飲食店が直面する構造的課題と生成AIの可能性
数字で見る飲食店の今:55万か所・400万人と、10倍の求人倍率
農林水産省と厚生労働省が2025年6月にまとめた「省力化投資促進プラン-飲食業-」には、飲食業の働き手について次の数字が載っています。働く人の入れ替わりは、厚生労働省の雇用動向調査(2025年)で補いました。
| 項目 | 数字 | もとの調査 |
|---|---|---|
| 飲食業の事業所数・従業者数 | 事業所55.4万か所(うち個人32.1万か所)、従業者405.2万人(全産業の7.0%) | 経済センサス‐活動調査(令和3年)。飲食店と持ち帰り・配達飲食サービス業の計 |
| パートタイム労働者の割合 | 78%(全産業は31%) | 厚生労働省「毎月勤労統計調査」(令和6年) |
| 資本金5,000万円未満の会社の割合 | 98% | 経済産業省「2023年経済構造実態調査」 |
| 有効求人倍率(令和5年度) | 飲食物調理の職業2.9倍、ウエイター・ウエイトレス・配ぜん人5.0倍、飲食店店長10.0倍(全産業平均1.3倍) | 厚生労働省「職業安定業務統計」 |
| 入職率・離職率(一般労働者、2025年) | 宿泊業,飲食サービス業は入職率24.4%・離職率21.5%(一般労働者全体は12.0%・11.4%) | 厚生労働省「雇用動向調査」(2026年8月31日公表) |
| 従業員1人あたりの付加価値額 | 飲食・サービス業219万円(全産業917万円) | 経済産業省「企業活動基本調査」(2022年度実績) |
店長の求人は、求職者1人に対して10件。パートタイム以外の一般労働者でも、1年で約2割が辞め、約2割強が新しく入ってきます。働き手の8割がパート・アルバイトで、教えた人がすぐ入れ替わる。そのなかで、社長や店長が仕込み、接客、発注、シフト、SNSまで抱えているのが、多くの飲食店の姿です。
国もこの状況を前提に動いています。同じプランは、飲食業の労働生産性を2029年度までに35%上げる目標を掲げました(2024年基準)。2026年2月には、飲食業の省力化投資の検討委員会が「飲食店の未来を変える自動化・省力化ガイドブック」をまとめています。中小の飲食店が機械やITを入れるための進め方と、実際の店の事例が載っています。
インバウンド:訪日客の旅行消費の21.9%は飲食費
観光庁の訪日外国人消費動向調査(2025年暦年・確報)では、訪日外国人の旅行消費額は9兆4,549億円で過去最高でした。費目別の構成比は宿泊費36.6%、買物代27.0%、飲食費21.9%で、2024年より飲食費の割合が増えています。一般客1人あたりの飲食費は5万円です。外国語のメニューや説明を整えることは、この需要を受け止めるための準備です。
AIの活用はこれから:中小企業で「取り組んだ」は約3割
中小企業庁が2026年版中小企業白書の概要として示した資料があります。2019年以降の省力化の投資で、AIの活用に「取り組んだ」と答えた中小企業は30.3%でした(n=5,645)。取り組んでいない理由の1位は「活用する業務がイメージできていない」の63.4%です(n=3,888、複数回答)。飲食業だけの数字ではありませんが、「どの仕事に使うか」が見えないことが、いちばんの止まる理由です。
飲食店ならではの3つの壁:なぜ使い始めにくいのか
- 社長が現場に立っている:社長や店長が厨房とホールに入っているため、パソコンの前に座る時間がない。試すならスマホで、1回5分で済む仕事から
- 食の安全と表示が絡む:メニューの言葉や写真、アレルギーの案内を間違えると、お客様の健康や店の信用に直結する。AIに任せてよい所と、任せてはいけない所の線引きが要る
- 教える相手が毎年入れ替わる:パート・アルバイトが8割で、入れ替わりも多い。手順が店長の頭の中にあると、新人が来るたびに同じことを口で教えることになる
だからこそ、生成AIは「料理や表示を決める道具」ではなく、「社長が確かめる前提の下書き係」として使うと始めやすくなります。口コミへの返信、SNSの投稿文、求人の文、新人向けの手順書のように、閉店後にスマホで打っていた文章の仕事からです。
飲食店における生成AIユースケース全体像
生成AIが得意なのは、文章を「読む」「まとめる」「下書きする」「訳す」仕事です。飲食店の仕事を場面ごとに分けると、使いどころは次のようになります。
| 場面 | AIに任せる作業の例 | 人が必ず確かめること |
|---|---|---|
| メニュー | 料理の説明文、季節メニューの名前の案、メニュー表の文の整え | 食材・産地・調理法が実際と同じか。アレルゲンはAIに書かせない |
| インバウンド | 英語・中国語・韓国語のメニューと説明、よくある質問の外国語の答え | アレルゲンや食材の訳が正しいか。料理の中身が伝わるか |
| 集客 | Instagramの投稿文、Googleマップの店舗説明、季節のお知らせ | 「人気No.1」など根拠のない言葉が入っていないか |
| 口コミ | 口コミへの返信の下書き、不満の多い点のまとめ | 約束や言い訳になっていないか。お客様の個人が分かる書き方をしていないか |
| 予約・電話 | 予約の電話やテイクアウト注文の受付(音声AIのサービス) | アレルギーや人数の多い予約など、例外の時に人へ回す決まり |
| 採用 | アルバイトの求人の文、面接で聞くことの一覧 | 時給・時間・待遇が実際の条件と同じか |
| 教育 | 店長のメモから新人向けの手順書、理解を確かめる問題 | 温度・時間・量と衛生の手順が店の決まりどおりか |
| 仕入れ・経営 | 月次の売上・原価のふり返り、発注量の見直しの材料づくり | 数字の元(レジ・仕入れの記録)と合っているか。発注を決めるのは人 |
機械やシステムで仕事そのものを減らした例もあります。国の自動化・省力化ガイドブックに載っている豚組食堂 六本木ヒルズ店(運営する会社は4店舗)は、インバウンド客が8割です。セルフオーダーの仕組みで商品の説明と注文の受付を担い、ホールを4名から2名で回せる体制にしました。こうした外国語の説明文づくりは、生成AIが下書きを受け持てる仕事です。
国内飲食店の生成AI活用事例
ここでは、各社のニュースリリースや公式の事例ページ、国の事例集で公表された内容だけを紹介します。数字は発表に書かれたとおりです。
すかいらーくHD|約3,000店舗の損益分析にGemini、挨拶の計測は2日で試作
すかいらーくグループは「ガスト」などを約3,000店舗運営しています。Google Cloudが2026年1月7日に公開した事例によると、表計算ソフトで別々に管理していた店舗別の損益(PL)データを1か所に集めました。営業本部は、約3,000店舗のPL分析に「Gemini in BigQuery」を使っています。マーケティング本部では、「売上が5%下がった理由」を、天候・販促・メニュー改定・前年実績などから言葉で問いかけて分析できるようにしました。
店舗の「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」をAIで計測する取り組みもあります。Google Cloudの支援の仕組みを使い、自社だけなら2〜3か月かかると見ていた試作を2日間で作ったとしています。発話の見逃しやスコアの精度には課題が残り、検証の段階だとも書かれています。
トリドールHD|AIが店長向けの改善策を文章で提案、創業者の判断基準もAIに
トリドールホールディングスは2025年10月15日、丸亀製麺の「AIレコメンド機能」を発表しました。AIエージェントが、従業員の「ハピネススコア」、顧客の「感動スコア」、各店の成功事例のデータを分析します。そのうえで、店長がすぐ実行できる改善策を文章で自動生成し、ダッシュボードに提案します。このダッシュボードは、2025年12月から丸亀製麺の全店舗で運用を始めるとしています。
2026年9月1日には、創業者の判断基準をAIにした「AI粟田さん」の導入も発表しています。もとにしたのは、社長へのインタビュー、過去のメディア発言、講演資料、社内向けの経営方針資料です。まず商品開発や店舗建設に関わるマネージャー以上の約90名に、ふだん使うMicrosoft Teamsの中で展開しました。どちらも、効果の数字は発表にありません。
かつや・8番らーめん|電話のテイクアウト注文の80%をAIが受付(実証)
飲食店向けのシステム会社tacomsは2026年6月1日、大規模言語モデル(LLM)で電話のテイクアウト注文を聞き取るサービスを正式に提供すると発表しました。とんかつ専門店「かつや」と「8番らーめん」の複数店舗での試験版の実証で、電話のテイクアウト注文の80%の自動化を達成したとしています。営業時間・調理時間・欠品の情報を見て、受けられるかどうかも判断します。かつやの担当者は、スタッフが店内の接客や調理に集中できるようになったとコメントしています。
千房|国内約60店舗のお好み焼チェーンで、忙しい時間帯の電話応答の約8割を自動化
千房は、国内約60店舗のお好み焼・鉄板焼チェーンです。音声AIのサービス会社IVRyが2026年1月7日に出した発表では、対話型の音声AIを複数の店舗で本格稼働させています。千房の担当者は、忙しい時間帯の電話応答の約8割を自動化できたとコメントしています。SMSで予約フォームを送ることで、営業時間外も含めて24時間予約を受けられるようにもなりました。スタッフの約半数が外国籍で、電話が苦手な若手の負担も減ったとしています。
清修庵(国の事例集)|AIの発注で、店長の発注の仕事が1店舗2〜2.5時間から5分に
2026年2月の自動化・省力化ガイドブックには、京都・近県でそば・和食の店を16店舗運営する清修庵の事例が載っています。売上の実績と店の特徴からAIが需要を予測し、発注量を計算する仕組みを入れました。結果は次のとおりです。
- 店長の発注業務:1店舗あたり2〜2.5時間 → 5分
- 在庫:1店舗30万円 → 15〜16万円
- 発注額:10〜15%減
生成AIではなく需要予測のAIです。中小の店が写せるのは、その準備です。約200品のレシピを、感覚的な「ひとつかみ」ではなくグラム単位でデータにしました。導入時には「自分(人)が判断責任を持つ」ことを従業員と確かめ直し、協力的なモデル店舗から広げています。
飲食店で使えるプロンプト7選
そのまま貼り付けて使える文例です。( )の中を自店の内容に置き換えてください。お客様の名前や電話番号、予約の中身は入れずに試すのが基本です。
①【メニュー】料理の説明文を、事実だけで書く
最後の一覧に出た言葉は、仕入れの伝票や規格書と照らします。「地鶏」「国産」のような言葉ほど、間違えたときの影響が大きくなります(リスクの章で説明します)。
②【インバウンド】多言語メニューの下書きを作る
アレルゲンの訳は、外国語の分かる人に確かめてもらうか、別の翻訳サービスで日本語に訳し戻して、元の表と同じになるかを見ます。
③【口コミ】Googleマップの口コミへの返信を作る
④【集客】実物の写真に合わせて、SNSの投稿文を作る
⑤【採用】アルバイトの求人の文を作る
⑥【教育】店長のメモを、新人向けの手順書にする
「要確認」と出た所が、店長の頭の中にしかない基準です。そこを店長に聞いて埋めると、手順書が店に残ります。手順書づくりの進め方はマニュアル作成にAIを使う方法でも解説しています。
⑦【経営】先月の数字から、月次のふり返りを作る
どの文例でも、AIが作ったものは下書きです。食材・産地・アレルゲン・価格・時給は、必ず人が元の記録と照らしてから使ってください。
飲食店×生成AIのリスクとガバナンスをどう設計するか
飲食店で特に気をつけたい4つのリスク
- アレルゲンの書き間違い・抜け:AIは、店が実際に使っている食材や、だし・ソースの中身を知らない。もっともらしい一覧を作っても、抜けがあればお客様の健康に関わる
- メニューが実物より良く見える:AIは「厳選」「朝どれ」「国産」のような言葉を足しがち。実際と違えば、景品表示法の問題になりうる
- AIで作った料理の画像:実物と違う見た目の画像は、表示の問題になるうえ、不自然さに気づいたお客様の信用も落とす
- お客様の情報:予約客の名前・電話番号や、アレルギーの申し出など健康に関わる情報を、会社が認めていないAIサービスに入れてしまう
法令・ガイドラインと、AIを使うときの決まり
| 法令・資料 | 飲食店に関係すること | AIを使うときの決まり |
|---|---|---|
| 食品表示基準のアレルギー表示(消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」令和8年4月) | 義務は特定原材料の9品目(えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)。推奨は特定原材料に準ずるものの20品目。飲食店で出す料理や出前、ばら売り・量り売りは表示の対象外。ただし、飲食店でも容器包装に入れて売る食品は表示が必要 | アレルゲンの欄はAIに書かせない。レシピと仕入れ先の規格書から人が作った表を使う。持ち帰り用に容器包装で売る商品は、義務表示として人が作る |
| 同じハンドブックの「消費者への対応」 | 表示義務がかからないレストランなどでも、メニューやウェブサイトに特定原材料等を表示したり、スタッフの研修を行ったりして、健康被害を防ぐよう求めている | メニューに載せるアレルゲン表は、店で確かめた表をそのまま使う。AIは表の体裁を整えるだけ |
| 景品表示法(消費者庁「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」) | 店内・店頭のメニュー、料理名、陳列物、口頭の説明も「表示」。特定の文言や写真だけでなく、メニュー全体から受ける印象で判断される | AIの説明文と画像は、仕入れの記録と実物で確かめてから載せる |
| 外食・中食における原料原産地情報提供ガイドライン(平成31年3月12日) | 外食・中食は原料原産地の義務表示の対象外で、自主的な対応が期待されている。事実と違って実際より著しく優良と誤認させる表示は、景品表示法の措置の対象になると明記。仕入れ伝票や規格書など根拠の資料を記録・保管する体制を求め、あいまいなことは情報提供しない、としている | 産地を書くなら仕入れ伝票どおりに。AIに産地を考えさせない |
| 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日) | 個人情報を含むプロンプトを入れるなら、利用目的の範囲内かを確認し、サービスの提供者が機械学習に使わないことなどを十分に確認するよう求めている | 予約客の名前・電話番号・アレルギーの申し出は入れない |
消費者庁の考え方には、景品表示法上の問題になる例が具体的に載っています。
| メニューの表示 | 実際 | 消費者庁の考え方 |
|---|---|---|
| ステーキ、ビーフステーキ | 牛の成形肉(肉や脂身を結着させ形を整えたもの)を焼いた料理 | 問題となる。表示するなら「成形肉使用」などと、料理名の近くか同じ視野の中に明瞭に書く |
| ××地鶏のグリル | ××地鶏ではない、単なる国産鶏肉 | 問題となる。実際のものと異なる表示 |
AIがきれいな言葉を足した説明文は、この形になりやすい文章です。料理名と説明の言葉を、1つずつ仕入れの記録と照らします。
アレルギーを聞かれたときは、AIではなく店の表と人で答える
消費者庁の事業者向けパンフレット「食物アレルギーのお客様との会話で困った経験ありませんか」(令和8年7月)には、情報を出すときのチェック項目が5つ載っています。AIで答えの文を作らせたくなる場面ほど、この5つに沿って人が答えます。
| チェック項目(パンフレット) | パンフレットの説明 | AIを使うときの扱い |
|---|---|---|
| 最新で正確な情報を提供する | 間違った情報は誤食事故につながる。「定番メニューだけ」「卵・乳・小麦だけ」など、範囲を明示して始めてもよい | AIの答えは使わない。店の表の範囲だけを案内する |
| あいまいな回答をしない | わからないときは「わからない」と答える | AIに「たぶん入っていません」のような推測の文を作らせない |
| 意図しない混入の可能性を伝え、重症者には慎重な判断を促す | 同じ調理器具、揚げ油の共有、粉が舞うことなどで混入しうる。完全に防ぐのは難しく、そのリスクを伝える | 混入の可能性を伝える文例を、店の調理の実態に合わせて人が作っておく |
| 「食べられる/食べられない」の判断はお客様にしてもらう | 原因の食物や、症状が出る量は人によって違う | 店やAIが「食べられます」と言い切らない |
| 正しい知識を持った店員が対応する | 責任者は食物アレルギーの正しい知識を学ぶ | 問い合わせは担当者に回す決まりにする |
同じパンフレットには誤食の事例が3つ載っています。店員が脱脂粉乳を乳製品と知らずに「入っていません」と答えた例。オムライスの卵をはがしただけで、作り直さずに出した例。予約時に確かめた内容が、従業員の間で引き継がれていなかった例です。いずれもAIの問題ではなく、店の手順の問題です。手順書づくりにAIを使う場合も、中身はこのチェック項目と店の決まりから人が決めます(プロンプト⑥)。
AIで作った料理の画像は使わず、メニューは実物の写真で
- メニューに載せる料理の写真は、実物を撮る:出す料理と同じ盛り付け・同じ量で撮る。消費者庁は、写真を含むメニュー全体から受ける印象で判断するとしている
- AIの画像は、料理そのもの以外に限る:季節の飾りの背景、イベントの告知のイラストなど、料理の見た目を約束しない所にとどめる
- 「画像はイメージです」で済ませない:判断の基準は、特定の文言ではなくメニュー全体の印象。注意書きを添えれば足りる、とは考えない
- 載せる前に、写真と実物を並べて見る:盛り付けを担当する社員が、量・色・器が実物と同じかを確かめる
社内ルールに入れたい5つのポイント
- AIに書かせないもの:アレルゲン、産地、価格、時給を具体的に書く。この4つは人が記録から書き写す
- 使ってよいAIサービス:会社が認めたサービスとアカウントだけを使う。個人のスマホの無料版に店の情報を入れない
- 入れてはいけない情報:予約客の名前・電話番号、アレルギーの申し出、従業員の個人情報、仕入れ先との取引条件
- 外に出す前に読む人:メニュー、求人、口コミの返信、SNSは、誰が読んでから出すかを決める
- 困ったときの連絡先:間違えて情報を入れた、表示を間違えたと気づいたときに、すぐ誰に伝えるかを決める
ルールはA4用紙1枚にまとめ、厨房の事務スペースにも貼っておきます。使わせないためではなく、パート・アルバイトも含めて安心して使うためのルールです。ひな形は生成AIの社内ルールで紹介しています。全体の考え方は、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」も参考になります。
飲食店のための3段階導入ロードマップ
期間は目安です。店の数や、社長と社員がAIを使った経験によって前後します。
段階1:社長1人で、口コミ・SNS・求人の文から始める(0〜3か月)
- 社長(または店長1人)が、プロンプト③④⑤で口コミの返信、SNSの投稿文、求人の文を試す
- 「AIに書かせないもの(アレルゲン・産地・価格・時給)」「入れてはいけない情報」「読んでから出す人」を1枚のルールにまとめる
- 試す前と後で、1件あたりにかかる時間を記録しておく(例:口コミの返信1件に何分か)
段階2:メニュー・多言語・新人の手順書へ広げる(3〜6か月)
- レシピと仕入れの記録をもとに、料理の説明文と多言語メニューの下書きを作る(プロンプト①②)。アレルゲン表は人が作る
- 店長のメモから新人向けの手順書を作り、新人が来たときに使ってみる(プロンプト⑥)
- 店長・社員向けに研修を行い、うまくいった文例を店で共有する
研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがあります。対象になるのは雇用保険の被保険者で、パート・アルバイトでも被保険者でなければ対象外です。計画届は研修を始める1か月前までに出す必要があり、受給できるかどうかは審査で決まります。条件はAI研修に使える助成金で解説しています。
段階3:電話・発注・数字を仕組みにつなぐ(6か月〜)
- 電話の予約やテイクアウト注文が多い店は、音声AIのサービスを比べる。アレルギーや大人数の予約など、人に回す場面を先に決める
- レジと仕入れの数字を毎月AIに渡し、月次のふり返りを作る(プロンプト⑦)。発注量を見直すなら、清修庵のようにレシピの量を数字にしておく
- 月ごとに作業時間や、口コミ・求人への反応を確かめ、続ける・広げる・やめるを決める
シス学の場合
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。株式会社むさしAI研修が提供しています。
シス学では、仕事を「作業・確認・判断」に分けて考えます。下書きや転記などの作業はAIが、AIの結果を確かめて例外に対応する確認は社員が、方針や最終の決定である判断は社長が受け持ちます。飲食店の代表的な書類である、メニュー(説明文と多言語メニュー)に当てはめると、次のようになります。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | メニューづくりでの中身 |
|---|---|---|
| AI | 作業 | レシピと仕入れの記録から、料理の説明文と4か国語の訳の下書きを作り、事実を確かめる言葉を一覧にする |
| 社員(店長) | 確認 | 説明文の言葉を仕入れの伝票・規格書と照らし、アレルゲン表を人の手で作り、写真と実物を並べて確かめる |
| 社長 | 判断 | どの料理を推すか、価格、メニューに載せる言葉を最後に決める |
社長に集まっていた下書きや確認を、AIと社員に渡す。そのために、社長がメニューで毎回気にしている点(使ってよい言葉、産地の書き方など)を、店長の確認の手順書に書き出しておきます。
どの仕事からAIに任せるかの順番づくりや、表示をふまえたルールづくりはシス学 AIコンサルティングでお手伝いしています。店長や社員がAIを使えるようにする研修は、シス学 AI研修で行います。定例と相談はオンラインで行い、全国に対応しています。
まずは30分の無料相談から。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。日時を選んで無料相談を予約できます。
まとめ:飲食店×生成AIは「表示の責任」を店に残し、閉店後の文章から任せる
- 飲食業は事業所55.4万か所・従業者405.2万人。飲食店店長の有効求人倍率は10.0倍、一般労働者の離職率は21.5%で、教えた人が入れ替わり続ける
- 訪日客の旅行消費の21.9%は飲食費。外国語のメニューと説明は、生成AIが下書きを受け持てる仕事
- 外食大手は損益分析や店長への改善策の提案に、中小チェーンは電話の受付に、AIを使っている。数字はそのまま自店に当てはめない
- アレルゲン・産地・価格・時給はAIに書かせない。アレルギーを聞かれたら、消費者庁の5つのチェック項目に沿って店の表と人で答える。メニューは文言も写真も全体の印象で判断されるため、料理の写真は実物で撮る
- 0〜3か月は口コミ・SNS・求人の文、3〜6か月でメニュー・多言語・手順書、6か月〜で電話・発注・数字の仕組みへ。効果は数字で確かめる
まずは今夜、閉店後に返そうと思っていた口コミを1件選び、プロンプト③で返信の下書きを作ってみてください。いつもかかる時間と比べることが、自店に合う使い方を見つける一歩目になります。
よくある質問
個人経営の小さな飲食店でも、生成AIは使えますか?
使えます。専用の仕組みがなくても、スマホで口コミへの返信、SNSの投稿文、求人の文の下書きから始められます。ただし、アレルゲン・産地・価格・時給は、AIに書かせず、人が記録から書き写してください。
メニューの説明文やアレルギー表示を、AIに作らせてもよいですか?
説明文は、レシピと仕入れの記録だけを使う指示にしたうえで、下書きとして使えます。アレルギーの情報はAIに作らせないでください。AIは店が実際に使っている食材を知りません。レシピと仕入れ先の規格書から、人が表を作ります。
メニューの写真をAIで作ってもよいですか?
料理そのものの写真は、実物を撮ることをおすすめします。消費者庁は、メニューの表示が問題になるかを、写真も含めたメニュー全体の印象で判断するとしています。AIの画像は、背景や告知のイラストなど、料理の見た目を約束しない所にとどめます。
外国語のメニューをAIで翻訳しても大丈夫ですか?
下書きとしては使えます。料理名はローマ字の読みと短い説明を並べ、アレルゲンの欄は店で確かめた表をそのまま訳させます。訳は外国語の分かる人に確かめてもらうか、日本語に訳し戻して元の表と同じになるかを見てください。
何から始めればよいですか?
閉店後にスマホで打っている文章を1つ選び、AIで下書きを作って人が直す形で試すのがおすすめです。口コミへの返信なら、送る前に読めば確かめられます。試す前と後で1件あたりの時間を記録しておくと、続けるかどうかを判断できます。
パート・アルバイトのAI研修に、助成金は使えますか?
研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがあります。対象は雇用保険の被保険者で、計画届は研修を始める1か月前までに出します。受給できるかは審査で決まるため、日程を決める前に労働局か社会保険労務士に確かめてください。



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