保険代理店が直面する構造的課題と生成AIの可能性
数字で見る保険代理店の今:代理店数・募集人・加入の経路
まず、業界団体の統計で代理店の今を確かめます。日本損害保険協会(損保協会)と生命保険協会(生保協会)の資料では、次のように示されています。
| 項目 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 損害保険の代理店の数 | 12万4,024店(2025年度末)。前年度末の14万138店から1万6,114店減(△11.5%)。2015年度末は20万2,148店で、10年で約4割減 | 日本損害保険協会 |
| 損害保険の代理店の新設・廃止 | 2025年度は新設3,149店に対し、廃止1万9,263店(廃止は前年度比29.7%増) | 日本損害保険協会 |
| 損害保険の募集従事者数 | 173万6,427人(2025年度末、前年度末から△2.4%) | 日本損害保険協会 |
| 損害保険の代理店の形 | 専業18.1%・副業81.9%、専属76.9%・乗合23.1%(2万8,662店)。自動車販売店・整備工場の代理店が56.4% | 日本損害保険協会 |
| 代理店が扱う損害保険料の割合 | 元受正味保険料の89.0%が代理店扱 | 日本損害保険協会 |
| 生命保険の代理店の数 | 法人代理店3万1,339店(9年連続減少)、個人代理店4万3,959店(10年連続減少)。代理店使用人数は91万4,233名(2024年度末) | 生命保険協会 |
| 生命保険に入った経路 | 直近(2019年以降)に加入した民間の生命保険の経路は、「保険代理店の窓口や営業職員」が15.7%で、生命保険会社の営業職員(56.7%)に次ぐ2位 | 生命保険文化センター(2人以上世帯の調査) |
損害保険の代理店は1年で1割以上減り、生命保険の代理店も毎年減っています。一方で、損害保険料の約9割は代理店を通じて契約されています。お客様の数は簡単には減らないのに、担い手は減っている。1店あたり、1人あたりの仕事は重くなる一方です。
2026年は記録と体制づくりの仕事が増えた年:改正保険業法と代理店業務品質評価制度
2025年6月に公布された改正保険業法は、2026年6月1日に施行されました。対象は、複数の保険会社の商品を扱う規模の大きな損害保険代理店(特定大規模乗合損害保険代理店)です。営業所ごとの法令等遵守責任者、本店の統括責任者、苦情の処理と記録の保存などの体制づくりが義務になりました(保険業法第294条の4)。規模の大きな乗合の生命保険代理店にも、政令で同じような体制整備の義務が設けられました(金融庁、2025年12月19日公表)。
損保協会が運営する「代理店業務品質評価制度」も、2026年度から業界共通の枠組みとして始まりました。代理店は自己点検チェックシートに答え、保険会社との対話を通じて業務品質を高めることが求められます。金融庁と国土交通省は2026年10月13日、損保協会を通じて損害保険会社に、代理店の規模や業務の特性を踏まえない一律の運用をしないよう要請しました。協会には、自己点検チェックシートの設問や水準が、規模や業務の特性を踏まえたものかを改めて確かめるよう求めています。
大きな代理店ほど義務は重くなりますが、小さな代理店でも、面談の記録、比較推奨の理由、自己点検の証跡といった「書いて残す仕事」は避けられません。ここが、生成AIがいちばん手伝える所です。
AIの活用はまだこれから:中小企業で「取り組んだ」は約3割
中小企業庁の2026年版中小企業白書の概要資料では、2019年以降の省力化の投資でAIの活用に「取り組んだ」中小企業は30.3%(n=5,645)でした。取り組んでいない理由の1位は「活用する業務がイメージできていない」63.4%、2位は「活用を推進する人材が不足している」40.0%です(n=3,888)。3位は「社内ルール・ガイドラインが整備されていない」26.2%でした(複数回答)。保険代理店だけの数字ではありませんが、「どの仕事に使うか」「誰が進めるか」「どんな決まりで使うか」が止まっている理由である点は同じです。
保険代理店ならではの3つの壁:なぜ使い始めにくいのか
- 扱う情報が重い:健康状態や病歴、事故の内容、家族の構成、口座の情報など、外に出してはいけない情報を毎日扱う
- 説明の一言が法令に直結する:保険業法は、うその説明、大事なことを言わないこと、誤解させる比較、将来の金額を確実だと言うことなどを禁じている(第300条)。AIの言い回しがそのまま違反になりうる
- 保険会社ごとにシステムと書式が違う:乗合の代理店は、保険会社ごとにシステム、帳票、事務の決まりが違い、AIの下書きをそのまま流し込めない
だからこそ、生成AIは「お客様に直接答える係」ではなく、「募集人が確かめてから使う下書き係」として使うと、保険代理店でも始めやすくなります。面談のメモを記録の形に整える、パンフレットの文章をやさしく言い換える、といった仕事です。
保険代理店における生成AIユースケース全体像
生成AIは、文章を読む・まとめる・書き直す仕事が得意です。保険代理店の仕事を場面ごとに分けると、使いどころは次のようになります。
| 場面 | AIに任せる作業の例 | 人が必ず確かめること |
|---|---|---|
| 面談・意向把握 | 面談メモや録音の文字起こしから面談記録を作る、当初の意向と最終の意向を並べた表の下書き | お客様が話したとおりか。意向をAIが推測で埋めていないか |
| 比較推奨 | 比較表の項目の整理、推奨理由の文章の下書き | 推奨の基準は募集人が決めたものか。手数料などで絞り込んでいないか |
| お客様への説明・案内 | 補償内容のやさしい説明文、満期の案内文、よくある質問の回答案 | 契約概要・注意喚起情報・約款と照らし合わせたか。断定する言い方がないか |
| 事故の受付 | 事故の連絡メモを受付票の形に整理、必要な書類の案内文 | 保険金が出るかどうかは書かない(判断するのは保険会社) |
| 自己点検・体制づくり | 自己点検の設問ごとの証跡の一覧、社内規程や手順書の下書き、研修の確認テスト | 実際の業務と合っているか。責任者が読んだか |
| 社内の照会 | 保険会社のマニュアルや事務の決まりを探して要点をまとめる | 最新の版か。原文で確かめたか |
満期の契約の確認から、更改の見積と申込書案の準備、同じ契約への記録までを仕組みにしたい場合は、保険更改の見積・書類準備支援のページでご紹介しています。この記事では、その手前の「文章の仕事」を中心に取り上げます。
国内保険代理店・保険会社の生成AI活用事例
ここでは、各社が自社のニュースリリースで公表した内容だけを紹介します。数字は発表に書かれたとおりで、計画や試算はそう書いています。
損保ジャパン|代理店の態勢整備の判定で、生成AIが一次判定し、社員が確認
損害保険ジャパンは2026年1月21日、委託代理店の態勢整備の状況を評価・判定するシステムを開発し、2025年12月に運用を始めたと発表しました。代理店から提出された資料をシステムに上げると、大規模言語モデルを使った生成AIが一次判定を行い、社員が確認する仕組みです。判定の誤りやばらつきを抑え、社員の作業時間を短くするとしています。2026年度から始まった業界共通の代理店業務品質評価制度での運用にも使っていくとしています(削減時間の数字は発表にありません)。
三井住友海上×hokan|代理店の自己点検の回答をAIが分析し、対話と改善の案を作る
保険代理店向けのクラウドシステムを提供するhokanは2026年6月22日、三井住友海上と連携し、代理店の自己点検の対話を支えるツールを開発したと発表しました。三井住友海上が持つ代理店監査の情報や顧客アンケートなどをAIが分析し、自己点検チェックシートの回答と実際の業務に食い違いがないかを見ます。そのうえで、改善のポイントと対話の案を作ります。対話の内容の記録・管理もできるとしています。
あいおいニッセイ同和損保×DNP|約4万店の代理店向けに、生成AIのFAQチャットボット
大日本印刷(DNP)とあいおいニッセイ同和損保は2025年2月27日、生成AIを使った問い合わせ対応のFAQチャットボットの運用を同日から始めると発表しました。代理店専用システムを使う約4万店の全代理店が対象で、マニュアルやFAQなどの最新の情報をもとに回答を作ります。毎月4,000件以上寄せられている、代理店専用システムのログインや接続の操作に関する照会を、半分にすることを目指すとしています。
保険見直し本舗グループ×ナウキャスト|来店型ショップの商談記録を生成AIで作る
保険見直し本舗グループとナウキャストは2024年9月5日、保険代理店の営業活動での生成AI活用で協業すると発表しました。対象は全国350店以上の来店型ショップ「保険見直し本舗」(年間約10万世帯に対応)です。商談の自動文字起こしと営業日誌の作成支援、あらかじめ決めた評価の観点に商談が合っているかを判定する機能を入れます。2024年内に一部の店舗で試験導入し、2025年中に350店以上での導入を目指すとしていました。
エムエスティ保険サービス|法人向けの総合代理店が、全社員約1,000名に専用の生成AI環境
ナウキャストは2025年7月16日、エムエスティ保険サービスの社員専用の生成AI環境「AI-MO」を構築したと発表しました。同社は法人向けの総合保険代理店で、法人顧客は全国約2万4,000社です。2024年10月に試験導入し、2025年5月から全社員約1,000名に広げています。個人情報の検出、自動の警告表示、NGワードの設定、社内資料の検索などの機能を持ち、社内のネットワークの中で動かす形にしています(効果の数字は発表にありません)。
アイリックコーポレーションと代理店など6社|募集人の照会対応を助ける、保険業界向けの検索AIを共同開発
アイリックコーポレーションは2025年2月6日、生成AIを使った保険業界向けの情報検索「AS FiNDER」の開発に着手したと発表しました。LHL、ライフサロン、ライフプラザパートナーズ、ほけんの110番、AZPowerとの6社の共同開発です。課題は、募集人が新契約から保全、支払までの照会に答えるとき、いくつものシステムに散らばったマニュアルや規定を探す時間が長いことです。検索の時間を年に約120時間短くできると、同社は試算しています。
保険代理店で使えるプロンプト7選
そのまま貼り付けて使える文例です。[ ]の中を自社の内容に置き換えてください。お客様の名前、証券番号、健康状態や病歴、口座の情報は入れず、「Aさん」「40代・会社員」のように置き換えて試すのが基本です(理由はリスクの章で説明します)。
①【面談記録】面談メモを、面談記録と「当初の意向・最終の意向」の対比に整える
金融庁の監督指針は、意向把握の方法の例として、最終的な意向が固まった段階で当初に把握した意向と比べ、違いがあればその点を確かめることを挙げています。その対比をAIに下書きさせます。
「要確認」が出た所は、次の連絡でお客様に確かめる点です。意向の記録は、お客様の確認を経て確定させます。
②【比較推奨】比較表と推奨理由の下書きを、自分で決めた基準だけで作る
乗合の代理店が複数の商品から絞り込んで勧めるときは、絞り込みの基準と推奨の理由を分かりやすく説明することが求められています。AIに「おすすめ」を選ばせず、募集人が決めた基準を渡して文章だけを整えさせます。
どの商品を勧めるかを決めるのは募集人です。比較表の数字は、必ず各社の契約概要やパンフレットと照らし合わせてから使います。
③【説明文】補償の内容を、原文の範囲だけでやさしい言葉にする
お客様から「結局、何が出て、何が出ないの?」と聞かれたときの説明の下書きです。AIが書き足したり、言い切ったりしないよう、制限をはっきり書きます。
最後の対応表が、募集人が原文と照らし合わせるための材料になります。原文にもとづかない文が見つかったら消します。
④【満期の案内】満期と更新の案内文を作る
保険料や補償の条件は、保険会社のシステムで確かめた数字を、送る前に募集人が書き入れます。
⑤【事故の受付】事故の連絡メモを受付票に整理し、お客様への案内文を作る
保険金の支払いは保険会社が判断します。AIの案内文に「出ます」「大丈夫です」といった言葉が入っていたら、必ず消します。
⑥【自己点検】自己点検の設問ごとに、社内の証跡を一覧にする
「要準備」が並んだ所が、次に整える仕組みです。答えの内容が実際の業務と合っているかは、責任者が確かめます。
⑦【社内研修】募集ルールの確認テストを作る
どの文例でも、AIが作ったものは下書きです。お客様の意向、商品の内容、保険料、支払いに関わることは、必ず募集人が元の資料と照らし合わせてから使ってください。
保険代理店×生成AIのリスクとガバナンスをどう設計するか
保険代理店で特に気をつけたい3つのリスク
- 健康情報・個人情報の持ち出し:保険業法は、募集人に「保険募集の業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱い」のための措置を求めています(第294条の3)。個人情報保護委員会の金融分野のガイドラインは、保健医療などの機微(センシティブ)情報を、原則として取得・利用・第三者提供しないとしています。保険業などの適切な業務運営のために、本人の同意にもとづき必要な範囲で扱う場合などは例外です。会社が認めていないAIサービスに、健康状態や病歴を入れてはいけません
- 説明文のもっともらしい誤り:AIは、補償の範囲や支払われない場合を、それらしく間違えることがあります。そのままお客様に出すと、うその説明や大事なことを言わない行為(第300条第1項第1号)にあたるおそれがあります
- 記録の「作文」:AIが面談記録の意向を推測で書き足すと、記録が事実と食い違います。監督指針(Ⅱ-4-2-2(3))は、意向確認書面のお客様の意向の部分に事実と違う記載がないかを、お客様に確かめるよう求めています。直してほしいと言われたら、すぐに対応します
AIが顧客への説明文を作るときに、条文で確かめること
保険業法、同法施行規則、金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」の原文から、AIの下書きを使う前に確かめたい点をまとめました。
| 決まり | 原文の要点 | AIの下書きで確かめること |
|---|---|---|
| 情報の提供(保険業法第294条第1項、施行規則第227条の2第3項) | 商品の仕組み、保険金が支払われない主な場合、告知、解約返戻金などを記載した書面を用いて説明し、交付する | 要約で「支払われない場合」「告知」「解約返戻金」が抜けていないか。説明は契約概要・注意喚起情報を使い、AIの要約で置き換えない |
| 募集人の立場の明示(同法第294条第3項) | 所属保険会社の名前と、代理か媒介かの別を、あらかじめ明らかにする | 案内文に引受保険会社の名前と、代理店の立場が書いてあるか |
| 意向の把握(同法第294条の2) | お客様の意向を把握し、それに沿った提案と説明をし、意向と契約の内容が合っているかをお客様が確かめる機会をつくる | 意向をAIが推測で埋めていないか。最終の意向はお客様に確かめたか |
| うそ・大事なことを言わない(同法第300条第1項第1号) | 虚偽のことを告げたり、判断に影響する重要な事項を告げなかったりしてはならない | 「全部出ます」「必ず」などの言い切りがないか。原文にない補償を書いていないか |
| 誤解させる比較(同法第300条第1項第6号) | 他の保険契約と比べた事項で、誤解させるおそれのあるものを告げ、表示してはならない | 有利な項目だけを並べていないか。監督指針は、比べる相手の商品の全体像や特性も正確に示すよう求めている |
| 断定的な判断(同法第300条第1項第7号) | 配当など将来の金額が不確実な事項について、断定的な判断を示してはならない | 配当、運用の成果、返戻金の将来の額を「増える」「確実」と書いていないか |
| 比較推奨販売(施行規則第227条の2第3項第4号、監督指針Ⅱ-4-2-9(4)(5)) | 意向に沿った比較可能な同種の商品の概要と提案の理由を説明する。手数料の高い商品に誘導するための絞り込みをしない。「公平・中立」と表示すると誤解されるおそれがある | AIに「おすすめ」を選ばせていないか。推奨の基準と理由を募集人が決め、説明できるか(手数料の水準で誘導していないか) |
金融庁が2026年3月に公表した「AIディスカッションペーパー(第1.1版)」は、130社のアンケートなどをもとにした論点整理です。金融機関に求める具体的な対応を示すものではない、としています。その中で、対顧客のサービスに生成AIを入れている先でも、出力を顧客に直接見せず、人の判断を介する使い方が大半だと整理しています。ハルシネーション(もっともらしい誤り)などのリスクを考えてのことです。社員が生成AIの結果をもとに顧客や代理店に答える場合は、必ず社員が内容の是非を判断してから使う、という例も挙げています。
社内ルールに入れたい5つのポイント
- 使ってよいAIサービス:会社が認めたサービスとアカウントだけを使う。入力した内容が学習に使われない設定かを確かめる
- 入れてはいけない情報:健康状態・病歴、名前と証券番号の組み合わせ、口座やカードの情報、事故の相手方の情報などを具体的に書く
- 所属保険会社の決まりを先に確かめる:保険会社は、代理店を含む委託先の顧客情報の管理を確かめる立場にあります(監督指針Ⅱ-4-5)。委託契約や保険会社の顧客情報の取扱いの決まりと食い違わないようにする
- お客様に出す文書は募集人が原文と照らす:説明文・案内文・比較表は、契約概要・注意喚起情報・約款と照らしてから出す。推奨する商品は人が決める
- 記録の残し方と相談の窓口:AIの下書きと、募集人が直した確定版を分けて保存する。間違えて情報を入れたときに、誰に、すぐ何を伝えるかを決めておく
ルールはA4用紙1枚にまとめ、自己点検の証跡としても使える形にしておきます。使わせないためのルールではなく、募集人が安心して使うためのルールです。ルールに書く項目は生成AIの社内ルールの作り方でも紹介しています。
保険代理店のための3段階導入ロードマップ
期間は目安です。代理店の大きさや、扱う保険会社の数、社員がAIを使った経験によって前後します。
段階1:社内で使う記録の下書きから始める(0〜3か月)
- 所属保険会社の決まりを確かめ、使ってよいAIサービスと、入れてはいけない情報を1枚のルールにまとめる
- 事務の担当者と募集人1〜2人で、面談記録(プロンプト①)と事故受付票(プロンプト⑤)の下書きを試す
- 試す前と後で、記録1件あたりにかかる時間と、書き直した箇所の数を記録しておく
段階2:比較推奨の記録・説明文・自己点検へ広げる(3〜6か月)
- うまくいった使い方を、文例と手順書にして社内で共有する
- 比較推奨の記録、お客様向けの説明文の下書き、自己点検の証跡の整理に広げる。お客様に出す文書は、この記事のチェック表で確かめる手順を決めてから
- 使う人を増やす前に、自社の募集ルールを題材にした研修を行う
研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがあります。条件はAI研修に使える助成金で解説しています。
段階3:社内の知識をつなぎ、AIエージェントで流れにする(6か月〜)
- 保険会社のマニュアル、社内規程、よくある照会と回答をまとめ、AIで探せるようにする
- 「満期の一覧から更改の準備を始め、確認した内容を同じ契約の記録に戻す」のように、いくつかの作業をつないだ仕組みをつくる
- 月ごとに作業時間や書き直しの件数を確かめ、続ける・広げる・やめるを決める
シス学の場合
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。株式会社むさしAI研修が提供しています。
シス学では、仕事を「作業(AI)・確認(社員)・判断(社長)」に分けて仕組みにします。保険代理店の更改の準備に当てはめると、次のようになります。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 中身 |
|---|---|---|
| AI | 作業 | 満期が近い契約を一覧にし、前年の補償内容と変更点を並べた更改の見積と申込書案の下書きを作る |
| 社員(募集人) | 確認 | お客様の意向を聞き、前年からの変更点と説明の抜けがないかを確かめる。お客様への説明は募集人が行う |
| 社長 | 判断 | 比較推奨の基準や、補償を大きく変える提案・高齢のお客様への対応などの例外の扱いを決める |
満期契約の確認から、更改の見積・書類の準備、同じ契約への記録までを支援する中身は、保険更改の見積・書類準備支援でご紹介しています。申込の手続き、商品の推奨、契約の判断、お客様への説明は担当者が行う前提で、対応するシステムと権限を事前に確認します。
月ごとに続けて進める形として、シス学 AIコンサルティングをご用意しています。月1回の定例ミーティング(90分)、月1回のオンライン壁打ち・相談会(60分)、月内のチャット相談が含まれます。社員向けのAI研修や、AIエージェントによる仕事の自動化も、契約の時間の中で行います。
定例と壁打ちはオンラインで行い、全国に対応しています。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。自社に合うかどうかも、まずは30分の無料相談からお伝えします。
まとめ:保険代理店×生成AIは「募集人が確かめる下書き係」として、面談の記録から始める
- 損害保険の代理店は2025年度末で12万4,024店。1年で1万6,114店減り、10年で約4割減った。生命保険の代理店も毎年減っている
- 2026年6月に改正保険業法が施行され、2026年度から代理店業務品質評価制度も始まった。記録と体制づくりの仕事は増えている
- 保険会社は、代理店の態勢の一次判定にAIを使い始め(損保ジャパン)、自己点検の対話を支えるツールも開発された(三井住友海上×hokan)。代理店側でも商談記録(保険見直し本舗)や社員専用の環境(エムエスティ保険サービス)の事例がある。数字はそのまま自社に当てはめない
- 健康情報を会社が認めていないAIに入れない。お客様に出す文書は、保険業法第294条・第294条の2・第300条と監督指針に照らして、募集人が原文と確かめる
- 0〜3か月は社内の記録の下書き、3〜6か月で比較推奨・説明文・自己点検へ、6か月〜で社内の知識と更改の流れをつなぐ。効果は数字で確かめる
まずは明日、直近の面談1件のメモから名前と健康情報を消し、プロンプト①で面談記録の下書きを作ってみてください。いつもの書き方でかかる時間と比べることが、自社に合う使い方を見つける一歩目になります。
よくある質問
小さな保険代理店でも、生成AIは使えますか?
使えます。大手のような専用の仕組みがなくても、面談記録や事故受付票の下書きなど、社内で使う短い記録から始められます。ただし、お客様の意向、商品の内容、保険料、支払いに関わることは、必ず募集人が元の資料と照らして確かめてから使ってください。
お客様の健康状態や病歴を、AIに入れても大丈夫ですか?
会社が認めていないAIサービスには入れないでください。健康や病歴などの保健医療の情報は、金融分野の個人情報のガイドラインで機微(センシティブ)情報とされ、原則として取得・利用・第三者提供しないこととされています。保険業の適切な運営のために本人の同意を得て必要な範囲で扱うことは例外として認められていますが、AIサービスに入れてよいかは別の問題です。使う場合も、所属保険会社の決まりと、入力した内容の扱いを確かめてからにします。
AIが作った説明文を、そのままお客様に送ってもよいですか?
送らないでください。AIは補償の範囲や支払われない場合を、それらしく間違えることがあります。契約概要・注意喚起情報・約款と照らし、言い切りや抜けがないかを募集人が確かめてから使います。法令で求められる説明は、保険会社の書面を使って行います。
比較推奨で、どの商品を勧めるかをAIに選ばせてもよいですか?
選ばせないでください。乗合の代理店が商品を絞り込んで勧めるときは、絞り込みや推奨の基準・理由を分かりやすく説明することが求められています。基準は募集人と代理店が決め、AIにはその基準にもとづいて比較表や文章を整えさせるまでにとどめます。
面談を録音して、AIで記録にしてもよいですか?
録音することをお客様に伝えて了解を得たうえで、会社が認めたサービスで文字起こしをするのが基本です。AIがまとめた意向は推測が混ざることがあるため、録音や元のメモと照らして確かめ、お客様の確認を経て確定させます。
社員のAI研修に、助成金は使えますか?
研修の内容や進め方によっては、国の人材開発支援助成金の対象になることがあります。対象は雇用保険の被保険者で、計画届は研修開始の1か月前までに出す必要があり、支給は審査で決まります(受給は保証されません)。日程を決める前に労働局か社会保険労務士に確かめてください。



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