AI人材とは?中小企業では「社長・推進役・現場」の3つの役割で考える
AI人材育成とは、AIを使って仕事のやり方を変えるために、社内の誰に、どんな力を、どの順番で身につけてもらうかを決めて育てることです。AIに詳しい人を1人つくることではなく、社長・社員それぞれが自分の役割の中でAIを使える状態をつくります。
国の物差しは、経済産業省とIPAが個人の学習と企業の人材育成の指針として定めた「デジタルスキル標準(DSS)」です。経営層を含む全てのビジネスパーソンが対象の「DXリテラシー標準」と、DXを専門的に進める人材が対象の「DX推進スキル標準」の2つでできています。後者は、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、データマネジメント、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの6つの類型を定めています。
中小企業が6つの類型を最初から全部そろえる必要はありません。DSS自身が、全てを最初から揃えることは必須ではなく、事業規模や進み具合に応じて一部の役割からそろえていくことが想定される、と書いています。そこで中小企業では、社内の役割を次の3つに絞って考えます。
| 役割 | 誰が | 受け持つ仕事 | IPA「DX動向2026」の人材の区分 |
|---|---|---|---|
| 社長(経営層) | 社長、役員 | どの仕事を変えるか、順番、学ぶ時間と予算を決める | AIに理解がある経営・マネジメント層 |
| 推進役 | 業務の流れを知る社員1〜2人 | AIで試し、うまくいったやり方を手順にして広げる | 現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員 |
| 現場の社員 | 対象の業務をしている社員 | 自分の業務でAIを使い、出てきた結果を確かめる | AIツールを活用して、自社の事業に活かせる従業員 |
AI人材の育成が今必要な理由|足りないのは人数より「育てる人の設計」
IPAの「DX動向2026」(2026年4月中旬〜6月中旬に調査、1,799社が回答)で、DXに取り組んでいる企業に人材の過不足を聞いた結果です。
| 項目 | 数字 | ページ |
|---|---|---|
| 推進する人材の「量」が不足(やや不足+大幅に不足) | 85.5%(うち大幅に不足は50.1%) | p.54 |
| 推進する人材の「質」が不足(同) | 88.8%(うち大幅に不足は52.9%) | p.56 |
| 従業員100人以下の企業で「量」が不足 | 6割超 | p.55 |
| 従業員100人以下の企業で「質」が不足 | 7割超 | p.57 |
| 推進する人材像を「設定し、社内に周知している」 | 16.2% | p.58 |
| DX人材の評価基準が「基準はない」 | 76.1% | p.58 |
| DX推進に必要なスキルを「把握できていない」 | 52.8% | p.60 |
注目したいのは、下の3行です。どんな人を育てるかを決めて社内に伝えている企業は2割に満たず、必要なスキルを把握できていない企業が半分を超えます。IPAは、スキルを把握している企業ほど不足感が低いとしています。「質」が大幅に不足と答えた割合は、把握している企業で40.6%、把握できていない企業で64.0%でした(p.61)。
社長の側の理由もあります。同じ調査で、DXに取り組んでいない従業員100人以下の企業が挙げた理由の1位は「自社がDXに取組むメリットがわからない」の54.0%でした(p.9)。社員の育成より先に、社長自身が「何のためにAIを使うか」を決める必要があるということです。
AI人材に求められるスキル【3階層】|国の標準に生成AIの項目が足された
デジタルスキル標準は、生成AIの広がりを受けて2023年8月と2024年7月に改訂され、2026年4月にはver.2.0になりました。そこに書かれた項目を、中小企業の3つの役割に当てはめると、次の3階層になります。
① 全員に要る力:AIを安全に使うリテラシー
2023年8月、DXリテラシー標準に「生成AI利用において求められるマインド・スタンス」が補記されました。中身は次の3つです。
- 生成AIを、問いを立てる、仮説を立てて確かめるといった仕事の力と掛け合わせて使う
- 期待しない結果が出ること、著作権などの権利侵害、情報漏えい、倫理的な問題に注意が要ると理解する
- 生成AIによる仕事や生活の変化に目を向け、学び続ける
ver.2.0の学習項目の例には、文章・画像・音声を作るツールの概要と「指示(プロンプト)の手法」が入っています。行動の例には「生成AIの出力に対し、客観的な事実を確認した上で利用する」があります。社員全員に最初に教えるのは、この「入れてよい情報の区別」と「出てきた答えの確かめ方」です。
② 現場の社員に要る力:自分の業務で使う力
現場の社員には、一般的な使い方より、自分の業務の作業をAIに頼んで結果を確かめる力が要ります。厚生労働省も、生成AIで商品提案書の構成案づくりや文章の生成・修正を学ぶ営業担当者向けの訓練を、業務に直結した例として挙げています。営業なら提案書、事務なら受注メールの転記、製造なら日報の集計のように、職種ごとに題材を分けます。
③ 推進役と社長に要る力:仕事の流れを変える企画・推進の力
2024年7月のver.1.2では、DX推進スキル標準に生成AIの補記が加わりました。主な項目は「生成AIの特性」「生成AIを含む新技術への向き合い方・行動の起こし方」「生成AIに対するアクション」です。「個人として業務において生成AIを活用する例」も載っています。2026年4月のver.2.0では、データマネジメントの類型が新しくでき、AIの実装・運用やAIガバナンス(使い方の管理)のスキルが足されました。
中小企業の推進役に置き換えると、どの作業をAIに任せるか選ぶ、うまくいったやり方を手順書にする、社内のルールを守らせる、効果を数字で測る、の4つです。社長については、DSSが、経営層が技術と考え方を知ることで自社の方向性を考え、社員に示せるようになる、と効果を書いています。
AI人材のタイプ別比較|中小企業にいちばん足りないのは推進役
| 役割 | 人数の目安 | 必要なスキル | 育て方 | できたと言える目印 |
|---|---|---|---|---|
| 社長 | 1人(役員も一緒に) | AIでできること・できないことを知り、変える仕事と順番を決める | 半日ほどの経営者向けの講座か、推進役が試した結果を一緒に見る | 変える仕事3つと、学ぶ時間・予算を書いた紙がある |
| 推進役 | 1〜2人 | 業務を作業・確認・判断に分ける、手順書にする、ルールを決める、効果を測る | 10時間以上の研修+自社の業務での試行。社外の専門家に相談できる窓口 | 1つの業務でAIを使う手順書ができ、ほかの社員が使えている |
| 現場の社員 | 対象の業務の担当者から | 自分の業務でAIに頼み、事実を確かめてから使う | 自社の業務を題材にした練習+推進役のフォロー | 本番の業務で週1回以上使い、確認の手順を守っている |
IPA「DX動向2026」で、AIに関わる人材の充足を経年で見た結果です。「AIに理解がある経営・マネジメント層」と「AIツールを活用して、自社の事業に活かせる従業員」は、不足の回答が他より減っています。一方で「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員」は、不足の回答が高いままです(p.63)。社長や使う人は増えても、その間をつなぐ推進役が空いている、ということです。
AI人材を採用する?育てる?|推進役は社内から選び、専門の仕事は外に頼む
AI人材を外から採用する手もありますが、推進役は社内から選ぶほうが合います。国の区分の名前どおり、推進役に要るのは「現場の知見」と基礎的なAIの知識の両方で、自社の業務の流れと判断の基準は社内にしかないからです。
| 分け方 | 対象の役割・仕事 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内で育てる | 社長、推進役、現場の社員 | 業務の流れ、取引先ごとの事情、判断の基準を知っているのは社内の人だけ |
| 外に頼む | 研修の講師、AIエージェントなどの仕組みの開発、データの整備 | DX推進スキル標準の専門の類型にあたり、最初から社内にそろえる必要はない |
| 採用を考える | 社内で開発を続ける、データを事業の柱にする段階の専門職 | 外に頼む量が増え続け、社内に置いたほうが早い段階になってから考える |
外に頼む場合も、頼んだ結果がよいか悪いかを判断する人は社内に置きます。開発の会社が作った仕組みを、推進役が「自社の手順どおりに動くか」で確かめ、社長が使うかどうかを決めます。
AI人材を育成する5ステップ|誰を、どの順で育てるか
育成は、次の5つのステップで進めます。期間は、1つ目の業務から始める場合の目安で、業務の量と人数で変わります。
| ステップ | 期間 | 誰が | やること | 終わりの目印 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 今の力を見える化する | 1〜2週間 | 社長・推進役 | スキルマップで全員の今の状態に印を付ける | 役割ごとの○△×の表 |
| 2. 教える順番と中身を決める | 2週間 | 社長 | 社長→推進役→現場の順番と、題材にする業務を決める | 1年分の育成の計画 |
| 3. 自社の業務で練習する | 1〜3か月 | 推進役・現場 | 題材の業務で研修と試行をくり返す | 本番の業務で使う手順書 |
| 4. 成果の物差しで確かめる | 毎月 | 社長・推進役 | 時間・使っている人数・手直しを数える | 続ける・広げる・やめるの判断 |
| 5. 外部の研修と助成金を組む | 研修の1か月以上前から | 社長・推進役 | 社内で教えきれない所を外部に頼み、助成金の条件を確かめる | 研修の日程と計画届の期限 |
ステップ1:今の力を見える化する(スキルマップ)
DSSの項目を、中小企業で確かめやすい6つにしました。社員ごとに○(できる)・△(教われば分かる)・×(まだ)を付けます。本人の自己評価と、推進役の見立ての両方を付けると、ずれが分かります。
| 確かめる項目 | ○の目安 | 主に見る役割 |
|---|---|---|
| 入れてよい情報の区別 | 顧客名・金額・個人情報を入れてよいか、社内ルールで説明できる | 全員 |
| 答えの事実確認 | AIの答えの数字・固有名詞を、元の資料と照らしてから使う | 全員 |
| 自分の業務で頼む | 自分の業務の作業を1つ、AIに頼んで時間を短くできた | 現場・推進役 |
| 手順にして渡す | うまくいったやり方を、ほかの人が同じようにできる手順書にした | 推進役 |
| 効果を数字で測る | 始める前と後の1件あたりの時間を、同じ方法で測った | 推進役・社長 |
| 変える仕事を決める | AIに任せる仕事の順番と、学ぶ時間・予算を決めた | 社長 |
ステップ2:教える順番と中身を決める(教育体系)
順番は「社長→推進役→現場の第1陣→全員」です。社長が先なのは、何の仕事を変えるかが決まらないと、推進役も題材を選べないからです。
| 順番 | 誰に | 中身 | 形式 |
|---|---|---|---|
| 1 | 社長・役員 | AIでできること、他社の使い方、自社で変える仕事の選び方 | 講座か個別の相談 |
| 2 | 推進役 | 業務の分け方、指示の書き方、手順書、社内ルール、効果の測り方 | 10時間以上の研修+社内での試行 |
| 3 | 現場の第1陣(対象の業務の担当者) | その業務でのAIの使い方と確認の手順 | 自社の業務を題材にしたワークショップ |
| 4 | 全員 | 入れてよい情報、答えの確かめ方、相談先 | 短い社内説明会と1枚のルール |
ステップ3:自社の業務を題材に練習する
練習の題材は、受講する人がふだんしている業務にします。厚生労働省は、汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練を、特定の業務への適用を伴わないとして、助成の対象外の例に挙げています。社内の練習でも同じで、自分の業務に当てはめない練習は、本番で使われません。練習の指示文は、たとえば次のように、確かめ方まで書きます。
指示文の例(事務の練習):「あなたは当社の受注事務の担当です。次の受注メールから、品名・数量・納期・届け先を表にしてください。メールに書かれていない項目は「不明」と書き、推測で埋めないでください。」
練習のあとは、受講者が表と元のメールを1項目ずつ照らし合わせます。DSSの行動例にある「出力の事実を確かめてから使う」を、手を動かして身につける時間です。
ステップ4:成果の物差しを決める(KPI)
研修を受けた人数だけでは、育成がうまくいったか分かりません。次の4つを毎月数えます。
| 物差し | 測り方 | 見る人 |
|---|---|---|
| 1件あたりの作業時間 | 対象の業務で、始める前と後を同じ方法で測る | 社長 |
| 本番で使っている人数 | 週1回以上、本番の業務でAIを使った人を数える | 推進役 |
| 手直しの件数 | AIの下書きを、確認の段階で直した件数を記録する | 推進役 |
| 共有された手順書・指示文の数 | 社内の共有フォルダに置かれた数を数える | 推進役 |
ステップ5:外部の研修と助成金を組み合わせる
推進役の研修のように社内で教えきれない所は、外部の研修で補います。選び方は生成AI研修の選び方、各社の公開料金はAI研修の費用相場にまとめています。
研修の費用には、厚生労働省の人材開発支援助成金が使える場合があります。事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業は訓練経費の75%と、受講者1人1時間あたり1,000円の賃金が助成の対象です。このコースは令和8年度末までの時限措置です。主な条件は次のとおりです。
- 受講者は、会社の雇用保険適用事業所の雇用保険被保険者であること
- 計画届を、研修を始める日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ出すこと
- 研修の経費は、支給申請の日までに会社がいったん全額を負担すること
- 受講者の職務に直接関連し、10時間以上の訓練であること
- 計画届を出す日までに「職業能力開発推進者」を選び、「事業内職業能力開発計画」を作って社員に知らせていること
| 研修やお金の使い方 | 扱い |
|---|---|
| DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練 | 対象外(共通の知識にとどまる) |
| AI研修とAIツールの導入をセットにし、ツールの費用も研修費として申請する | 研修費は対象、AIツールの導入費用は対象外 |
| eラーニングによる訓練 | 同じ社員について1年度に1回まで(コース全体では1年度3回まで) |
最後の条件は、この記事の設計図とつながります。事業内職業能力開発計画は、自社の人材育成の基本的な方針を書く計画です。厚生労働省の記載例にも「自社内のDX推進のため情報技術等の人材を育成する」という例があります。ステップ1〜2で決めた「誰を、どの順で、何のために育てるか」が、その土台になります。
職業能力開発推進者は、研修の企画や実施を決める権限がある人から選びます(例:人事や労務の担当部課長)。常時雇用する労働者が100人以下の事業所で適任者がいない場合などは、本社の推進者が兼ねることもできます。社内でAIを進める「推進役」とは別の役目なので、同じ人にするかどうかは社内の権限で決めます。
AI人材育成を阻む3つの壁と対策
壁1:研修で終わり、本番の業務で使われない
中小企業庁の2026年版中小企業白書の本文(第2-2-91図)に、AIの活用に取り組んだ中小企業の評価が載っています。「想定した効果が得られなかった」は、社員向けの研修や勉強会をしている企業で8.6%(920社)、していない企業で16.1%(789社)でした。教えることには意味があります。ただし、教えたあとに使う場面がなければ効果は残りません。対策:研修の題材にした業務を、研修の翌週から本番で使う日を先に決めます。月に1回、推進役がうまくいった使い方を社内で発表する場をつくります。
壁2:社長が任せきりで、推進役の時間がない
推進役を指名しても、ふだんの仕事が減らなければ、試す時間は取れません。DSSも、全社の底上げのための施策の例として、経営層からのメッセージ発信を挙げています。対策:社長が最初に学び、変える仕事と順番を全員の前で伝えます。推進役の仕事のうち何をほかの人に渡すかを、社長が決めます。研修は所定労働時間の中で行います(所定労働時間外や休日に行った訓練の時間は、助成金の賃金助成の対象外です)。
壁3:何ができたら「育った」のかが決まっていない
IPA「DX動向2026」では、DX人材の評価基準が「基準はない」企業が76.1%でした。基準がないと、育成の予算を続けるかどうかも決められません。同じ調査で、育成の予算を「増やした」企業は25.6%にとどまり、約半数は「変わらない」でした(p.59)。対策:ステップ1のスキルマップを、半年に1回付け直します。ステップ4の物差しと合わせて、社長が次の半年の予算と受講者を決めます。
これからの動き|国の標準はver.2.0に。AIで変わる仕事の把握が次の差になる
2026年4月公表のデジタルスキル標準ver.2.0では、データマネジメントの類型が新しくできました。ビジネスアーキテクトとデザイナーの役割が見直され、AIの実装・運用に関するスキルも足されています。新しい類型には「データスチュワード」「データエンジニア」「データアーキテクト」の3つの役割が定められました。AIを使う元になるデータの精度や整合性、利用ルールの遵守といった品質を確かめる仕事です。
IPA「DX動向2026」では、AIの影響を踏まえた人材の育成・確保について、ほとんどの項目で「検討の予定はない」が3割以上でした。着手している割合が比較的高い「効率化・自動化が見込まれる既存業務の把握」でも19.0%で、ほかの項目は1割未満です(p.64)。AIの効果を高く感じている企業ほど、こうした準備に着手しています。
| 項目 | 効果:高の企業 | 効果:低の企業 |
|---|---|---|
| 効率化・自動化が見込まれる既存業務の把握 | 37.6% | 23.8% |
| 内容が変わる業務の把握 | 22.4% | 10.6% |
| 人材に必要なスキルの把握 | 21.5% | 12.0% |
社員が独学する入り口として、経済産業省とIPAの「マナビDX」があります。デジタルスキル標準への対応を経済産業省とIPAが審査した講座が載っていて、受講料が無料の講座も探せます。DXの概念を学ぶだけの訓練は、令和8年8月3日から事業展開等リスキリング支援コースの対象外になりました。全員向けのリテラシー(3階層の①)はこうした講座で補い、助成金を使う研修は推進役と現場の業務の練習に使う、という分け方ができます。
シス学の場合|育成の計画づくりも「作業・確認・判断」に分けます
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。シス学 AI研修は、社員が毎日行っている業務を題材に、AIで仕事を終わらせるところまで練習する研修です。
人材育成の計画づくりそのものも、次のように分けて進めます。
| 受け持つ人 | 仕事 | 中身 |
|---|---|---|
| AI | 作業 | 利用の記録と手直しの件数を集め、スキルマップと次の月の練習の題材の案を下書きする |
| 社員(推進役) | 確認 | 記録の抜けや、繁忙期などの例外を確かめ、本人と話して印を直す |
| 社長 | 判断 | 次に育てる人と業務、学ぶ時間と予算を決める |
社長に集まっていた計画の下書きや記録の確認を、AIと社員に渡すための分け方です。社長は、表の「判断」の行だけに時間を使います。
助成金を使う場合は、10時間以上で受講者の職務に合わせた内容にして、対象になりうる形に研修を組みます。対象になるかどうかは管轄の労働局が判断し、申請の手続きは社会保険労務士にご依頼ください。助成金を使う場合も使わない場合も、研修の料金は同じです。
料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。まずは30分の無料相談からご相談ください。
まとめ
- AI人材育成は、社内の誰に、どんな力を、どの順番で身につけてもらうかを決めて育てること。中小企業は「社長・推進役・現場」の3つの役割で考える
- 国の物差しはデジタルスキル標準。2023年8月と2024年7月に生成AIの項目が足され、2026年4月にver.2.0になった。6つの専門の類型を最初から全部そろえる必要はない
- IPA「DX動向2026」では、推進人材の量が不足と答えた企業が85.5%。人材像を決めて伝えている企業は16.2%で、スキルを把握している企業ほど不足感が低い
- 順番は社長→推進役→現場の第1陣→全員。練習の題材は自社の業務にし、時間・使う人数・手直しで成果を測る
- 助成金を使うなら、計画届は研修開始の1か月前まで。職業能力開発推進者と事業内職業能力開発計画も先に用意する
最初の1歩として、明日30分だけ時間を取り、紙に「社長」「推進役の候補」「最初に変える業務の担当者」の名前を書いてください。そのうえで、上のスキルマップの6項目に○△×を付けます。×が多い所が、最初に育てる所です。
よくある質問
AI人材とDX人材の違いは何ですか?
デジタルスキル標準では、DXを進める人材を、ビジネスアーキテクトやデータサイエンティストなど6つの類型で定めています。AI人材は、そのうちAIを使って仕事のやり方を変える力を持つ人を指すことが多い言葉です。中小企業では、類型の名前より「社長・推進役・現場」のどの役割を担うかで考えると、育てる中身が決めやすくなります。
中小企業でもAI人材は育てられますか?
育てられます。デジタルスキル標準も、推進に必要な役割を最初から全部そろえる必要はなく、一部の役割からそろえていくことを想定しています。まず社長と推進役1〜2人から始め、1つの業務で手順書ができてから現場へ広げます。
誰から育てればよいですか?
社長、推進役、現場の第1陣、全員の順番をおすすめします。何の仕事を変えるかが決まらないと、推進役も練習の題材を選べないためです。推進役は、パソコンに詳しい人より、対象の業務の流れを知っている人から選びます。
AI人材の育成には、どのくらいの期間がかかりますか?
会社の規模や業務によって変わります。この記事の目安では、スキルマップと順番づくりに約1か月、1つ目の業務での練習と試行に1〜3か月を見ています。助成金を使う場合は、計画届を研修開始日の1か月前までに出す必要があるので、その分を逆算して日程を組みます。
社内だけで育てられますか?外部の研修は必要ですか?
全員向けのリテラシーは、経済産業省とIPAの「マナビDX」の講座などで社内でも補えます。推進役に要る、業務の分け方や手順書づくり、効果の測り方は、社内に教えられる人がいなければ外部の研修で補うのが近道です。外部の研修の選び方は「生成AI研修の選び方」の記事で解説しています。
AI人材の育成に助成金は使えますか?
条件を満たせば、厚生労働省の人材開発支援助成金が使える場合があります。事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業は訓練経費の75%と1人1時間1,000円の賃金が助成の対象で、令和8年度末までの時限措置です。受講者は雇用保険の被保険者で、経費は会社がいったん全額を負担します。支給は審査で決まり、保証されるものではありません。


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