問題の2つの種類
種類何を確かめるか例
選択式(4択・5問)手順と、終わりの基準を覚えたか「受注の入力が終わったと言えるのは、次のどれですか?」1. 保存を押した時 2. 状態が「出荷指示済み」に変わった時 3. 先輩に報告した時 4. お客様から受領の連絡が来た時
場面の問題(記述・2問)例外のときに、正しい相手に回せるか「お客様から、注文メールのあとに電話で数量を減らしたいと言われました。あなたは何をしますか?」

選択式の間違いの選択肢は、新人が実際にやりがちな間違い(Step 4で聞いたもの)から作ります。ありえない選択肢を混ぜると、読まなくても正解できてしまいます。合格の目安(たとえば5問中〔4〕問)は社内で決め、不合格なら解説を読んでやり直します。同じ問題で何人も間違えるなら、直すのは新人ではなく手順書か問題のほうです。

Step 7:チェック表で一人立ちを判定する

「もう一人でできます」という本人の申し出だけで任せると、早すぎることがあります。判定は、Step 2の到達点を、教える人が見て確かめる形にします。AIに到達点と手順書を渡すと、チェック表の下書きを作れます(プロンプト7)。

チェック表(受注の入力の例)
確かめる項目見学した先輩と一緒にできた一人でできた(確認者・日付)
注文メールから、取引先番号で正しい取引先を選べる□□□ 〔 〕
数量・単価・納期を、注文メールと照らして入力できる□□□ 〔 〕
在庫が足りないとき、〔営業課長〕に回せる□□□ 〔 〕
状態が「出荷指示済み」になったことを確かめて終えられる□□□ 〔 〕
入力〔10〕件のうち、先輩の確認での直しが〔1〕件以下――□ 〔 〕

「一人でできた」の欄は、教える人が実際の仕事を見て印を付けます。全部に印が付いたら、社長(または業務の責任者)が任せる範囲を決めます。任せる決定は「判断」なので、AIや教える人の感覚にまかせず、表をもとに決めます。

Step 8:新人の質問と間違いで直し、教える時間を測り直す

新人が1か月を終えたら、質問ノート、AIが答えられなかった質問、練習問題で多かった間違いを、AIにまとめさせます(プロンプト8)。手順書に足す所、問題を直す所、決まりを決める必要がある所に分け、手順書と問題は同じ日に直します。手順書だけ直して問題が古いままだと、古いやり方を正解として教え続けてしまいます。

最後に、Step 1と同じ記録表を1週間つけ、説明・質問・確認・見極めの時間を比べます。どこが減って、どこが減っていないかを見れば、次に手を入れる道具がわかります。この表は、次の新人が入るときにそのまま使えます。

新人教育の仕組みづくりにそのまま使えるプロンプト8つ

会社として使ってよいと決めた生成AIに、そのまま貼って使えます。〔 〕の中を自社の内容に置き換えてください。新人やお客様の名前は、貼る前に消すか置き換えます。

どのプロンプトの結果も、AIが作った下書きです。手順書と練習問題はその業務のベテランが、到達点とチェック表は社長か責任者が確かめてから新人に渡します。

新人の情報をAIに入れるときの注意

個人情報保護委員会は、会社が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入れるときの注意を出しています。1つ目は、その個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめること。2つ目は、本人の同意なく個人データを入れる場合、そのデータが機械学習に使われないこと等を十分に確かめることです。新人教育で気をつけたいのは、次の情報です。

  • 新人の評価、面談の記録、健康や家族の事情は、AIに入れない。チェック表の集計は名前を〔新人A〕のように置き換える
  • 手順書の例に、実在するお客様の名前・住所・電話番号を使わない。〔取引先〕〔お客様〕に置き換える
  • 新人が質問するAIに、給与表や人事の資料など、全員が見てはいけない資料を読み込ませない

社内で使ってよいAIと入れてはいけない情報の決め方は、生成AIの社内ルールの作り方にまとめています。

新人教育×AIでよくある失敗

失敗1:AIの下書きを、ベテランが読まずに新人に渡す

AIは、文字起こしにない手順をもっともらしく補うことがあります。新人は手順書を信じるので、間違いがそのまま身につきます。対策:手順書は話したベテランが、練習問題の正解はその業務の担当者が読んでから渡します。プロンプトに「書いていないことは書き足さず、確かめることとして並べる」と入れておくと、確かめる所が見つけやすくなります。

失敗2:あらゆる例外を書こうとして、手順書ができあがらない

「こういう場合も、ああいう場合も」と書き足すうちに、最初の新人が来る日に間に合いません。対策:手順書には、よく起きる例外を3つまでと「それ以外は〔誰〕に聞く」を書きます。残りは、新人の質問ノートから足していきます。

失敗3:初日に手順書をまとめて渡す

全部の手順書を初日に渡すと、どれから読むかで迷い、結局どれも読まれません。対策:Step 3の育成表どおり、初日は1本、その後も期間ごとに渡します。

失敗4:本人の「わかりました」で次へ進む

新人は、わからないと言いにくいものです。対策:覚えたかは練習問題で、できるかはチェック表で、教える人が確かめます。どちらも、新人の評価ではなく、手順書の分かりやすさを測る道具として扱います。

失敗5:質問の相手をAIだけにする

「まずAIに聞いて」だけにすると、新人は聞きたいことを聞けず、決める必要がある質問にまでAIの答えで動いてしまいます。対策:答えられない質問と判断の質問は人に回す決まりを指示文に書き、まとめて答える時間を1日に決めて、人に聞ける場を残します。

失敗6:一度作って直さない

手順が変わっても手順書と練習問題が古いままだと、次の新人は古いやり方を覚えます。対策:手順書の最後に更新日と担当を書き、Step 8を新人が入るたびに行います。直すきっかけは、新人の質問と間違いです。

シス学の場合|新人教育を「作業・確認・判断」に分ける

シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。シス学では、仕事を「作業・確認・判断」に分けて考えます。新人教育に当てはめると、次のようになります。

新人教育の「作業・確認・判断」
任せ先受け持つ仕事新人教育では
AI作業教える時間の記録の集計、文字起こしから手順書の下書き、育成表・練習問題・チェック表の下書き、手順書にない質問の集計
社員(教える人・ベテラン)確認下書きが今のやり方と合っているかを確かめる。まとめて答える時間に質問に答え、チェック表で「一人でできた」を確かめる
社長判断業務ごとの到達点を決める。チェック表をもとに、任せる範囲を決める。質問から出てきた「決まりがない所」の決まりを決める

これまで教える人が口で受け持っていた説明と確認の多くを、道具とAIに移せます。教える人に残るのは、下書きを確かめることと、決めた時間に質問に答えることです。社長の仕事は、到達点と任せる範囲を決める「判断」が中心になります。社長やベテランに集まっていた時間を、AIと社員に渡していく(時間創出)ための、具体的な一歩です。

シス学 AI研修では、社員が自社の業務を題材に、この記事のような手順書・練習問題・チェック表をAIで作るところまで練習します。研修の内容によっては、人材開発支援助成金の対象となる場合があります(審査で決まり、受給を保証するものではありません。条件はAI研修に使える助成金で解説しています)。AIを使いこなす人の育て方はAI人材育成とは?にまとめています。業務の手順をそろえる進め方は業務の標準化の進め方をご覧ください。

まずは無料相談から。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。全国オンラインで対応しています。30分の無料相談で、次に入る新人のどの業務から仕組みにできるかを一緒に整理します。

まとめ

  • 新人教育の時間は、説明のくり返し・途中の質問・覚えたかの確認・任せてよいかの見極め、の4つで消える。それぞれを手順書・質問の受け皿・練習問題・チェック表に置き換える
  • 厚生労働省の調査では、育成の問題の上位は「指導する人材が不足」59.5%、「育成しても辞めてしまう」51.6%、「時間がない」45.5%。30〜49人の企業で正社員に計画的なOJTを行う事業所は44.4%
  • 順番は、時間の記録 → 到達点 → 育成表 → 手順書 → 質問の受け皿 → 練習問題 → チェック表 → 直しと測り直し
  • AIは下書きと集計を受け持ち、ベテランが中身を確かめ、社長が到達点と任せる範囲を決める
  • 新人の評価や健康の情報、お客様の個人情報はAIに入れない

まずは、次に入る新人が最初に担当する業務を1つ選び、「何ができたら一人で任せるか」を動詞で1行に書いてみてください。そのうえでベテランに「この業務で、新人はどこで間違えますか?」と5分だけ聞けば、手順書と練習問題の材料がそろい始めます。

よくある質問

新人教育にAIを使うと、どこが楽になりますか?

手順書・育成表・練習問題・チェック表の下書きと、質問や間違いの集計が楽になります。ベテランが説明を10〜15分話して録音すれば、文字起こしから手順書の下書きを作れます。中身が合っているかを確かめるのは、ベテランと社長の仕事として残ります。

新卒と中途社員で、教え方は変えるべきですか?

一人立ちの到達点は同じでも、教える中身は変えます。新卒には仕事の基本から、中途には前の会社とのやり方の違い、社内の決まり、使う道具、聞く相手を先に教えます。育成表を作るときに、新卒か中途かをAIに伝えると、割り振りを変えた下書きを作れます。

教える担当者がいない小さな会社でも、この方法は使えますか?

使えます。厚生労働省の調査でも、育成の問題の最上位は「指導する人材が不足している」(59.5%)です。教える人が社長1人でも、説明を手順書に、質問を決めた時間のまとめ答えに、見極めをチェック表に移せば、社長が手を止める回数を減らせます。

新人がAIに聞けば済むなら、先輩はいらなくなりますか?

いらなくはなりません。AIが答えてよいのは手順書に書いてあることだけにし、手順書にない質問や、値引き・納期・お客様への約束など決める必要がある質問は、人に回すよう決めます。先輩の仕事は、同じ説明のくり返しから、質問にまとめて答えることと、できたかを確かめることに変わります。

新人の評価や面談の内容をAIに入れて、まとめさせてもよいですか?

おすすめしません。個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を含む指示を入力するときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめるよう求めています。チェック表や質問の集計は、名前を〔新人A〕のように置き換えて行い、評価や健康・家族の事情は入れないようにします。

一人立ちまでの期間は、どのくらいを目安にすればよいですか?

業務と会社によって違うため、一律の目安はありません。この記事では初日・1週目・2〜4週目・1か月・3か月に区切る例を紹介しました。業務ごとに到達点を決め、チェック表で判定して、その結果から次の新人の期間を見直していくのが確かです。

出典・参考

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