AIコンサルとは?中小企業が頼めること
AIコンサルとは、外部の専門家が会社の仕事と数字を見たうえで、どの仕事にAIをどう使うかを社長と一緒に決め、社内で使い続けられるまでを支えるサービスです。
ツールを売ることや、AIの仕組みを解説することが目的ではありません。「見積書づくりに時間がかかる」「日報を読むだけで朝が終わる」といった、自社の困りごとから話を始めるのがAIコンサルです。
AIコンサルの頼み方は大きく2つ
| 頼み方 | 主な中身 | 手元に残るもの |
|---|---|---|
| 期間を区切る形 | 数か月で業務を分析し、AIの導入計画をまとめる | 計画書、取り組む仕事の優先順位 |
| 月ごとに続ける形 | 毎月の打ち合わせで決め、実行と見直しまで続けて支える | 手順書、社内ルール、月ごとの確認の記録 |
呼び方は会社ごとに違い、月ごとに続ける形を「AI顧問」と呼ぶこともあります。違いはAI顧問とは?で詳しく解説しています。言葉ではなく、何をしてくれて、何が手元に残るかで比べます。
シス学では、月ごとに続ける形のシス学 AIコンサルティングをご用意しています。中身は、記事の後半でご紹介します。
なぜ中小企業にAIコンサルが必要なのか
中小企業庁の「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」を見てみます。2019年以降の省力化の投資で、AIの活用に「取り組んだ」中小企業は30.3%(n=5,645)でした。取り組んでいない事業者が挙げた理由の上位は、次のとおりです(n=3,888、複数回答)。
| 理由 | 回答の割合 | AIコンサルが受け持てること |
|---|---|---|
| 活用する業務がイメージできていない | 63.4% | 自社の仕事を聞き、AIに任せる作業を具体的に挙げる |
| 活用を推進する人材が不足している | 40.0% | 社内の担当者と一緒に進め、判断に迷う所を支える |
| 社内ルール・ガイドラインが整備されていない | 26.2% | 使ってよい範囲と確かめる手順を、一緒に決める |
| セキュリティ・情報漏えいへの不安がある | 14.5% | 入れてはいけない情報と、使うサービスの設定を確かめる |
| 必要な予算を確保できない | 13.8% | 小さく試せる仕事から始め、効果を数字で確かめる |
上位3つは「どの仕事に使うか」「誰が進めるか」「どんな決まりで使うか」です。「予算を確保できない」は5番目の13.8%でした。止まっている理由の多くは、お金より、自社の仕事に当てはめて考える人と時間がないことです。この部分を社外の専門家と分けて進めるのが、AIコンサルです。
AIコンサルが支援できる領域
同じ資料で、AIを活用している事業者に部門ごとの状況を聞くと、「活用している」と答えた割合は次のとおりでした。
| 部門 | 「活用している」の割合 |
|---|---|
| バックオフィス部門(n=1,577) | 73.4% |
| 営業・販売・顧客対応部門(n=1,605) | 68.2% |
| 製造・生産管理・物流部門(n=1,210) | 57.2% |
事務の仕事だけでなく、営業や現場の仕事でも使われています。AIコンサルが支援できる領域を、仕事の場面で分けると次のようになります。
| 領域 | AIに任せる作業の例 | コンサルと一緒に決めること |
|---|---|---|
| 事務・経理 | 請求書や受注メールの転記、議事録の下書き、社内の問い合わせへの回答 | どの書類から始めるか、誰が確かめてから使うか |
| 営業・販売・顧客対応 | 見積書や提案書の下書き、問い合わせへの返信の案、商談の記録の整理 | お客様に出す前の確認の手順、書いてはいけないことの決まり |
| 製造・現場・物流 | 日報や点検記録の整理、作業手順書の下書き、過去のトラブル記録の検索 | 現場の言葉で使える形、紙の記録をどう取り込むか |
| 経営・管理 | 会議資料の要約、数字の資料の読み解き、社長の判断の基準の書き出し | 社長の手元に残す判断と、任せる作業の線引き |
| 社内ルール・教育 | 使ってよいツールと入れてはいけない情報の決まり、社員向けの研修 | 会社の大きさに合うルールと、教える順番 |
一度に全部を扱う必要はありません。最初の1つは、毎週くり返す、書式が決まっている、間違えても社内で直せる、の3つがそろう仕事から選びます。受注メールの転記や議事録の下書きが、その例です。
AIコンサルを頼むメリットと効果
メリット1:自社の仕事に当てはめた「使いどころ」が分かる
一般的なAIの使い方ではなく、自社の見積書、日報、問い合わせの流れに当てはめて、どこをAIに任せるかを具体的に決められます。「活用する業務がイメージできていない」という一番多い悩みに、まっすぐ向き合えます。
メリット2:ツール選びで遠回りしにくい
新しいAIツールは次々に出てきます。特定のツールの販売を目的としない相手なら、そのツールが自社に要るかを、仕事に当てはめて一緒に判断できます。判断の基準は「このツールで、どの仕事の何分が減るのか」です。答えが出ないツールには、お金を払う前に立ち止まれます。
メリット3:社内ルールを公的な資料に沿って決められる
個人情報保護委員会は2023年6月2日、生成AIサービスの利用について注意を呼びかけました。事業者向けの注意点は次の2つです。
- 個人情報を含む指示文を入れるときは、その個人情報の利用目的の範囲内かを十分に確かめる
- 本人の同意なく個人データを入れるときは、提供する事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめる
総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、2026年3月31日に第1.2版が公表されました。事業活動でAIを使う事業者を「AI利用者」と定め、チェックリストとワークシート(別添7)も公開されています。こうした資料を、自社の大きさに合う1枚のルールに落とし込むところまで、一緒に進められます。
メリット4:社長の時間を「判断」に使える
ツールの料金や機能を比べる表づくり、他社の使い方の下調べは、コンサル側が受け持てます。社長は定例の場で「この仕事から始めるか」「誰に任せるか」を決めることに集中できます。
AIコンサルの選び方
頼む相手を選ぶときは、初回の相談で次の点を確かめます。答えは、口頭だけでなく、紙やメールで残してもらうと比べやすくなります。
| 確かめること | 初回の相談で聞く質問の例 |
|---|---|
| 自社の仕事の話から始めるか | 「最初の打ち合わせで、何を聞かれますか?」 |
| 計画で終わるか、実行まで付き合うか | 「計画ができたあと、誰が、どこまで手伝ってくれますか?」 |
| 研修と開発をどう扱うか | 「社員の研修や仕組みづくりが必要になったら、別の契約ですか?」 |
| 月に何をしてくれるか | 「打ち合わせは月に何回、何分ですか?その間の質問はどうしますか?」 |
| 情報の扱い | 「渡した資料は、どこに保管され、誰が見ますか?」 |
| できないことを言うか | 「AIに向かない仕事は何ですか?」 |
「何でもできます」と答える相手より、向かない仕事や、人の確認が要る場面を説明できる相手のほうが、見通しを立てやすくなります。
費用の決まり方と、見積もりの比べ方は、AIコンサルの費用で詳しく解説しています。
AIコンサルの導入ステップ
進め方は会社によって違います。ここでは、月ごとに続ける形を例に、区切りの目安を紹介します。期間はあくまで目安で、会社の大きさや仕事の量で前後します。
Step.1 最初の1か月:仕事の流れを聞き、任せる候補を書き出す
- 社長と社内の担当者から、今の仕事の流れと、時間がかかっている仕事を聞く
- 書き出した仕事を「作業」「確認」「判断」に分け、AIに任せられそうな作業に印を付ける
- 効果を何の数字で確かめるかを決める
Step.2 2〜3か月目:1つの仕事で試し、ルールを決める
- 効果が見えやすく、すぐ試せる仕事を1つ選び、AIで試す
- 使ってよいツールと、入れてはいけない情報を1枚にまとめる
- 試したやり方を、手順書の形で残し始める
Step.3 4か月目以降:結果を確かめ、広げるか決める
- 決めておいた数字で結果を確かめ、続ける・広げる・やめるを決める
- 次にAIに任せる仕事の順番を決める
- 必要に応じて、社員向けの研修や、仕組みづくり(開発)に進む
AIコンサルを頼むときの注意点
注意点1:丸投げにしない
コンサルは社外の人です。社内で試す人、社員に声をかける人がいないと、打ち合わせで決めたことが進みません。社内の窓口を1人決め、打ち合わせには社長と窓口の担当者がそろって出ます。
注意点2:計画書ができただけで終わらせない
計画書は、出発点にすぎません。期間を区切って計画だけを頼むときは、実行を誰が担うのか、社内か、別の依頼先かを、先に決めておきます。
注意点3:情報を渡す前に、扱いを決める
見積書や顧客の情報を見せる前に、守秘義務、扱う情報の範囲、保存先を書面で決めておきます。顧客の個人情報を使わずに、仕事の流れだけを説明して相談することもできます。
注意点4:成果を約束する話をうのみにしない
自社の仕事を詳しく見る前に「必ずこれだけ減らせます」と言い切る話には、注意が必要です。どの仕事で、どの数字が、どう変わる見込みなのか、根拠を聞いて確かめます。
注意点5:AIの答えを、そのまま外に出さない
個人情報保護委員会も、生成AIの答えには不正確な内容が含まれることがある、と注意を呼びかけています。お客様に出す書類や数字の入った資料は、人が確かめてから使う手順を最初に決めます。
定着の仕組みづくり
中小企業庁の同じ資料には、ITツール(AIを含まない)を使った事業者の評価も載っています。「想定した効果が得られなかった」と答えた割合を、取り組みの有無で比べると次のとおりです。
| 取り組み | 行っている | 行っていない |
|---|---|---|
| 社員向けの研修や勉強会 | 8.7%(n=2,276) | 19.1%(n=1,685) |
| ITツールの部門間の連携 | 7.6%(n=3,045) | 34.8%(n=739) |
AIを含まない数字です。それでも、道具を入れるだけでなく、使う人を育て、部署をまたいで進めると、効果が出やすいことが読み取れます。契約が終わったあとも社内で使い続けるために、次の4つを残します。
定着のための4つの仕組み
- 手順書:AIに任せた仕事のやり方を、誰が読んでも同じようにできる手順書にする
- 社内ルール:使ってよいツール、入れてはいけない情報、確かめる人を1枚にまとめる
- 質問の窓口:社員が「この使い方で合っていますか?」と聞ける先を決め、よく出る質問を手順書に足していく
- 月ごとの確認:作業時間や手直しの件数を月ごとに見て、続ける・広げる・やめるを決める
シス学の場合
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。株式会社むさしAI研修が提供しています。
シス学では、月ごとに続ける形のシス学 AIコンサルティングをご用意しています。次のものが含まれます。
- 月1回の定例ミーティング(90分)
- 月1回のオンライン壁打ち・相談会(60分)
- 月内のチャット相談
社員向けのAI研修や、AIエージェントによる業務の自動化も、契約の時間の中で行います。どの仕事をAIに任せるかを決める相手と、研修や仕組みづくりを行う相手が同じなので、決めたことをそのまま実行に移せます。
定例では、1つの仕事を「作業(AI)・確認(社員)・判断(社長)」に分けて決めます。受注メールの転記を例にすると、次のとおりです。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 中身 |
|---|---|---|
| AI | 作業 | 受注メールから品名・数量・納期を読み取り、受注表に転記する |
| 社員 | 確認 | 元のメールと数量・納期を照らし合わせ、特注や急ぎなどの例外に対応する |
| 社長 | 判断 | 値引きや納期の約束を決め、この仕事をAIに任せ続けるかを定例で決める |
定例と壁打ちはオンラインで行い、全国に対応しています。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。自社に合うかどうかも、まずは30分の無料相談からお伝えします。相談のあとに無理な営業はしません。
まとめ
- AIコンサルは、外部の専門家が、どの仕事にAIをどう使うかを社長と一緒に決め、使い続けるまでを支えるサービス
- 頼み方は、期間を区切って計画をまとめる形と、月ごとに続けて実行まで支える形がある。何が手元に残るかで比べる
- 中小企業がAIを使っていない理由の上位は、使う業務が見えない、進める人がいない、ルールがない。どれもコンサルが受け持てる
- 選ぶときは、自社の仕事の話から始めるか、実行まで付き合うか、できないことを言うかを確かめる
- 効果は約束ではなく、数字で確かめるもの。手順書とルールを社内に残し、コンサルがいなくても回る形をゴールにする
まずは、社長の1週間の仕事を書き出し、AIに下書きや転記を任せられそうな仕事に印を付けてみてください。印が付いた仕事が、AIコンサルと最初に話すテーマになります。
よくある質問
AIコンサルとは何ですか?
外部の専門家が会社の仕事と数字を見たうえで、どの仕事にAIをどう使うかを社長と一緒に決め、社内で使い続けられるまでを支えるサービスです。期間を区切って計画をまとめる形と、月ごとに続けて実行まで支える形があります。
AIコンサルとAI顧問の違いは何ですか?
呼び方は会社ごとに違い、決まった定義はありません。定例と日々の相談で続けて支える形をAI顧問と呼ぶ会社もあれば、同じ形をAIコンサルと呼ぶ会社もあります。言葉ではなく、月に何をしてくれて、何が手元に残るかで比べてください。
AIコンサルは、どのくらいの期間がかかりますか?
この記事の導入ステップでは、最初の1か月で任せる候補を書き出し、2〜3か月目で1つの仕事を試し、4か月目以降に広げるかを決める目安を紹介しました。会社の大きさや仕事の量で前後します。
AIコンサルの費用はどのように決まりますか?
打ち合わせの回数と時間、随時の相談の受け方、研修や開発を含むかどうか、契約の期間など、頼む範囲で決まります。シス学 AIコンサルティングには、月1回の定例(90分)、月1回の壁打ち(60分)、月内のチャット相談が含まれます。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。
AIに詳しい社員がいなくても頼めますか?
はい。詳しい社員がいないからこそ、社外の専門家に相談する意味があります。ただし、社内で試す窓口の担当者を1人決めておくと、打ち合わせで決めたことが進みやすくなります。
AIコンサルを頼めば、必ず成果が出ますか?
必ず成果が出るとは言えません。効果は、会社の仕事や進め方で変わります。始める前に、作業時間や手直しの件数など、何の数字で確かめるかを決め、月ごとに確かめながら進めることが大切です。



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