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【2026年最新】医療事務×生成AI 完全ガイド|受付・電話対応から院内文書・ホームページまで活用事例とプロンプト5選

診療所の事務の仕事にAIを取り入れるイメージ

「受付をしながら電話に出て、合間にお知らせの紙を作る。事務の人数は増やせないのに、仕事だけが増えていく。」

「病院ではAIで紹介状や議事録を作っていると聞く。でも、患者さんの情報を扱う診療所で、どこまで使ってよいのか分からない。」

こんな悩みを持つ診療所・クリニックの院長と事務長に向けて、医療事務×生成AIの全体像をまとめました。医療機関が公式に発表した事例、明日から試せるプロンプト、守るべきガイドライン、3段階の進め方まで扱います。数字は国の資料、事例は医療機関などの公式発表で確かめたものだけを載せています。院内のどの仕事から始めるかを一緒に決める進め方は、シス学 AIコンサルティングのページでご紹介しています。

医療事務が直面する構造的課題と生成AIの可能性

数字で見る医療機関の今:診療所10.5万・医師の残業上限・電子カルテ

まず、国の資料で医療機関の今を確かめます。厚生労働省の統計と資料では、次のように示されています。

数字で見る医療機関の数と働き方(厚生労働省の資料より)
項目数字出典
一般診療所の数105,521施設(2025年10月1日現在)。前年より314施設増厚生労働省「令和7年医療施設(動態)調査」
入院のベッドがない診療所100,361施設で、一般診療所の95.1%同上
病院の数8,001施設。前年より59施設減同上
医師の残業の上限2024年4月から、勤務医の時間外・休日労働の上限は、A水準で年960時間。地域医療の確保(B・連携B)や研修・技能の修得(C-1・C-2)のための水準は年1,860時間(連携Bは各院では960時間)厚生労働省「医師に対する時間外・休日労働の上限規制と健康確保措置の適用」
診療所の電子カルテ約10.5万施設のうち、導入済み57,662、未導入47,232。「約45%が電子カルテ未導入」厚生労働省 医療等情報利活用WG資料(2026年6月26日)
電子カルテの国の目標政府は2030年(令和12年)12月31日までに、電子カルテの普及率が約100%となるよう取り組むと法律に定めた同上(地域医療介護総合確保法 第12条の3第4項の抜粋)

医師の残業に上限ができ、医師の仕事の一部を他の職種に移す「タスク・シフト/シェア」が求められています。厚生労働省の「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」(令和6年11月改正版)は、医師事務作業補助者その他の職種に移す仕事の例を挙げています。

  • 診療録等の代行入力
  • 各種書類の記載
  • 医師の診察の前に、医療機関が定めた定型の問診票などで、病歴や症状を聞き取る
  • 日常的に行われる検査についての定型的な説明と、同意書の受け取り
  • 入院時のオリエンテーション
  • 院内での患者さんの移送・誘導

後で紹介する九州がんセンターの事例も、この流れの中で、医師事務作業補助者の入力をAIで支えたものです。

AIの活用はまだこれから:中小企業で「取り組んだ」は約3割

中小企業庁の「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要」は、2019年以降の省力化投資について中小企業に聞いた結果を示しています。AIの活用に「取り組んだ」は30.3%、「取り組んでいない」は69.7%でした(n=5,645)。医療機関だけの数字ではありません。

取り組んでいない理由の上位は、次の3つでした(n=3,888、複数回答)。「活用する業務がイメージできていない」63.4%、「活用を推進する人材が不足している」40.0%、「社内ルール・ガイドラインが整備されていない」26.2%です。診療所に置きかえると、「どの仕事に使うか」「誰が進めるか」「どんな決まりで使うか」を先に決めれば、始められるということです。

医療事務ならではの3つの壁:なぜ使い始めにくいのか

  1. 患者さんの情報は「要配慮個人情報」:病歴などは、取得するときに原則として本人の同意が要る情報。受付で問診票に病状を書いて受診を申し出ることは、同意があったものと解されている(医療・介護関係事業者向けのガイダンス)。ただし、それをAIサービスに入れてよいかは別の問題で、院内で決めないと誰も使えない
  2. 医学の判断と、事務の仕事が隣り合っている:電話で症状を聞かれる、薬の飲み方を聞かれるなど、事務の窓口に医学の判断が必要な質問が来る。AIの答えをそのまま伝えると、医師が判断すべきことに踏み込む
  3. 少ない人数で、患者さんの前から離れられない:受付・会計・電話を数人で回していて、新しいやり方を試す時間も、教える時間も取りにくい

医療事務における生成AIユースケース全体像

生成AIは、文章を読む・まとめる・書き直す仕事が得意です。診療所の事務の仕事を場面ごとに分けると、使いどころは次のようになります。

医療事務の仕事で生成AIを使える場面の例
場面AIに任せる作業の例人が必ず確かめること
受付・電話よくある問い合わせの回答集、電話の応対手順、予約変更や持ち物の案内文診療時間・料金・制度が院内の正しい情報と合っているか。症状や薬の質問は医師・看護師へ回す
患者さんへのお知らせ休診・診療時間変更の掲示、予防接種や健診の案内、やさしい日本語版・英語版日付・曜日・対象者・持ち物。外国語版は意味が変わっていないか。院内の掲示は通常は医療広告に当たらないが、同じ文をホームページに載せると広告の規制の対象になる
院内の手順書・教育受付・会計の手順書、新人向けの確認問題、よくある間違いの一覧実際の手順どおりか。手順を決めた人が読む
会議・委員会院内会議や感染対策・安全管理の委員会の議事録、決まったことと宿題の整理決定事項と担当者・期限がメモどおりか
書類の事務部分紹介状(診療情報提供書)の宛名・あいさつ文などの定型部分、書類の受付から返却までの案内文医学的な内容は医師が書き、医師が確かめる
採用・ホームページ求人の原稿、ホームページの文章の下書きと、医療広告等ガイドラインに照らした点検院長が最終確認する。ホームページは医療広告の規制の対象。職員の求人広告は、通常は医療広告に当たらない

レセプト(診療報酬明細書)の入力・点検や、電子カルテへの入力は、患者さんの情報をそのまま扱うため、院内の環境と確認の手順をつくってから進める仕事です。シス学では別のページでご紹介しています。既存の診療記録から入力案と点検候補を出すレセプト入力・点検支援と、院内での録音とローカルAIで下書きを作るカルテ作成・入力支援です。

国内医療機関の生成AI活用事例

ここでは、医療機関、または医療機関と一緒に取り組んだ会社が公式に発表した内容だけを紹介します。数字は発表に書かれたとおりで、実証か本格運用かなどの条件もそのまま書きます。

長野市民病院|50以上のAIアシスタントで、年間5,472時間の業務効率化

地方独立行政法人長野市民病院(400床)は2026年3月9日、生成AIの活用で年間5,472時間の業務効率化を実証したと発表しました。医師・看護師・メディカルスタッフ・事務職が、用途別の50以上のAIアシスタントを使っています。紹介状(診療情報提供書)や退院サマリの下書き、過去のカルテの要約、患者さんへの説明やカンファレンスの文字起こしなどです。

数字は、積極的に使っている職員111名の、2025年4月から2026年1月までの利用実績をもとにしたものです。アンケートで聞いた導入前後の削減時間に、各アシスタントの実行回数をかけて算出しました。月平均約456時間、常勤職員約3名分としています。職員アンケートでは、「業務効率が向上」48.1%、「効率と質の両方が向上」45.6%、「質が向上」3.8%で、合わせて約98%でした。

九州がんセンター(国立病院機構)|医師事務作業補助者の初診入力を22分から12分に

Ubie株式会社が2026年7月2日に発表した内容です。九州がんセンターでは、医師事務作業補助者が、紹介状から初診時のカルテの下書きを自動で作る運用を確立しました。1患者あたりの入力時間は平均22分から12分になり、月の新患約300件で換算すると月約50時間になるとしています。

会議の音声から議事録の素案を作る使い方では、議事録づくりの労力を70%削減(数時間〜数日かかっていたものが1時間以内)としています。導入にあたって、病院独自の利用規程とガイドラインを作り、AIの出力は下書きとし、最後は医療職が必ず確かめることを院内に徹底したと書かれています。使っているAIは院内の電子カルテのネットワーク内で動き、入力したデータはAIモデルの学習に再利用されない仕様だと説明されています。

大阪国際がんセンター|問診のAIと、看護の記録の下書きを実運用

大阪国際がんセンター、医薬基盤・健康・栄養研究所、日本IBMは2025年10月1日、問診の生成AIと、看護の音声入力の生成AIの実運用を始めたと発表しました。患者さんやご家族が自分のスマートフォンなどでAIと会話して体調を入力すると、電子カルテで推移を確かめられます。看護カンファレンスと電話サポートの記録は、会話を書き起こして下書きを作り、看護師が確かめてから電子カルテに取り込みます。

同じ議題で看護師が手入力とAIの両方で記録した検証では、記録の時間が約40%短くなり、約8割の記録が「AIを使ったほうが優れている」と評価されたとしています。一方で「正確性」と「一貫性」は低く評価され、主な原因は誤字や誤変換でした。そこで、AIが出した要約を必ず看護師が最後に確かめる運用にしたと書かれています。問診で症状を聞く時間を「従来の最大25%まで軽減」することは、これからの目標です。

東北大学病院|紹介状などの要約文の作成時間を平均47%削減(実証)

NEC、東北大学、橋本市民病院は2023年12月13日、電子カルテの情報をもとに医療文書を作る実証の結果を発表しました。東北大学病院の一部の診療科の医師10名の協力で、2023年10〜11月に行った実証です。紹介状や退院サマリに書く要約文を新しく作る場合と比べて、作成時間を平均47%削減できたとしています。

AIが作った要約文の横に、もとの電子カルテの記載を並べて表示し、医師が根拠を確かめやすくしています。生成AIがもっともらしい間違いを書く問題への対策にもなる、と説明しています。

柏みんなクリニック(医療法人社団モルゲンロート)|診療所で紹介状づくりを従来の1/10の時間に

医療法人社団モルゲンロートは2025年3月14日、柏みんなクリニックの院長が、ChatGPTを使った紹介状の作成の仕組みを作ったと発表しました。個人情報を除いて、年齢・症状・紹介先などを入れて文章を作り、そこへ人が個人情報や必要な情報を足して紹介状を仕上げます。作業時間が従来の1/10に短くなったとしています。対象の人数や期間は書かれていません。事務の側では、就業規則などの社内規程を読み込ませ、職員の質問に答えるAI(ChatGPTのGPTs)も使っているとしています。

なお、電話の受付や予約に生成AIを使い、時間の数字まで公式に発表した医療機関の例は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。受付・電話の使い方は、まだ各院が試している段階です。

医療事務で使えるプロンプト5選

そのまま貼り付けて使える文例です。( )の中を自院の内容に置き換えてください。どの文例も、患者さんの名前・生年月日・保険証の番号・病名などは入れない前提で作っています。

①【受付・電話】よくある問い合わせの回答集と、医師に回す質問の線引きを作る

電話でよく聞かれることを事務の担当者が書き出し、回答集の形に整えます。症状や薬の質問を「事務が答えない質問」として分けさせるのが大切です。

できた回答集は、院長と事務長が読み、「事務が答えてよい範囲」を院長が決めてから使います。問い合わせ対応の進め方全体は、問い合わせ対応をAIで自動化するやり方でも解説しています。

②【お知らせ】休診・診療時間変更の掲示文と、やさしい日本語・英語版を作る

掲示する前に、事務の担当者がカレンダーと照らして日付と曜日を確かめます。英語版は、意味が変わっていないかを読める職員に見てもらうと安心です。

③【院内の手順書】受付・会計のメモから、新人向けの手順書と確認問題を作る

「要確認」と出た所が、ベテランの事務職員に聞くべき所です。手順書の作り方は、マニュアル作成にAIを使う方法でも詳しく解説しています。

④【会議・委員会】院内会議のメモを議事録にまとめる

感染対策や医療安全の委員会など、記録を残す決まりがある会議では、議事録を出席者の代表が読んでから保存します。

⑤【ホームページ】医療広告等ガイドラインに照らして、文章の気になる所を出す

AIの指摘は、見落としを減らすための下書きです。最後は院長が、厚生労働省の医療広告等ガイドラインと、ウェブサイトの事例解説書(第6版)の原文に照らして決めます。たとえばガイドラインは、「最高の医療の提供を約束!」の「最高」を最上級の比較表現として認められないとしています。

どの文例でも、AIが作ったものは下書きです。日付・料金・制度の説明は院内の正しい情報と照らし、症状・薬・検査結果に関わることは、必ず医師・看護師に回してください。

医療事務×生成AIのリスクとガバナンスをどう設計するか

医療事務で特に気をつけたい3つのリスク

  1. 患者さんの情報の持ち出し:名前、病名、検査結果、保険証の情報などを、院として認めていないAIサービスに入れてしまう
  2. もっともらしい間違い:AIは、診療時間、保険や公費の制度、料金について、それらしい間違いを書くことがある
  3. 医学の判断への踏み込み:電話や窓口で聞かれた症状や薬のことを、AIの答えのまま患者さんに伝えてしまう

押さえておきたい4つの決まり(2026年10月23日に原文で確認)

医療事務で生成AIを使う前に読んでおきたい公的な資料
資料最新の版医療事務に関係する所
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)。Q&Aは令和8年9月委託先の過失による情報セキュリティの事故でも「医療機関等が責任を免れることはできず」(経営管理編)。Q&A(企画管理編 Q18)は、生成AIに医療情報を入れる場合を取り上げている。入力が「AIの学習等のために保存されないこと」が契約等で担保されていれば、サーバが国内法の適用を受けることは必須ではない、という答え
個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」令和8年4月一部改正病歴などの要配慮個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人の同意が必要(例外あり)。個人データの第三者提供は原則として本人の同意が必要。委託先には必要かつ適切な監督を行う
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」令和5年6月2日個人情報を含むプロンプトを入れる場合は、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認する。本人の同意なく個人データを入れる場合は、その個人データが機械学習に使われないこと等を十分に確認する
厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針)令和8年3月30日最終改正。ウェブサイトの事例解説書は第6版(令和8年3月30日)医療機関のウェブサイトも、平成29年の法改正で広告の規制の対象になった。虚偽、比較優良、誇大、公序良俗に反するもの、患者さんの体験談、誤解させるおそれのある治療の前後の写真(ビフォーアフター)は広告できない。広告できる事項も限られる(ウェブサイトなどは一定の条件で限定を外せる)。院内の掲示・院内で配るパンフレットと、職員の求人広告は、通常は広告に当たらない

Q18が前提にしているのは、入力した医療情報が保存されないことが、契約などで担保されていることです。担保されていなければ、ふつうの決まりどおり、情報を保存する機器が国内法の適用を受けることを確かめる必要があります(企画管理編7章の遵守事項⑤)。無料の個人向けアカウントを職員がそれぞれ使う形では、院としてこの契約を確かめられません。院として契約したサービスに絞る理由がここにあります。

診断・治療の判断にAIを使わない線引き

厚生労働省医政局医事課長の通知(平成30年12月19日、医政医発1219第1号)は、AIによる診断・治療支援のプログラムで診療する場合を扱っています。その場合も「診断、治療等を行う主体は医師であり、医師はその最終的な判断の責任を負う」としています。医療事務で生成AIを使うときは、次の線をはっきり引いておきます。

医療事務でAIに任せてよいこと・任せないこと
AIに下書きを任せてよいことAIに任せないこと(医師・有資格者が判断する)
診療時間・予約・持ち物などの案内文電話で聞いた症状から、受診が必要か、どれくらい急ぐかを答える
お知らせの掲示、院内の手順書、議事録病名・薬・検査結果の意味を患者さんに説明する
紹介状のあいさつ文などの定型部分紹介状の医学的な内容を、医師が確かめずに出す
ホームページの文章の下書きと、気になる表現の洗い出し広告として出してよいかの最終判断(院長が原文で確かめる)
レセプトの入力案や点検候補の整理(専用の環境で)病名の決定、算定の判断、請求してよいかの判断

院内ルールに入れたい5つのポイント

  • 使ってよいAIサービス:院として契約し、入力した内容が保存されない・学習に使われないことを確かめたサービスとアカウントだけを使う
  • 入れてはいけない情報:患者さんの名前、生年月日、保険証やマイナンバーの番号、病名、検査結果、職員の個人情報などを具体的に書く
  • 事務が答えない質問:症状、受診の急ぎ具合、薬、検査結果の質問は、AIの答えを使わず医師・看護師に回す
  • 人が確かめる書類:患者さんに渡す・掲示する・ホームページに出す文書は、決めた人が読んでから出す
  • 困ったときの連絡先:間違えて患者さんの情報を入れたときに、誰に、すぐ何を伝えるかを決めておく

ルールはA4用紙1枚にまとめ、受付の裏にも置いておきます。書き方の全体は生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。

医療事務のための3段階導入ロードマップ

期間は目安です。診療所の大きさや、電子カルテの有無、職員がAIを使った経験によって前後します。

段階1:患者さんの情報が入らない文書から始める(0〜3か月)

  • 使ってよいAIサービス、入れてはいけない情報、事務が答えない質問を、1枚のルールにまとめる
  • 事務長と事務職員1〜2人で、お知らせの掲示、院内会議の議事録、手順書の下書きを試す
  • 試す前と後で、1件あたりにかかる時間を記録しておく

段階2:受付・電話の回答集と、院内の手順書へ広げる(3〜6か月)

  • 電話の問い合わせを1か月分書き出し、プロンプト①で回答集を作る。事務が答えてよい範囲を院長が決める
  • うまくいった使い方を、文例と手順書にして事務の全員で共有する
  • ホームページの文章を、プロンプト⑤と医療広告等ガイドラインで見直す
  • 使う人を増やす前に、職員向けの研修を行う

研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがあります。条件はAI研修に使える助成金で解説しています。

段階3:院内の環境を整え、患者さんの情報を扱う仕事へ進む(6か月〜)

  • 安全管理ガイドラインに沿って、契約で保存・学習の扱いを確かめた環境、または院内で動く環境を用意する
  • レセプトの入力・点検や、カルテの下書きなど、件数の多い仕事を、人が確かめる手順と一緒に仕組みにする
  • 月ごとに作業時間や手直しの件数を確かめ、続ける・広げる・やめるを決める

シス学の場合

シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。株式会社むさしAI研修が提供しています。

シス学では、仕事を「作業」「確認」「判断」に分け、作業をAIに、確認を職員に、判断を院長に受け持ってもらいます。この記事のプロンプト①の「電話の回答集」なら、次のようになります。

電話の回答集づくりの分け方(例)
受け持つ人仕事中身
AI作業1か月分の問い合わせのメモを分類し、事務が答えてよい質問の回答案を下書きする
事務職員確認回答案を診療時間・料金・予約の決まりと照らし、症状や薬に関わる質問が混ざっていないか確かめる
院長判断事務が答えてよい範囲と、医師・看護師に回す質問の線を決め、回答集を承認する

院長に集まっていた下書きや確認を、AIと職員に渡していくと、院長が診療に使える時間が生まれます。レセプトやカルテの入力のように患者さんの情報を扱う仕事は、レセプト入力・点検支援とカルテ作成・入力支援のページでご紹介しています。

月ごとに続けて進める形として、シス学 AIコンサルティングをご用意しています。月1回の定例ミーティング(90分)、月1回のオンライン壁打ち・相談会(60分)、月内のチャット相談が含まれます。職員向けのAI研修や、AIエージェントによる仕事の自動化も、契約の時間の中で行います。

定例と壁打ちはオンラインで行い、全国に対応しています。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。自院に合うかどうかも、まずは30分の無料相談からお伝えします。

まとめ:医療事務×生成AIは「患者さんの情報を入れない文書」から始め、判断は医師に残す

  • 一般診療所は105,521施設(2025年10月)。医師の残業には2024年4月から上限ができ、事務へのタスク・シフトが進む。診療所の約45%は電子カルテが未導入
  • 生成AIは、電話の回答集、お知らせ、手順書、議事録、ホームページの点検など、文章を読む・まとめる・書き直す事務の仕事で使える
  • 病院は、年間5,472時間の効率化(長野市民病院)、初診入力22分→12分(九州がんセンター)などを公表している。数字はそのまま自院に当てはめない
  • 安全管理ガイドライン第7.0版、個人情報のガイダンス、医療広告等ガイドラインを確かめ、院として契約したサービスに絞る。診断・治療の判断はAIに任せない
  • 0〜3か月は患者さんの情報が入らない文書、3〜6か月で受付・電話と手順書へ、6か月〜で環境を整えてレセプト・カルテへ。効果は数字で確かめる

まずは明日、事務の担当者に、その日かかってきた電話の問い合わせを、患者さんの名前を書かずに10件メモしてもらってください。そのメモでプロンプト①を試すと、「事務が答えてよい質問」と「医師に回す質問」の線が、院内で初めて目に見える形になります。

よくある質問

小さな診療所でも、医療事務に生成AIは使えますか?

使えます。専用の仕組みがなくても、休診のお知らせ、電話の回答集、院内会議の議事録など、患者さんの情報を入れずに作れる文書から始められます。日付や料金は院内の正しい情報と照らし、症状や薬に関わることは医師・看護師に回してください。

患者さんの名前や病名をAIに入れても大丈夫ですか?

院として契約し、入力した内容が保存されない・学習に使われないことを契約などで確かめたサービスでなければ、入れないでください。病歴などは要配慮個人情報です。厚生労働省の安全管理ガイドラインと、個人情報のガイダンスを確かめたうえで、入れてよい情報を院内ルールで決めます。

電話で聞かれた症状に、AIの答えを伝えてもよいですか?

伝えないでください。受診が必要か、どれくらい急ぐか、薬をどう飲むかは、医師・看護師が判断することです。厚生労働省の通知も、AIを使う場合も診断・治療の主体は医師で、最終的な判断の責任は医師が負うとしています。事務は、AIで作った回答集を、取り次ぎの言葉と線引きのために使います。

レセプト点検やカルテの入力にもAIは使えますか?

使われ始めていますが、患者さんの情報をそのまま扱うため、院内の環境と、人が確かめる手順を先に決めてから進める仕事です。病名の決定、算定、請求してよいかの判断は、専門職が行います。まずは患者さんの情報が入らない事務の文書で慣れてから進めるのがおすすめです。

ホームページの文章をAIで作ってもよいですか?

下書きには使えますが、出す前に院長が医療広告等ガイドラインの原文で確かめてください。ホームページも広告の規制の対象で、虚偽、比較優良、誇大、患者さんの体験談、誤解させるおそれのある治療の前後の写真などは広告できません。AIは、気になる表現を洗い出す点検の補助として使うと役立ちます。

職員のAI研修に、助成金は使えますか?

研修の内容や進め方によっては、厚生労働省の人材開発支援助成金の対象になることがあります。訓練の計画届を出すなどの条件があり、対象は雇用保険の被保険者です。日程を決める前に、労働局か社会保険労務士に確かめてください。

出典・参考

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