自動車整備・販売が直面する構造的課題と生成AIの可能性
数字で見る整備業の今:求人倍率4.99倍、平均年齢47.7歳、整備学校の入学者は約4割減
まず、国の資料で整備業の今を確かめます。国土交通省の資料と、日本自動車整備振興会連合会(日整連)の「自動車特定整備業実態調査」の最新の結果(令和7年6月末時点)をまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 数字 | もとの調査 |
|---|---|---|
| 整備要員(整備士など)の数 | 402,221人(平成23年度)→399,770人(令和5年度)→402,367人(令和7年度調査)。従業員全体は585,475人→554,307人→565,680人 | 日整連「自動車整備白書」「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」 |
| 1事業場あたりの整備要員 | 4.36人(令和7年度調査。事業場は92,251) | 日整連「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」 |
| 自動車の保有台数 | 7,911万台(平成23年度)→8,257万台(令和5年度) | 自動車検査登録情報協会「自動車保有台数」 |
| 整備要員の有効求人倍率 | 令和5年度に4.99倍(全職種は1.17倍)。平成23年度は1.07倍 | 厚生労働省「職業安定業務統計」 |
| 整備要員の平均年齢 | 39.7歳(平成15年度)→47.2歳(令和5年度)→47.7歳(令和7年度調査) | 日整連「自動車整備白書」「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」 |
| 整備学校の入学者数 | 12,394人(平成15年度)→7,068人(令和6年度) | 全国自動車大学校・整備専門学校協会調べ |
| 整備士の過不足 | 「不足と感じている」24.3%、「やや不足と感じている」31.9%。約6割の事業者が不足を感じている | 日整連「自動車整備白書」 |
| 工場の大きさ | 従業員5人以下の認証工場が全体の約6割、10人以下が約8割(令和4年6月) | 日整連「自動車整備白書」 |
平成23年度から令和5年度に保有台数は約4%増えましたが、整備要員はほぼ横ばい(約0.6%減)です。令和7年度調査でも整備要員は前年度から342人増えただけで、1つの事業場の整備要員は平均4.36人です。求人倍率は全職種の4倍を超え、若い人の入口である整備学校の入学者は約4割減りました。
国土交通省は2024年3月の資料で、整備業は全職種より労働時間が長く、所得額は約1割低いとしています。そのうえで課題を4つに整理しました。「人材確保」「整備の高度化(電動車や衝突被害軽減ブレーキへの対応)」「付加価値(生産性)の向上」「ユーザーの保守管理の徹底」です。
AIの活用はまだこれから:中小企業で「取り組んだ」は約3割
中小企業庁の2026年版中小企業白書の概要資料を見ます。2019年以降に省力化の投資をした中小企業のうち、AIの活用に「取り組んだ」のは30.3%(n=5,645)でした。AIを使っている会社でも、営業・販売・顧客対応の部門で活用しているのは68.2%で、バックオフィス部門の73.4%より低くなっています。整備業だけの数字ではありませんが、省力化を進めた会社でも約7割はAIに手を付けていません。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 活用する業務がイメージできていない | 63.4% |
| 活用を推進する人材が不足している | 40.0% |
| 社内ルール・ガイドラインが整備されていない | 26.2% |
| セキュリティ・情報漏えいへの不安がある | 14.5% |
| 必要な予算を確保できない | 13.8% |
止まっている理由は、お金よりも「どの仕事に使うか」「誰が進めるか」「どんな決まりで使うか」です。この記事は、この3つに順に答える形で進めます。
整備工場・販売店ならではの3つの壁:なぜ使い始めにくいのか
- 整備士がピットを離れられない:作業している時間が売上になるため、見積の説明や書類は作業の合間や閉店後に回る。従業員5人以下の工場が約6割で、事務の専任がいないことも多い
- 間違えられない数字と記録が多い:部品番号、工賃、走行距離、締め付けトルク。点検整備記録簿は法律で書く事項が決まり、中古車の表示も業界の規約で決まっている
- お客様の情報が多い:名前、住所、電話番号、車台番号、ナンバー、車検の満了日。AIに入れてよい情報の線引きが決まっていないと、誰も使えない
だからこそ、生成AIは「書類を最後まで作らせる道具」ではなく、「整備士とフロントが確かめる前提の下書き係」として使うと始めやすくなります。点検の結果をお客様向けの言葉に直す、受付のメモを作業指示書の形にそろえる、といった仕事です。
自動車整備・販売における生成AIユースケース全体像
生成AIは、文章を読む・まとめる・書き直す仕事が得意です。整備工場と販売店の仕事を場面ごとに分けると、使いどころは次のようになります。
| 場面 | AIに任せる作業の例 | 人が必ず確かめること |
|---|---|---|
| 受付・見積 | 受付で聞いた症状のメモを、作業の候補と確かめることに整理する。見積の項目の説明文を作る | 実車の状態、部品番号、工賃と金額 |
| 作業指示書 | 受付メモと点検の結果から、作業の内容・部品・注意点をそろえた指示書の下書きを作る | 作業の順番と安全の手順、規定値は整備書で確かめる |
| お客様への説明 | 整備の内容と交換の理由を専門用語なしで説明する。「今回」「次回でよい」「様子見」に分けた文を作る | 交換が要るかどうかの判断。不安をあおる言い方になっていないか |
| 車検・点検の案内 | 満了日が近いお客様への案内文、予約への返信、代車の案内を作る | 宛先と満了日。その情報を案内に使ってよいか |
| 部品の発注 | 作業指示書から手配する部品の一覧を作る。部品商への在庫・納期・適合の問い合わせ文を作る | 品番と適合(車台番号・型式で確かめる)、数量 |
| 中古車の販売 | 車両の情報からセールスコメントの下書きを作る。問い合わせへの返信を作る | 支払総額、走行距離、修復歴、保証の有無が実車と台帳どおりか |
| 整備記録 | 作業メモから点検整備記録簿の「整備の概要」の下書きを作る | 法律で決まった記載事項、走行距離、年月日を実物で確かめる |
| 整備士の育成 | ベテランへの聞き取りを手順書にまとめる。整備士試験や社内の確認テストの練習問題を作る | 手順と数値がメーカーの整備書どおりか |
見積は、整備工場で社長と工場長の時間をいちばん取る書類の一つです。過去の見積と工賃表から下書きを作る手順は、見積書をAIで作成するやり方で詳しく解説しています。お客様からの問い合わせや予約への返信を、担当者が確かめてから返す形は、職種別のシス学 AIカスタマーサポートでもご紹介しています。
国内自動車整備・販売の生成AI活用事例
ここでは、各社が公式に発表した内容だけを紹介します。整備工場・販売店の仕事に近いものを選びました。数字は発表に書かれたとおりです。
トヨタモビリティパーツ×ギックス|約21万台・約135万件の点検データから、AIが約80項目の整備を診断
トヨタモビリティパーツとギックスは2024年4月8日、「AI整備見積りシステム」の提供開始を発表しました。2020年から約4年かけて、約21万台・約135万の点検の車両情報と整備履歴をAIで解析しています。車両の情報を入れると、AIが約80項目の整備内容を診断し、整備の必要性を推奨度で示す「AI診断書」を作ります。
発表では、入庫の前にデータにもとづく整備の提案と見積ができ、入庫の後は診断の結果で作業の計画を見直して、整備士の作業の負荷を減らせるとしています。2024年3月からトヨタモビリティ新大阪に提供し、2025年から全国のトヨタ販売店へ順次広げる計画です。
2025年10月15日には、このシステムの特許を共同で取得したと発表しました。「AI診断書」はスタッフ向けと顧客向けの2種類です。スタッフ向けは前回の整備履歴を含めてまとめ、顧客向けは専門知識がなくても分かる言い方で整備内容を説明します。点検データを解析する仕組みで、文章を作る生成AIとは種類が違います。どちらの発表にも削減時間の数字はありません。
オートバックスセブン|Geminiで報告資料の作成が30分〜1時間から2〜3分に
オートバックスセブンは、国内最大手のカー用品総合専門店を展開しています。グループのDXを担うオートバックスデジタルイニシアチブが中心となり、Google Workspace と生成AIの Gemini で働き方を変えています。Googleの公式ブログの導入事例(2026年10月9日掲載)で紹介されました。関数を使って30分から1時間かけて集計・作成していた報告資料が、Geminiへの指示で2〜3分で終わるようになったとしています。
店舗運営に関わるシステムの仕様書、マニュアル、過去の変更履歴は Gemini Notebook に集めました。異動した人や新入社員への引き継ぎは、一から口頭で説明する形から、質問すればすぐ答えが返ってくる形に変わったと紹介されています。今後は使い方のコツを全社に広げるとしています。
ネッツトヨタ富山×gin|トップセールスのノウハウを学んだAIを、商談練習の相手に(開発中)
ネッツトヨタ富山は、富山県内に10店舗、約300名のスタッフがいる販売会社です。2026年2月20日、ginと協業し、音声で対話するAI「S.P.A.R.K.」を使った販売店向けの仕組みの開発を始めたと発表しました。課題として、営業のスキルや提案力の属人化、若手の採用難、商談時間の長さによる現場の負担を挙げています。
計画しているAIは次の3つです。2027年秋に高岡市で開く予定の新店舗への導入を目指す段階で、発表に効果の数字はありません。
- 顧客ヒアリングAI:来店前のお客様にアプリで話を聞く
- 営業支援AI:誰にどう働きかけるかを営業スタッフに示す
- 教育・ロープレAI:トップセールスのノウハウを学び、商談練習(ロールプレイ)の相手になる
ファブリカコミュニケーションズ「symphony」|中古車のセールスコメントを生成AIで下書き、景品表示法に配慮
ファブリカコミュニケーションズは、中古車販売店向けの業務支援クラウド「symphony」を開発・運営しています。2023年6月14日、中古車のセールスコメントをAIで作る機能をリリースしました。車名・装備などの車種の情報、車両の状態、販売店が強調したい点をもとに、ChatGPTのAPIでコメントを作ります。文字数は50〜500字を5段階、書きぶりは「元気に」「明瞭簡潔に」「キャッチーに」の3つから選べ、加盟店は無料で使えます。
「No.1」「希少な」など、景品表示法に違反するおそれのある言い方を使わないように指示文を設計したとしています。そのうえで、作った文章が景品表示法に違反しないことを保証するものではない、と明記しています。AIの下書きでも、載せる前に人が確かめる前提です。
自動車整備・販売で使えるプロンプト7選
そのまま貼り付けて使える文例です。( )の中を自社の内容に置き換えてください。お客様の名前、住所、電話番号、ナンバー、車台番号は入れずに試すのが基本です(リスクの章で説明します)。
①【受付・見積】受付のメモから、見積の項目と確かめることを整理する
AIに金額を考えさせるのではなく、見積に入れる項目の抜けと、実車で確かめることを洗い出させます。
金額は、工賃表と部品の価格表を見て人が入れます。過去の見積を例として渡して下書きを作る進め方は、見積書をAIで作成するやり方にまとめています。
②【作業指示書】受付メモと点検の結果から、作業指示書の下書きを作る
作業の順番と、危険のある作業の手順は工場長や整備主任者が決めます。作業が終わったら、同じメモから点検整備記録簿の「整備の概要」の下書きも作れます。法律で決まった記載事項は、リスクの章の表で確かめてください。
③【お客様への説明】点検の結果と見積を、専門用語なしで説明する
「今回やるもの」と「次回でよいもの」の分け方は整備士が決め、AIには言葉を整える仕事だけを任せます。
④【車検の案内】車検の案内文と、予約への返信を作る
宛名と満了日は、顧客台帳から人が差し込みます。予約の電話や問い合わせへの返信を仕組みにする手順は、問い合わせ対応をAIで自動化するやり方で解説しています。
⑤【部品の発注】作業指示書から、部品の手配リストと問い合わせ文を作る
適合は、車台番号をもとに部品商やカタログで確かめます。AIが作った一覧は、注文する前に作業指示書と1行ずつ見比べてください。
⑥【中古車の販売】在庫車のセールスコメントの下書きを作る
「新古車」「準新車」は中古車でないように見せる言い方、「超激安」「超特価」は安さを誤認させる言い方として、自動車公正競争規約(第14条)が例に挙げて禁じています。価格や走行距離、修復歴の書き方の決まりは、リスクの章の表で確かめてから載せてください。
⑦【整備士の育成】ベテランへの聞き取りの質問を作り、手順と判断の基準に整える
聞き取りは、本人の了解を取ってからスマートフォンで録音し、文字にしておくとAIで整理しやすくなります。新人に教える流れ全体を仕組みにする手順は、新人教育をAIで仕組み化するやり方で解説しています。
どの文例でも、AIが作ったものは下書きです。部品番号、工賃、走行距離、規定値、お客様に伝える判断は、必ず整備士やフロントが元の資料と実車で確かめてから使ってください。
自動車整備・販売×生成AIのリスクとガバナンスをどう設計するか
整備工場・販売店で特に気をつけたい3つのリスク
- お客様の情報の持ち出し:名前、住所、電話番号、ナンバー、車台番号、車検の満了日を、会社が認めていないAIサービスに入れてしまう
- もっともらしい間違い:AIは、部品番号、適合、締め付けトルク、点検の基準などを、それらしく間違えることがある
- 表示と記録の責任があいまいになる:AIが作った中古車の広告文や整備の説明、記録簿の下書きを、誰も確かめずに外へ出してしまう
法令と規約で決まっていること:整備記録・中古車の表示・個人情報
整備記録と中古車の表示は、AIを使うかどうかに関係なく、書く事項が決まっています。AIに下書きを任せる前に、次の表で「人が実物で確かめる所」を押さえておきます。
| 決まり | 中身 | AIを使うときの注意 |
|---|---|---|
| 点検整備記録簿(道路運送車両法 第49条、自動車点検基準 第4条) | 自動車の使用者は記録簿を車に備え、点検・整備をしたら遅滞なく、点検の年月日、点検の結果、整備の概要、整備を完了した年月日を書く。登録番号(または車台番号)、総走行距離、実施した者の氏名(名称)・住所も書く。保存は記載の日から1年(3か月・6か月ごとに点検する事業用の車やレンタカーなど)または2年(1年ごとに点検する自家用の乗用車など) | AIに任せてよいのは「整備の概要」の文の下書きまで。年月日、走行距離、点検の結果は実物と作業記録で確かめる |
| 特定整備記録簿(道路運送車両法 第91条) | 特定整備をした事業者は、登録番号、特定整備の概要、完了した年月日、依頼者の氏名・住所などを書き、写しを使用者に渡す。記載の日から2年間保存する | 依頼者の氏名・住所はAIに入れない。概要の下書きは整備主任者が確かめる |
| 不当な表示の禁止(景品表示法 第5条) | 品質などを実際より著しく優良と示す表示、価格などの取引条件を著しく有利と誤認させる表示をしてはならない | AIの広告文に、根拠のない「No.1」「極上」や、実際と違う装備・状態が入っていないか確かめる |
| 中古車の表示(自動車公正競争規約 第11条・第14条、同施行規則 第6条。景品表示法の公正競争規約の制度〔現行の第36条〕で消費者庁・公正取引委員会が認定) | 店頭の展示車に、販売価格、走行距離数、定期点検整備の有無、保証の有無、修復歴の有無などを表示する。価格は車両価格と諸費用を合わせた「支払総額」で示す。インターネットやチラシの広告で価格を出すときは、同じ事項に加えて塗色と車台番号も示す。走行距離を実際より少なく見せる表示や、修復歴があるのにないように見せる表示はしない | 支払総額、走行距離、修復歴、保証はAIに書き換えさせず、台帳と実車の値をそのまま使う。広告文の下書きに車台番号が抜けていないか確かめる |
| 生成AIへの個人情報の入力(個人情報保護委員会の注意喚起、2023年6月2日) | 個人情報を入れるときは利用目的の範囲内かを十分に確かめる。本人の同意なく個人データを入れ、回答を出す以外の目的で使われると、法律に違反するおそれがある | 名前やナンバーは「〇〇様」「お車」に置き換えて入れる。入れるなら、提供者がそのデータを機械学習に使わないことなどを確かめる |
表は要点をまとめたものです。自社の記録簿の様式や広告の書き方が決まりに合っているかは、所属する整備振興会や自動車公正取引協議会の案内で確かめてください。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版、2026年3月31日公表)には、社内の点検に使えるチェックリストとワークシート(別添7)も付いています。
社内ルールに入れたい5つのポイント
- 使ってよいAIサービス:会社が認めたサービスとアカウントだけを使う。入れた内容が学習に使われない設定かを書いておく
- 入れてはいけない情報:お客様の名前・住所・電話番号、ナンバー、車台番号、顧客台帳、仕入れの価格などを具体的に書く
- 人が確かめる書類:見積、作業指示書、お客様への説明、記録簿、中古車の広告は、誰が確かめてから出すかを決める
- AIに決めさせないこと:交換が要るかどうか、作業を続けるかどうか、保安基準に合うかどうかの判断は整備士が行う
- 困ったときの連絡先:間違えてお客様の情報を入れたときに、誰に、すぐ何を伝えるかを決めておく
ルールはA4用紙1枚にまとめ、フロントとピットの両方に置きます。ひな形と決め方は生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。
自動車整備・販売のための3段階導入ロードマップ
期間は目安です。工場の大きさや、社員がAIを使った経験によって前後します。
段階1:お客様への説明文と車検の案内から始める(0〜3か月)
- 使ってよいAIサービスと、入れてはいけない情報を1枚のルールにまとめる
- フロント1人と整備士1人で、プロンプト③(説明文)と④(車検の案内)を試す
- 試す前と後で、説明文1件・案内文1件にかかる時間を記録しておく
段階2:見積・作業指示書・部品の発注・中古車の説明文へ広げる(3〜6か月)
- うまくいった使い方を、文例と手順書にして社内で共有する
- 受付メモの書き方をそろえ、見積・作業指示書・部品の手配リストの下書きに広げる
- 使う人を増やす前に、整備士とフロント向けの研修を行う
研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがあります。対象になるかどうかは労働局の審査で決まります。条件はAI研修に使える助成金で解説しています。
段階3:整備の記録をつなぎ、AIエージェントで流れにする(6か月〜)
- 過去の整備記録、作業指示書、ベテランへの聞き取りをまとめ、AIで探せるようにする
- 「受付メモを入れると、作業指示書とお客様への説明文の下書きができ、決まった人に届く」のように、いくつかの作業をつないだ仕組みをつくる
- 月ごとに作業時間、手直しの件数、車検の予約の件数を確かめ、続ける・広げる・やめるを決める
シス学の場合
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。株式会社むさしAI研修が提供しています。
シス学では、仕事を「作業・確認・判断」に分けて考えます。整備工場の代表的な書類である車検の見積書に当てはめると、次のようになります。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 車検の見積書では |
|---|---|---|
| AI | 作業(入力・転記・照合・下書き) | 受付メモ、点検の結果、同じ車種の過去の整備記録から、見積の項目と部品の候補の下書きを作る。お客様向けの説明文の下書きを作る |
| 社員 | 確認(AIの結果を確かめ、例外に対応) | 整備士が実車を見て交換が要るかを確かめ、「今回」「次回」を分ける。フロントが部品の品番・適合と工賃表を照らし合わせる |
| 社長 | 判断(方針・金額・最終の決定) | 工賃の設定や値引きの方針、「今回すすめる」と「次回に回す」の線引きの考え方を決める |
「どこまでを今回すすめるか」は、社長やベテランの頭の中にしかないことが多い判断です。その線引きを「ブレーキパッドの残りが何mm以下なら今回すすめる」のような基準として言葉に残すと、若手のフロントでも同じ説明ができます。社長の判断と勝ちパターンを言葉と仕組みに残すことは、いつでも渡せる会社に近づく準備にもなります。
シス学 AIコンサルティングでは、どの仕事から始めるか、社内ルール、AI研修、受付から説明文までをつなぐ仕組みを、月ごとに一緒につくります。月1回の定例ミーティング(90分)と壁打ち・相談会(60分)、月内のチャット相談で進め、オンラインで全国に対応しています。
まずは30分の無料相談から。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。日時を選んで無料相談を予約できます。
まとめ:自動車整備・販売×生成AIは「整備士をピットに戻す」下書き係として、説明文1枚から始める
- 整備要員の有効求人倍率は令和5年度に4.99倍(全職種1.17倍)、平均年齢は令和7年度調査で47.7歳。1事業場の整備要員は平均4.36人で、整備学校の入学者は平成15年度から約4割減った
- 生成AIは、見積の項目整理、作業指示書、お客様への説明、車検の案内、部品の発注、中古車の説明文、整備士の育成など、文章を読む・まとめる・書き直す仕事で使える
- 公式発表の事例は、点検データからの整備診断(トヨタモビリティパーツ)、資料作成の2〜3分への短縮(オートバックスセブン)など。数字はそのまま自社に当てはめない
- 点検整備記録簿と中古車の表示は書く事項が決まっている。お客様の情報は入れず、走行距離・修復歴・支払総額はAIに書き換えさせない
- 0〜3か月は説明文と車検の案内、3〜6か月で見積・作業指示書・発注へ、6か月〜で整備の記録をつなぐ。効果は数字で確かめる
まずは、今週入庫する車検の車を1台選び、整備士の判断メモをもとにプロンプト③で説明文を作ってみてください。お客様に渡す前に整備士が読んで直し、かかった時間をいつもと比べることが、自社に合う使い方を見つける一歩目になります。
よくある質問
従業員が数人の整備工場でも、生成AIは使えますか?
使えます。専用の仕組みがなくても、点検の結果をお客様向けの言葉に直す、車検の案内文を作るといった短い文章から始められます。ただし、部品番号・工賃・走行距離・規定値は、必ず整備士やフロントが元の資料と実車で確かめてから使ってください。
お客様の名前や車検証の情報を、AIに入れてもよいですか?
会社が認めたAIサービスで、入れた情報がどう扱われるかを確かめるまでは、入れないでください。名前は「〇〇様」、ナンバーや車台番号は空けておき、人が後から差し込む形にするのが基本です。個人情報保護委員会は、利用目的の範囲内かを確かめることと、提供者が機械学習に使わないことなどの確認を求めています。
点検整備記録簿をAIに書かせてもよいですか?
AIに任せるのは「整備の概要」の文の下書きまでにとどめてください。点検の年月日、点検の結果、総走行距離などは道路運送車両法と自動車点検基準で記載事項が決まっているため、作業の記録と実物で確かめて人が書きます。
中古車のセールスコメントをAIで作ってもよいですか?
下書きには使えます。ただし、景品表示法は実際より著しく優良・有利に見せる表示を禁じており、自動車公正競争規約は支払総額、走行距離、修復歴の有無などの表示の仕方を定めています。根拠のない「No.1」「極上」などを使わせず、数字や修復歴は台帳と実車の値をそのまま使い、載せる前に人が確かめてください。
整備士の育成に、生成AIは役立ちますか?
AIが技術を身に付けるわけではありませんが、ベテランへの聞き取りの質問づくり、聞き取りメモを手順と判断の基準に整理すること、確認テストの問題づくりに使えます。数値や手順は、メーカーの整備書と照らして、ベテランが最後に確かめます。
社員のAI研修に、助成金は使えますか?
研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがあります。時間数や計画の届け出などの条件があり、受給できるかどうかは労働局の審査で決まります。日程を決める前に、労働局か社会保険労務士に確かめてください。


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