中小企業のDXとは|デジタル化との違いと、20選の一覧
2026年版中小企業白書は、DXを「顧客の視点で新しい価値をつくるために、デジタル技術を使ってビジネスモデルや企業文化を変えること」という意味で使っています。紙の書類をタブレットに置き換えるのはデジタル化で、DXの入口です。同じ白書では、紙からデジタルツールへ移っている途中の「段階2」の事業者が約6割を占めています。
| デジタル化(入口) | DX(その先) | |
|---|---|---|
| 変えるもの | 紙・Excel・電話などの道具 | 業務の流れ、売り方、ビジネスモデル、社内の文化 |
| 事例 | 道環:紙の報告業務をiPadの入力に替え、1日3時間を削減 | 近藤商会:訪問の御用聞きをやめ、通販とインサイドセールスで全国47都道府県に顧客を広げた |
| 事例 | 池田組:測量をドローンに替え、2名で1日→30分の飛行1回に | 加藤工務店:受発注をWebで一元化し、プラントと工事会社をデータでつないだ |
| 成果の見え方 | 作業時間・紙の枚数が減る | 売上・利益・離職率・新しい事業が変わる |
経済産業省の「DXセレクション」は、中堅・中小企業等のDXの優良事例を選ぶ取組で、2022年から続いています。2026年は、グランプリ1者、準グランプリ2者、優良事例8者の計11者が選ばれました。20件のうち18件はDXセレクション2025・2026の選定企業、2件は2026年版中小企業白書の事例です。
| 事例 | 業種・従業員数・所在地 | 主な取り組み | 主な成果 |
|---|---|---|---|
| 1 三行合成樹脂 | プラスチック製品製造・113名・新潟県 | 工程の見える化と業務システムの一元化 | 重大クレーム16件→6件 |
| 2 樋口製作所 | 金属プレス・279名・岐阜県 | データの全社共有と現場出身の開発人材 | 年間8,100時間の労働時間削減 |
| 3 高瀬金型 | プラスチック部品製造・126名・愛知県 | 紙・Excelの情報を一元管理するシステムを内製 | 稼働率・納期遵守率が上昇、不良率が低下 |
| 4 ヒバラコーポレーション | 工業塗装・51名・茨城県 | 設備監視・生産管理を自社開発し外販 | 社内のシステムを複数社へ導入 |
| 5 旭光電機 | センサ等の製造・234名・兵庫県 | 自動搬送ロボットと設備停止の即時通知 | 巡回人員2人→0人、3期連続11%超の成長 |
| 6 後藤組 | 総合建設・130名・山形県 | 現場社員がノーコードでアプリを作る「全員DX」 | アプリ3,000件超、残業123時間→108.7時間 |
| 7 内藤建設 | 建築・土木・110名・岐阜県 | 社長直轄のDX推進チームと基幹システムの刷新 | 実行予算書の作成5時間→1時間 |
| 8 池田組 | 土木工事・33名・富山県 | ドローン測量とICT建機 | 測量2名で1日→30分の飛行1回 |
| 9 加藤工務店 | 土木・舗装・38名・愛知県 | 受発注アプリ「GOzai」 | 予約の約7割がアプリ経由 |
| 10 コマツ | 建設・内装・12名・大阪府 | 壁紙AI識別アプリ「かべぴた」 | 営業1名の時間を月約9時間削減(AIの成果) |
| 11 近藤商会 | 事務用品の販売・50名・北海道 | 訪問営業からインサイドセールスと通販へ | 売上70%増、受注・配送要員20人程→3〜4名 |
| 12 モリエン | 塗料販売・54名・兵庫県 | 取引先向けの注文アプリ | 伝票起票1枚5分→1分、誤発注0件 |
| 13 三城 | オフィス用品販売・47名・北海道 | 営業日報と顧客情報のデータ化と組織営業 | 移動工数を年約2,000時間削減 |
| 14 エヌエスケーケー | 携帯電話販売代理店等・61名・兵庫県 | 全部署に月1回、生成AIでの改善報告 | 請求書処理を月275分削減(DX全体の成果) |
| 15 カホク運送 | 貨物運送・40名・宮城県 | 管理会計とRPA・GPSでの日次決算 | 担当者の残業時間が5分の1 |
| 16 川六 | ホテル・68名・香川県 | 全従業員でRAG(社内資料を参照するAI)を開発 | 離職率13.9%→6.5%(DX全体の成果) |
| 17 ヤマナミ麺芸社 | 飲食店・食品製造・399名・大分県 | データの一元化と生成AIによる改善提案 | 改善数6,941件→10,353件 |
| 18 ヒューマングループ | 自動車教習所・観光・53名・長崎県 | クラウドの業務基盤と「一人一ボット」 | 会議時間75%削減(DX全体の成果) |
| 19 プーラビダ | 訪問看護・26名・福岡県 | 生成AIを使った内製の仕組み「ほぽたくん」 | 報告書の作成1時間→5分(AIの成果) |
| 20 道環 | 廃棄物処理・18名・北海道 | 紙の報告業務をiPadでデジタル化 | 報告業務を1日3時間削減 |
DXを進める順番は、目的を決める → 紙をデジタルに → 業務の流れを見直す → AI → 広げる、の5ステップです。中小企業のDXの進め方で解説しています。この記事は、事例の中身に絞ります。
【製造業】中小企業のDX事例5選
製造業の5社は、紙やExcelに分かれていた生産の情報を1か所に集め、リアルタイムで見える形にするところから成果を出しています。
事例1 三行合成樹脂|属人化した工程を分析し、重大クレームを16件→6件に
三行合成樹脂株式会社(プラスチック製品製造・従業員113名・資本金20百万円・新潟県見附市。DXセレクション2026準グランプリ)
- きっかけ:事業承継をきっかけに、持続可能な成長企業への変革を目指してDXを本格化した
- 取り組み:社長が最高責任者を務めるDX推進委員会を発足し、各部門から若手を中心に人を集めた。全社の業務システムを一元化し、属人化した工程を分析して、システムに合わせて業務を見直した。現場の帳票入力端末を自社で開発し、各製造工程の状況をリアルタイムで集めて分析できるようにした
- 成果(DX全体の成果):重大クレームは16件から6件に。有給取得率は2021年度比で2024年度に10.1%増。売上に占める新規事業の割合は9%から38%に。工程管理と品質保証の力が上がり、難しい領域で新規顧客を獲得して、一人あたり付加価値額も改善した
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 5ページ
事例2 樋口製作所|現場出身の「ブリッジエンジニア」が仕組みを作り、年8,100時間を削減
株式会社樋口製作所(金属プレス・従業員279名・資本金20百万円・岐阜県各務原市。DXセレクション2025優良事例)
- きっかけ:人材不足や原材料の高騰を抱える中で、「ものづくりを次世代へ継承する」ためにスマート工場を目指した
- 取り組み:現場出身の人がIT知識を身につけ、現場の困りごとをITで解く「ブリッジエンジニア」を育てた。生産設備やアプリのデータを社内のポータルに集め、各部署がリアルタイムで引き出せるようにした(ポータルのメニューは300を超える)。3D図面からプレス加工ができるかを判別する「Hawk AI」と、過去のデータから注意点を上司に代わって伝えるAI「Lai-ser」も開発。経営者は、未完成の段階でのシステムの現場投入を認め、現場の意見で直す開発を定着させた
- 成果(DX全体の成果):年間8,100時間の労働時間削減。一人当たり生産性は2.12百万円/日(2022年)から2.85百万円/日(2024年)に。客先監査の対応時間40%減、客先クレームの対応時間は半日から数分に。客先への流出不具合は3.59件/月(2019年)から0.79件/月(2024年)に
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」40〜41ページ
事例3 高瀬金型|二重三重の入力をなくすシステムを2年で内製し、不良率を下げる
株式会社高瀬金型(プラスチック部品の製造・生産用機械器具製造業・従業員126名・資本金1,000万円・愛知県稲沢市)
- きっかけ:10年で従業員が約2倍に増え、業務管理の体制が追いつかなくなった。紙やExcelでの管理と、部署の間で情報が分かれていることが課題だった
- 取り組み:営業部長が中心になってDX推進室をつくった。2023年初めに業務フローに沿って社内の情報を見える化した。受注・在庫は基幹システム、製造実績は複数のExcel、不良率は紙で管理され、二重三重の入力が見つかった。現場を熟知した社員を抜てきし、AIも使いながら独学で開発を覚えた。「午前中に出された改善要望を午後に実装する」速さで直し、2年で新システムを構築。不良率の高い製品が出ると管理者に自動で通知が届く
- 成果:設備稼働率と納期遵守率が上がり、不良率は大幅に下がり、労働生産性が上がった(白書に変化の数字の記載はない)。システムの年間の運用費は人件費2人分に相当するが、2人を雇ってもこの効果には及ばないという
- 出典:中小企業庁「2026年版中小企業白書」事例2-2-15
事例4 ヒバラコーポレーション|自社工場で使って磨いたシステムを、他社に売る事業に
株式会社ヒバラコーポレーション(工業塗装・従業員51名・資本金30百万円・茨城県東海村。DXセレクション2025準グランプリ)
- 方針:社内の業務をよくする「社内DX」と、そのノウハウを売る「DX事業」の両方で進めた
- 取り組み:生産管理・設備監視のシステムと、塗料の最適な配合を指示する「配合条件アドバイザー」を自社で開発。AIの画像処理とロボットを組み合わせた混流ラインの自動塗装と、塗装面の自動検査にも取り組んだ。ロボット塗装は試験運用を繰り返し、現場の声を反映して稼働にこぎつけた
- 成果:設備異常の早期発見、稼働率と品質の向上、廃棄塗料の削減。生産管理・設備監視のシステムを外販し、複数社に導入した。AIを使った派生システムの引き合いも増えている(社内の効果の数字の記載はない)
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」24〜25ページ
事例5 旭光電機|社長と各部門の「DXサークル」で、巡回人員を2人→0人に
旭光電機株式会社(自動ドア用センサ等の製造・従業員234名・資本金85百万円・兵庫県神戸市。DXセレクション2026優良事例)
- きっかけ:コロナ禍で売上が急に落ちたことを機に、攻めと守りのDXを本格化した
- 取り組み:経営層が方向性と投資の枠を示したうえで、社長と各部門のメンバーが参加する「DXサークル」を置き、テーマ選びから決裁までをそこで行う。守りでは、工場に自動搬送ロボットを入れ、設備停止をすぐ知らせるシステムを自社で開発。攻めでは、生成AIで状況を理解する次世代のエントランス監視システムの社会実験をしている(2027年の製品化が目標)
- 成果:自動搬送ロボットの導入で移動の工数を年約1,000時間削減(ロボットの成果)。設備停止の即時通知システムで巡回の人員は2人から0人に(通知システムの成果)。売上高は55.0億円(2023年度)、62.5億円(2024年度)、69.6億円(2025年度)と3期連続で11%超の成長(DX全体の成果)
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 11ページ
【建設業】中小企業のDX事例5選
建設業の5社は、現場の書類・測量・受発注をデジタルにし、協力業者や取引先まで巻き込んでいます。12名の会社から130名の会社まで並びます。
事例6 後藤組|現場社員がアプリを作る「全員DX」で、アプリ3,000件超
株式会社後藤組(総合建設業・従業員130名・資本金96百万円・山形県米沢市。DXセレクション2025グランプリ)
- 方針:地方の建設業として、デジタル化による業務の効率化と標準化を進める。取締役会をトップに、現場から経営層までが参加する「全員DX」
- 取り組み:専任のDXチームが技術面で支え、現場社員がkintoneなどのノーコードツールで業務アプリを作る。毎日の危険予知活動や建設現場の安全書類をアプリにし、協力業者との契約・発注・請求も電子化。社内の資格制度をつくり、2024年時点でアソシエイト77%、スペシャリスト34%が取得。高齢の人も多い協力業者には、現場ごとにIT説明会を開いた
- 成果(DX全体の成果):作られたアプリは3,000件超。一人当たりの残業時間は2021年の123時間から2024年に108.7時間へ。協力業者の事務の負担が減り、印紙代も減った。2024年の新卒者の3年後の定着率は83.3%に上がった
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」20〜21ページ
事例7 内藤建設|社長直轄のチームで事務を見直し、実行予算書を5時間→1時間に
内藤建設株式会社(建築・土木工事・従業員110名・資本金99百万円・岐阜県岐阜市。DXセレクション2025優良事例)
- 課題:労働人口の減少や高齢化が進む中で、少ない人数で高い生産性を出し、社員一人あたりの利益を上げること
- 取り組み:2022年1月に社長直轄のDX推進チームを新設し、各部門から人を集めた。古いシステムをやめてクラウドの製品を組み合わせ、基幹システム「SHINES」で取引先とも情報を共有して、取引先を含めたペーパーレス化を進めた。各事業部から選んだ「DX/早帰りチーム」が現場の課題と改善案を集め、社内DX大会と表彰制度も置いた
- 成果(DX全体の成果):2020年を100%とすると、2024年は売上124%、営業利益308%。人時生産性は5,740円から7,922円に。平均残業時間は240Hから120Hに(50%削減)。業務の改善では、受注工事の実行予算書の作成が1案件5時間から1時間に、請求書・出来高査定・仕訳入力は3日間から1日間に、支払通知書は月3時間から月5分に。発注のペーパーレス化で、年24万円かかっていた費用が0円に(印紙代の削減を含む)
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」42〜43ページ
事例8 池田組|ドローン測量とICT建機で、2名で1日の測量を30分に
株式会社池田組(土木工事業・従業員33名・資本金22百万円・富山県南砺市。DXセレクション2025優良事例)
- 課題:人手不足が目立つ建設業界で、現場の施工体制の維持と、職人の技術に頼る体質を変えること。大手ゼネコンとの間のIT格差
- 取り組み:測量にドローンを入れ、測ったデータを変換してICT建機に流し込み、職人の技術に頼らない施工にした。地域の協力業者にも情報共有とIT導入を指導し、現場書類をペーパーレス化。紙の資料をデータにして、帳票作成・作業記録・人工の積算・受発注を現場のデータとつないだ
- 成果:測量は、作業員2名が1日かけていたものが30分のドローン飛行1回に。i-construction(国のICT施工)を導入する現場数を2026年期までに6件にするKPI(毎年2件)を、今期は2件で達成。浮いた時間を現場の打合せや顧客との対話に回し、大手ゼネコンからの引き合いと、新卒・中途の応募が増えている
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」38〜39ページ
事例9 加藤工務店|効果の出やすいDXから始め、受発注アプリで予約の約7割をWebに
株式会社加藤工務店(土木一式・舗装工事、アスファルト合材の製造・販売・従業員38名・資本金20百万円・愛知県瀬戸市。DXセレクション2026優良事例)
- きっかけ:公共土木インフラの担い手不足や、資源を循環させるインフラを続けられるかという地域の課題
- 取り組み:ICTを使った工事や業務のクラウド化など、効果の出やすいDXから始め、小さな成功を重ねてアスファルト合材の受発注アプリの開発へ進んだ。AIやロボットで、ストックヤードの受付・記録管理や重機の遠隔操作の研究開発もしている。国土交通省のSBIR制度への採択をきっかけに、スタートアップ・大学・行政との共創の体制もつくった
- 成果:受発注をWebで一元化する「GOzai」で、出荷トンベースで予約の約7割がアプリ経由に(受発注アプリの成果)。ICT活用工事やクラウド化で、多様な人材が働ける環境になり、地域のインフラの担い手確保につながっている
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 8ページ
事例10 コマツ(東大阪市)|壁紙AI識別アプリで、営業1名の時間を月約9時間削減
コマツ株式会社(建設・内装業・従業員12名・資本金10百万円・大阪府東大阪市。DXセレクション2026優良事例。建設機械メーカーとは別の会社)
- 課題:壁紙の品番を見分けるのに1商品あたり平均1〜3時間かかり、目で確かめるために現地へ行く移動の時間と費用も大きかった
- 取り組み:同志社大学との産学連携で、職人の勘や判断をデジタルで形にした壁紙AI識別アプリ「かべぴた」を開発(識別精度90%以上)。受発注システムで業界の慣習の見直しにも取り組む
- 成果:「かべぴた」で、営業職1名あたりの月平均の時間(移動込み)を約9時間、移動距離を138km削減(AIアプリの成果)。年間休日は2020年の100日から2025年に127日、完全週休2日制に。かべぴたの会員数は37,000人以上で、資材メーカーや大学、行政からの相談も増えた
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 10ページ
【卸売・小売・運送業】中小企業のDX事例5選
卸売・小売・運送の5社は、注文・営業・配車のデータを集め、売り方や取引先の選び方まで変えています。
事例11 近藤商会|訪問営業から通販へ。全国に顧客を広げ、売上70%増
株式会社近藤商会(事務用品・事務機器の法人向け販売・従業員50名・資本金20百万円・北海道函館市。DXセレクション2025準グランプリ)
- きっかけ:少子高齢化と地方の市場の縮小。地縁・血縁に頼った訪問の御用聞きと、担当地域ごとの人海戦術の営業だった
- 取り組み:2007年から、インサイドセールスを中心にした営業に変え、通販サービスで全国を市場にした。グループウェア、クラウド、テレワーク、ペーパーレス、Webマーケティングも入れた。変革の当初はベテラン社員の退職と顧客離れで関連の売上が半減し、2014年にほぼ元の水準に戻した
- 成果:売上は70%増え、47都道府県すべてで顧客を獲得。ピーク時に8,600万円あった在庫はほぼゼロに、20人ほどいた受注・配送の要員は3〜4名に。道外の販売比率は7.7%(2020年)から19.2%(2024年)に。2024年7〜11月の新規顧客は8,786件(20%増)。コピー用紙は年5万枚から2千枚に
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」22〜23ページ
事例12 モリエン|取引先向けの注文アプリで、電話の誤発注を月2〜3件→0件に
株式会社モリエン(塗料の販売・従業員54名・資本金10百万円・兵庫県神戸市。DXセレクション2025優良事例)
- 課題:塗料は色の数と商品の点数が多く、注文が複雑。電話の注文では色番号の聞き間違いが起きていた
- 取り組み:2000年から販売データをデジタル化して蓄えてきた。そのデータで、社外でも販売実績の確認や受注処理ができる社員向けアプリ「モリエンナビ」を開発。取引先が24時間365日、購入履歴の確認や発注ができる「Morienペイントアシスト」も開発した。BIツールで全社員がデータを見られるようにし、ITパスポートの取得を支援。毎月の上司との面談に、ITやAIを使っているかの評価項目を入れた
- 成果:社員の伝票の起票時間は1枚5分から1分に。聞き間違いによる色番号の誤発注は月2〜3件から0件に。アプリを使う取引先は10社以下から140社に広がり、アプリ経由の注文は66件から180件に(それぞれ1年間)
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」46〜47ページ
事例13 三城|営業日報と顧客情報をデータにし、部署をまたいだ組織営業へ
株式会社三城(オフィス用品の販売等・従業員47名・資本金30百万円・北海道札幌市。DXセレクション2026優良事例)
- きっかけ:事業承継をきっかけに、社内の情報のデータ化が遅れていることに気づいた
- 取り組み:社長が責任者となり、DXを経営戦略に位置づけた。営業日報や顧客情報をデータにし、営業の進み具合を見える化・共有して、他部署の知見を使う組織営業(チームセリング)を進めた。業務フローの自動化や、AIで取引履歴などの過去データを分析して営業の質を上げる取り組みもしている。自社のノウハウでDX支援事業も始めた
- 成果:業務の自動化で、関係部署の人員は7人から5人に、移動の工数は年約2,000時間削減。経済産業省のレポートでは見出しが「PRAの導入による業務効率化」(原文の表記のまま)。三城自身の発表資料(48ページ)では「RPAの導入」で、7名→5名(別業務へ)、稼働ロボ数約40体、業務削減時間約2,000時間/年としている。組織営業の連携による売上総利益は0.2百万円から4百万円に、SaaSソリューション事業と他の商材の売上総利益は479百万円から589百万円に
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 7ページ、同 プレゼンテーション資料 48ページ(株式会社三城)
事例14 エヌエスケーケー|全部署に月1回の改善報告を求め、売上高は2023→2025年度で16.8億円→20.6億円
株式会社エヌエスケーケー(携帯電話販売代理店等・従業員61名・資本金10百万円・兵庫県神戸市。DXセレクション2026優良事例)
- きっかけ:既存のビジネスの変革と、新しいビジネスモデルの創出
- 取り組み:社長直轄の「DX推進プロジェクトチーム」を置き、全社員が生成AIを使える環境を整えた。社内勉強会(DXスクール)で、月に一回、全部署に生成AIを使った改善成果の報告を義務付け、成功例と使い方を全社で共有。DXのノウハウを、他社のDXを伴走支援するサービスにした
- 成果(DX全体の成果。生成AIだけの効果とは書かれていない):請求書処理を月275分、営業提案書の作成と引継ぎを月300分削減。売上高は16.8億円(2023年度)、18.4億円(2024年度)、20.6億円(2025年度)。社内のノウハウを他社に見せる会社見学会は、2025年度に100名・約440万円
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 12ページ
事例15 カホク運送|管理会計とRPAで日次決算にし、担当者の残業時間を5分の1に
カホク運送株式会社(道路貨物運送業・従業員40名・資本金1,000万円・宮城県仙台市)
- きっかけ:東日本大震災で本社屋が全壊し、財務が悪化。得意先別やトラック1台当たりの利益率がわからず、事業を評価できなかった
- 取り組み:2013年から中小企業基盤整備機構のハンズオン支援を受けて管理会計を導入。ばらばらだった配車・運行・販売のデータを整理し、得意先別・輸送ルート別の売上高や限界利益、付加価値額を出した。Excelへの手入力で負担と誤入力が増えたため、業務管理ソフトに移し、データの取り込みと集計をRPAで自動化。トラックのGPSも連携した
- 成果:担当従業員の残業時間が5分の1に。日次決算ができるようになり、社長は「日次なら年200回以上勝負できる」と話す。データをもとに、2019年に売上の約3割を占めた事業から撤退し、150社あった得意先を30社程度に絞った。燃料費の高騰時は原価率のデータを持って価格交渉し、2019年頃から毎年3〜4%の賃上げを続けている
- 出典:中小企業庁「2026年版中小企業白書」事例2-2-8
【宿泊・飲食・サービス業】中小企業のDX事例3選
宿泊・飲食・サービスの3社は、パートを含む全員がデジタルを使う形にし、生まれた時間を接客や新しい事業に回しています。
事例16 川六|60代やパートを含む全従業員がAIをつくり、離職率を13.9%→6.5%に
株式会社川六(宿泊特化型ホテル・従業員68名・資本金50百万円・香川県高松市。DXセレクション2026優良事例)
- きっかけ:デジタルを使った競争力づくりを目的に、DXを本格化した
- 取り組み:毎週、全店舗でRAG(社内の資料を参照して答えるAI)の活用検討会議を開く。一部のIT人材だけでなく、60代の社員やパートを含む全従業員がRAGを開発。ベテランの経験をAIで形にして、実務の負担を軽くした。経理業務の自動化や生成AIの使い方を「川六モデル」にまとめ、M&Aで取得した経営不振の地方ホテルに導入した
- 成果(DX全体の成果):一人当たりの月平均残業時間は6時間49分(2023年)から3時間54分(2025年)に、離職率は13.9%から6.5%に。2023年から2025年で、RevPAR(客室単価×稼働率)は25.1%増、人時生産性は44.0%増。取得したホテルは3か月で黒字化
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 13ページ
事例17 ヤマナミ麺芸社|店舗と工場のデータを1か所に集め、改善の数を6,941件→10,353件に
株式会社ヤマナミ麺芸社(飲食店経営・食品製造・従業員399名・資本金10百万円・大分県大分市。DXセレクション2026優良事例)
- きっかけ:組織が大きくなるにつれ、ノウハウの継承や仕組み化の遅れに気づいた
- 取り組み:DXを付加価値づくりの投資と位置づけ、勘や経験に頼らない経営の土台づくりを進めた。顧客の声、店舗運営のデータ、製造のデータをGoogle Workspaceに一元化し、集めたデータをもとに生成AIが課題の抽出から改善の提案までを行う。職人のノウハウを形にし、誰でも高い成果を出せる仕組みにした
- 成果(DX全体の成果。生成AIだけの効果とは書かれていない):仮説検証の数(改善数)は6,941件(2023年度)から10,353件(2024年度)に。製造工場の可動率は47.0%から63.0%に。人時生産性(粗利額÷総労働時間)は3,678円(2019年度)から4,814円(2024年度)に。生まれた時間を顧客体験の向上に回し、22年連続の増収
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 14ページ
事例18 ヒューマングループ|30年使ったシステムを捨て、社内システムを外販する事業まで
株式会社ヒューマングループ(自動車教習所・観光事業・従業員53名・資本金23百万円・長崎県佐世保市。DXセレクション2026準グランプリ)
- きっかけ:コロナ禍で既存の事業が止まった
- 取り組み:経営者が率先してIT資格やAI開発のスキルを身につけた。30年使っていたシステムから、クラウドの統合業務プラットフォームに全面移行し、チャットに業務を集めた。ノーコードでのアプリ開発も進め、全社員に自身の資質データを学習したAIアシスタントを置く「一人一ボット体制」をつくった。自社用に作った社内システムを外販するDX支援事業も始めた
- 成果(DX全体の成果。AIだけによる数字は示されていない):会議時間を75%削減、社内電話を90%削減、決済のリードタイムは1.5日から3時間に、離職率は12%から3%に。DX支援事業は、導入15社・売上2,000万円(2025年〜2026年現在)
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 6ページ
【医療・福祉、廃棄物処理業】中小企業のDX事例2選
従業員26名と18名の2社です。どちらも、毎日の報告書を作る時間を減らすところから始めています。
事例19 プーラビダ|報告書の作成を1時間→5分にし、離職率83.3%から立て直す
プーラビダ株式会社(訪問看護ステーションの運営・従業員26名・資本金0.5百万円・福岡県北九州市。DXセレクション2026グランプリ)
- きっかけ:離職率が83.3%と高かった。看護師の最大の負担は報告書の作成だった
- 取り組み:デジタルツールでの徹底した効率化と、高い定着率を目的にした経営ビジョンをつくった。トップダウンの意思決定と現場からの提案を合わせた「全員参加型DX体制」を整えた。生成AIを使った内製の仕組み「ほぽたくん」を中心に、データを経営判断と現場の支援に使う
- 成果:「ほぽたくん」で報告書の作成は90%削減(1時間→5分)、報告書の郵送手配は97%削減(2時間→3分)。資料はどちらも「ほぽたくん」の成果として示し、報告書の作成はAIの支援で時間を減らしたと書いている。離職率の低下(83.3%→7.7%)と利益率10%超の黒字化は、DX全体の成果として示されたもの
- 出典:経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート 4ページ
事例20 道環|18名の会社が紙の報告業務をiPadにし、1日3時間を削減
有限会社道環(一般・産業廃棄物の収集運搬と処分・従業員18名・資本金3百万円・北海道網走市。DXセレクション2025優良事例)
- 課題:紙で行っていた報告業務で、毎日の集計や、紙を探し回る時間がかかっていた
- 取り組み:紙の報告業務を洗い出し、iPadでの入力・集計を始めた。帳票ごとに必要な項目をリストにし、パッケージソフトの手直しと自社での構築を比べ、紙と同じ流れで入力できる形にした。社員を初めてDX推進リーダーに起用。社員に広げるのにいちばん苦労したが、勉強会で代表者自らが「なぜデジタル化するのか」を話して協力を得た。緊急時用に紙の伝票も残している
- 成果:紙の報告業務の時間を1日3時間削減。8つの帳票のうち3つの完全デジタル化が終わり、全8帳票を目指している。1人当たりの残業時間(約5時間)を2025年に3.5時間にする目標を立てた。半年ごとに情報セキュリティの勉強会を開き、DXマークも取得した
- 出典:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」28〜29ページ
20社の事例に見る、中小企業のDXを成功させる3つのポイント
ポイント1. 社長が旗を振り、各部門から推進役を集める
20社の多くは、社長が責任者になり、各部門から人を集めた場をつくっています。三行合成樹脂は社長が最高責任者のDX推進委員会に各部門の若手を集め、旭光電機は社長と各部門の「DXサークル」でテーマ選びから決裁までを行います。内藤建設は2022年1月に社長直轄のDX推進チームを新設し、エヌエスケーケーは社長直轄のプロジェクトチームを置きました。経済産業省の手引き2025も、成功のポイントの1つ目に「経営者がリーダーシップを取ってDXを推進する」を挙げています。
ポイント2. 紙・Excelの身近な1業務から始め、数字で測る
道環は8つの帳票のうち3つから、加藤工務店は効果の出やすいICT工事とクラウド化から始めました。高瀬金型は業務フローに沿って情報を見える化し、二重三重の入力を見つけるところから入っています。樋口製作所は各部署で細かくKPIを置き、効果を積み上げました。手引き2025も、手書きの紙の台帳のデジタル化など「身近なところ」から始め、成功体験を重ねる進め方が多いとしています。
明日できる最初の1歩:上の一覧表から、自社と同じ業種の1社を選びます。その会社が手をつけた業務(紙の報告書、受発注、営業日報、請求書など)と同じ業務を自社で1つ決め、次の表を1週間つけてください。事例の会社の「前→後」と並べると、自社でどこまで減らせそうかの見当がつきます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 業務の名前 | 収集運搬の日報(紙) |
| 1週間の件数 | 35枚 |
| 1件にかかる時間 | 記入5分+事務所での集計・転記8分 |
| 書き写している先 | Excelの月次集計、取引先への報告書 |
| 探す・待つ時間 | 過去の日報を探すのに1日約20分 |
| 参考にする事例 | 道環(紙の報告業務をiPadにして1日3時間削減) |
ポイント3. 現場の人がつくり、現場の声ですぐ直す
後藤組は現場社員がノーコードでアプリを作り、その数は3,000件を超えました。樋口製作所は現場出身の「ブリッジエンジニア」を育て、高瀬金型は現場を熟知した社員を抜てきしました。川六は60代の社員やパートも含めて全員でRAGを開発しています。外の力も使っています。カホク運送は中小機構のハンズオン支援、コマツは大学との産学連携、樋口製作所や後藤組は社内の資格・評価制度で、人を育てながら進めています。
| 手引きのポイント | この記事の事例 |
|---|---|
| 1. 経営者がリーダーシップを取ってDXを推進する | 三行合成樹脂、旭光電機、内藤建設、ヒューマングループ(経営者が自らAI開発スキルを習得) |
| 2. 中長期的な視点を持って取り組む | 近藤商会(2007年の変革から売上半減を経て拡大)、高瀬金型(2040年に売上高100億円を視野) |
| 3. まずは身近なところから始め、成功体験を重ねる | 道環、加藤工務店、モリエン(2000年から販売データを蓄積) |
| 4. データを分析・活用し、新たな価値を創出する | カホク運送(日次決算)、ヤマナミ麺芸社(生成AIによる改善提案)、三城(組織営業) |
| 5. DX推進過程の中で人材を育成する | 後藤組(社内資格)、樋口製作所(ブリッジエンジニア)、川六(全員でRAG開発) |
| 6. 継続的に変革を続け、DXの取組を拡大する | ヒバラコーポレーション・ヒューマングループ・エヌエスケーケー(社内のDXを外販や支援事業へ) |
| 7. 支援機関等による伴走支援を活用する | カホク運送(中小機構のハンズオン支援)、コマツ(同志社大学との産学連携) |
中小企業のDXで失敗しないための3つの注意点
注意点1. 目的があいまいなまま、ツールから入らない
手引き2025は、目指す姿から逆算しないと、デジタル技術を入れること自体が目的になりかねないと注意しています。「AIを使って何か新しいことができないか」という発想に陥ることもある、としています。カホク運送は「得意先別・トラック1台当たりの利益率がわからない」、プーラビダは「離職率83.3%」と、解きたい問題をはっきりさせてからシステムを入れました。対策:ツールを選ぶ前に、「どの数字を、いつまでに、どこまで変えるか」を1行で書きます。
注意点2. 現場の意見を聞かずに、上から押しつけない
道環は、社員にシステムを広げるのにいちばん苦労し、代表者自らが勉強会で理由を説明して協力を得ました。後藤組は、高齢の人も多い協力業者に現場ごとのIT説明会を開いています。高瀬金型は、今の仕事がどれだけ楽になるかを現場に丁寧に説明し、ヒバラコーポレーションはロボット塗装の試験を現場の声で何度も直しました。対策:最初の業務を選ぶときに、その業務をしている社員に「いちばん面倒な手順」を聞き、そこから直します。
注意点3. セキュリティ対策を後回しにしない
手引き2025は、DXを進める前提としてサイバーセキュリティ対策が重要で、経営者が自ら進める必要があるとしています。道環は個人情報保護と情報セキュリティの勉強会を半年ごとに開き、DXマークを取得しました。モリエンは外部の支援を受けてプライバシーマークに取り組んでいます。データを1か所に集めるほど、漏れたときの影響は大きくなります。対策:データを集める前に、誰がどのデータを見られるかと、社外のAIに入れてはいけない情報を決めます。生成AIの決まりの作り方は生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。
シス学の場合|事例の仕事を「作業・確認・判断」に分けて進めます
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。カホク運送が日次決算で得意先別の利益を毎日見られるようにしたように、DXの事例の多くは「数字を集める作業」を仕組みにし、人を判断に集中させています。シス学では、この形を「作業・確認・判断」の3つに分けて決めます。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 中身 |
|---|---|---|
| AI | 作業 | 受注・配車・販売のデータを集計し、得意先別・商品別の売上と粗利の表と、前日より大きく動いた所の一覧を下書きする |
| 社員 | 確認 | 元のデータと数字が合っているかを確かめ、大きく動いた理由を現場に聞いて書き添える。例外は社長に上げる |
| 社長 | 判断 | 値上げの交渉、力を入れる取引先と手を引く取引先、次の投資を決める |
削れた集計の時間と、値上げや取引先の見直しで伸びた粗利を、人件費と粗利の数字で確かめるところまでを1つの仕組みにします。シス学のAIコンサルティングでは、どの業務から始めるかを決めるところから、社員の研修、AIエージェントによる仕組みづくりまでを一緒に進めます。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。まずは30分の無料相談からご相談ください。
まとめ|中小企業のDX事例を参考に、自社の最初の1業務を決めよう
- 公的資料で確かめた中小企業のDX事例20件は、従業員12名から399名まで。紙の報告書・受発注・営業日報・生産の情報など、身近な1つの業務から始めている
- 成果は作業時間(樋口製作所 年8,100時間、道環 1日3時間)と品質(三行合成樹脂 重大クレーム16件→6件)に出ている。売上(近藤商会 70%増)と人(川六 離職率13.9%→6.5%)にも表れている
- 成功のポイントは、社長が旗を振って各部門から推進役を集めること、身近な1業務を数字で測ること、現場の人がつくって現場の声で直すこと
- 注意点は、目的のないツール導入、現場への押しつけ、セキュリティの後回し
まずは一覧表から自社と同じ業種の1社を選び、同じ業務の件数と時間を1週間記録してみてください。その数字が、どこから手をつけるかを決める材料になります。進める順番は中小企業のDXの進め方、AIを使った事例は中小企業の生成AI活用事例、使える補助金はAI導入に使える補助金にまとめています。
よくある質問
中小企業のDX事例は、どこで探せますか?
経済産業省の「DXセレクション」の選定企業レポートと、「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き」に、規模・取り組み・成果がそろった事例が載っています。DXセレクションは2022年から続き、2026年はグランプリ1者、準グランプリ2者、優良事例8者の計11者が選ばれました。中小企業白書の事例も、業種・従業員数・資本金つきで読めます。
従業員が少ない会社でも、DXはできますか?
できます。この記事には、従業員12名のコマツ(壁紙AI識別アプリ)と18名の道環(紙の報告業務のiPad化で1日3時間削減)の事例があります。26名のプーラビダ(報告書の作成1時間→5分)、33名の池田組(ドローン測量)も載せています。どの会社も、1つの業務から始めています。
DXとデジタル化(IT化)は、何が違いますか?
2026年版中小企業白書は、DXを、顧客の視点で新しい価値をつくるために、デジタル技術でビジネスモデルや企業文化を変えることとして使っています。紙をタブレットに替えるのはデジタル化で、DXの入口です。近藤商会のように、訪問営業から通販に売り方を変え、全国に顧客を広げるところまで進むとDXと呼べます。
DXの成果が出るまで、どのくらいかかりますか?
事例では、高瀬金型が取り組みの開始から2年で新しいシステムを構築しました。近藤商会は2007年に営業を変えた当初、関連の売上が半減し、2014年にほぼ元の水準に戻してから拡大しています。経済産業省の手引きも、DXは一度行えば終わるものではなく、中長期の目線で変革を続けることが必要だとしています。
DXに使える補助金や支援はありますか?
2026年版中小企業白書では、生産性向上の投資の支援策として「デジタル化・AI導入補助金」と「省力化投資補助金」が紹介されています。カホク運送は中小企業基盤整備機構のハンズオン支援を受けて管理会計を導入しました。補助金は審査で決まり、公募の回や条件があるため、契約の前に確かめてください。詳しくは[AI導入に使える補助金](/column/ai-donyu-hojokin)で解説しています。


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