人材紹介が直面する構造的課題と生成AIの可能性
数字で見る人材紹介の今:求人と求職は4割増、就職は5%増
職業安定法は、職業紹介事業者に年度ごとの報告書を出すよう定めています。厚生労働省がその報告書を集計した令和6年度の結果(速報、2026年3月31日公表)では、次のように示されています。
| 項目 | 数字(令和6年度) | 前年度比 |
|---|---|---|
| 事業報告を出した有料職業紹介事業所 | 30,561事業所。そのうち就職の実績があったのは13,946事業所 | ― |
| 常用求人数(有料職業紹介) | 16,810,164人 | 41.8%増 |
| 新規求職申込件数(有料職業紹介) | 55,250,115件(臨時日雇の希望者を含む) | 43.1%増 |
| 常用就職件数(有料職業紹介) | 888,993件 | 5.3%増 |
| 手数料収入(民営の職業紹介事業所) | 約9,835億円 | 17.6%増 |
| 常用就職1件あたりの手数料 | 約103万円 | 10.9%増 |
求人数と求職の申込みは、複数の紹介会社を使う人がいるため重複して数えられています。そのまま割り算はできませんが、受け付ける求人と求職が4割増えたのに、就職は5.3%しか増えていないことは読み取れます。扱う情報の量が、成約の数よりずっと速く増えているということです。一方で、就職1件の手数料は約103万円で、前年度より10.9%上がりました。書類の事務に追われて推薦が1件遅れると、それだけ大きな売上が先に延びます。
求人倍率で見る紹介の難しさ:求職者の多い仕事と、求人の多い仕事がずれている
厚生労働省がハローワークの状況をまとめた「一般職業紹介状況」の2026年8月分(2026年10月2日公表)を見ます。有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍、新規求人倍率は2.06倍、正社員有効求人倍率は1.00倍でした。職業別に見ると、差がはっきり出ます。
| 職業 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 一般事務従事者 | 0.29倍 |
| 職業計 | 1.06倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.33倍 |
| 介護サービス職業従事者 | 3.89倍 |
| 建築・土木・測量技術者 | 5.71倍 |
| 建設躯体工事従事者 | 8.25倍 |
ハローワークでは、一般事務の仕事を探す人1人に対して求人は0.29件、建築・土木・測量の技術者では5.71件です。求職者が希望する仕事と、求人が多い仕事がずれています。紹介会社の価値は、このずれを埋める提案にあります。求職者の経験を別の仕事の言葉に置き換えて、企業に伝えることです。生成AIは、その「置き換え」の下書きや、提案の前後の書類づくりを手伝えます。
AIの活用はまだこれから:中小企業で「取り組んだ」は約3割
中小企業庁が2026年版中小企業白書の概要として示した資料(調査は帝国データバンク)を見ます。2019年以降の省力化の投資で、AIの活用に「取り組んだ」と答えた中小企業は30.3%(n=5,645)でした。取り組んでいない理由の上位は、「活用する業務がイメージできていない」63.4%、「活用を推進する人材が不足している」40.0%です。3位は「社内ルール・ガイドラインが整備されていない」26.2%でした(n=3,888、複数回答)。
紹介先の大企業では、採用にAIを使う動きが先に進んでいます。経団連は2026年4月14日、「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」を出しました。その中の2025年の調査(n=75社、うち従業員5,000人以上が47社)では、人事部門でAIを使う分野は「採用」の25社が最多です。採用での中身は「応募者スクリーニング(エントリーシート・動画解析等)」15社、「面接サポート」13社が多くなっています。紹介会社が送る書類も、企業の側でAIに読まれ始めているということです。
人材紹介ならではの3つの壁:なぜ使い始めにくいのか
- 扱う情報のほとんどが個人情報:履歴書、職務経歴書、面談で聞いた転職の理由。職業安定法と国の指針で、集め方・使い方・集めてはいけない情報まで決まっている
- 書き方に法律の決まりがある:求人の情報は虚偽や誤解を生じさせる表示が禁じられ、労働条件の明示の項目も決まっている。AIが「盛った」文章をそのまま出せない
- 成約を決めるのは人の見立て:どの求人を勧めるか、推薦するかは、面談で聞いた事実と担当者の見立てで決まる。AIに判断を任せると、公正な選考の考え方とぶつかる
だからこそ、人材紹介の生成AIは「判断する道具」ではなく、「事実だけを整える下書き係」として使うと始めやすくなります。面談の会話を記録の形にする、経歴と求人の要件を並べて推薦文のたたき台を作る、といった仕事です。
人材紹介における生成AIユースケース全体像
生成AIは、文章を読む・まとめる・書き直す仕事が得意です。人材紹介の仕事を、求職者側(キャリアアドバイザー、CA)と企業側(リクルーティングアドバイザー、RA)の場面に分けると、使いどころは次のようになります。
| 場面 | AIに任せる作業の例 | 人が必ず確かめること |
|---|---|---|
| 求職者との面談 | 面談の文字起こしを面談記録に整える、希望条件と譲れない条件の整理、次回までの宿題の書き出し | 本人の言葉どおりか。集めてはいけない話題が記録に入っていないか |
| 応募書類 | 聞き取りから職務経歴書の素案を作る、応募先ごとに自己PRを調整する | 本人に読んでもらい、事実でない経験や数字がないか |
| 推薦 | 求人の要件と経歴の対応表、推薦文の下書き | 誇張がないか。要件との差を隠していないか |
| 求人の受付 | 企業へのヒアリングメモから求人票の下書き、明示すべき労働条件の抜けの洗い出し | 条件が企業の書面どおりか。年齢・性別を限る表現がないか |
| 求職者への求人紹介 | 希望条件に合う理由を添えた紹介メール、スカウト文の下書き | 求人票にない魅力を書き足していないか |
| 選考の調整 | 面接日程の連絡文、企業の評価メモを求職者向けに言い換える | 企業が「伝えないでほしい」とした内容が入っていないか |
| 入社後のフォロー | 入社後の面談記録の整理、相談内容の分類 | 退職の相談など重い話は、担当者が直接受ける |
確定した求人情報を、求人サイトや管理画面の形式に合わせて登録・更新する事務は、件数が多いほど人の時間を取ります。この仕事の進め方は、求人登録・更新の自動化支援のページでご紹介しています。
AIエージェントにすると何が変わるか
AIエージェントは、決まった手順に沿って、いくつかの作業をつないで進める仕組みです。1つずつAIに頼む使い方から、次のような流れにすると、担当者は「確認と判断」に時間を使えます。
- 本人の同意を得て録音した面談を、文字にする
- 面談記録の形に整え、集めてはいけない話題を記録から外す
- 希望条件に合う求人の候補を、社内の求人一覧から挙げる
- 候補ごとに、要件と経歴の対応表と推薦文の下書きを作る
- 担当者に「確認待ち」として届ける。人が確かめるまで、企業にも求職者にも出さない
国内人材紹介の生成AI活用事例
ここでは、各社が公式に発表した内容と、業界団体が公表した事例だけを紹介します。数字は発表に書かれたとおりです。
パーソルキャリア(doda)|職務経歴書づくり2時間→30分、求人票の公開まで平均0.85日短縮
パーソルグループは2024年11月13日、転職サービス「doda」で、職務経歴書の作り方を変えたと発表しました。以前は転職希望者が雛形を見て自分で書いていました。それを、キャリアアドバイザーが聞き取った内容から生成AIで素案を作り、本人とすり合わせて仕上げる形に変えました。作成にかかる時間は2時間から30分に減ったとしています。キャリアプランの提案にも生成AIを使い、面接に進む転職希望者が約3割増えたとしています(担当チームの2024年4月と8月の人数の比較)。
パーソルキャリアは2026年5月22日、企業担当(RA)向けの社内ツール「求人票自動作成アプリ」も発表しました。企業の採用管理システムから情報を集め、同じ条件で公開済みの求人も参照して、生成AIとルールを組み合わせて求人票を作ります。公開の前に、RAが最終確認し、担当部署がdodaの掲載基準と、男女雇用機会均等法・職業安定法などに沿っているかを確かめます。このアプリを使った新規取引企業の求人では、公開までの期間が平均0.85日短くなる傾向が確認されたとしています。
ビズリーチ|GPTのレジュメ自動作成で、受け取るスカウトが平均40%増
ビズリーチは2023年7月6日、職種・ポジション・業務のミッション・業務領域の4つの質問に答えると、AIが職務内容の文章を作る機能を開発したと発表しました。2023年4月20日〜6月23日に、アプリ(iOS)の会員を「使う」「使わない」にランダムに分けて比べました。機能を使って職務経歴書を更新した会員は、受け取ったスカウト(プラチナスカウト)が平均で40%多い結果でした。属性の違いを補正しても40〜46%多かったとしています。東京大学マーケットデザインセンターとの共同の評価です。
ウィルオブ・ワーク|派遣スタッフの相談をAIが受け、累計約400件の悩みを発見
経団連の報告書(2026年4月14日)は、人材サービス業のウィルオブ・ワークの事例を載せています。派遣スタッフは約2万人おり、営業担当だけで悩みに気づくのは難しい状況でした。そこで2025年から生成AIのチャット「ウィルキャリ」を使い、悩みを早く察知して、表現をやわらげて営業担当に知らせています。人事制度や個人情報の問い合わせにはAIが答えず、人事担当者に相談するよう促すなど、答える分野を絞っている点が特徴です。2025年12月時点で、累計約400件の悩みを見つけ、解消につなげたとしています。派遣の事例ですが、紹介会社の入社後のフォローにも通じる使い方です。
アイランド・ブレイン|1人で立ち上げた紹介事業で、推薦準備を約3時間→約1.5時間
中小の事例として、支援会社のSalesDockが2026年10月6日に発表したものです。名古屋で営業代行を中心に手がけるアイランド・ブレイン(従業員30名)は、人材紹介事業「納得キャリアエージェント」を、予算ゼロ・取締役1人で立ち上げました。AIを使ったのは、集客、面談の準備、面談の録画からの職務経歴書づくり、応募先ごとの自己PRの調整と推薦文の下書きです。求職者1人あたりの推薦準備(面談から書類を整えて推薦するまで)は、約3時間から約1.5時間になったとしています。Indeed向けの求人原稿は半月で約150件作り、立ち上げから約1か月で動き出したとしています。
人材紹介で使えるプロンプト5選
そのまま貼り付けて使える指示文です。[ ]の中を自社の内容に置き換えてください。求職者の名前は「Aさん」とし、連絡先・住所・生年月日は入れずに試すのが基本です。使う前に、入力した内容の扱いを確かめたAIサービスかどうかを社内で確認しておきます(リスクの章で説明します)。
①【面談】面談のメモ・文字起こしを面談記録に整える
面談の直後に、走り書きや文字起こしを社内の記録の形にそろえます。集めてはいけない話題を記録から外す指示を、最初から入れておくのがコツです。
②【推薦】求人の要件と経歴を突き合わせて、推薦文の下書きを作る
推薦文で一番起きやすいのは、AIが経歴をそれらしく「盛る」ことです。経歴のどの事実が要件に当たるかを並べさせ、合わない所も書かせます。
③【求人の受付】企業へのヒアリングメモから求人票の下書きと確認事項を作る
求人票は、求職者に示す労働条件の項目が決まっています。項目を指示文に書いておき、空いた所を「企業に確認」として出させます。
できあがった求人票は、企業から受け取った書面と照らしてから使います。確定した求人を複数の求人サイトや管理画面に登録・更新する事務まで減らしたい場合は、求人登録・更新の自動化支援の段階です。
④【求人紹介】求職者に求人を紹介するメールを作る
「なぜこの求人を勧めるのか」を希望条件と結びつけて書くと、求職者の返事が早くなります。合わない所も先に書かせます。
⑤【選考の調整】面接の評価メモを、社内の記録と求職者への連絡文に分ける
企業からの評価は、社内に残す内容と、求職者に伝える内容が違います。1つのメモから2つを作らせ、言い方だけを変えて意味は変えないようにします。
どの指示文でも、AIが作ったものは下書きです。経歴、労働条件、企業の評価は、必ず担当者が元の書類や本人の言葉と照らし合わせてから使ってください。
人材紹介×生成AIのリスクとガバナンスをどう設計するか
人材紹介で特に気をつけたい3つのリスク
- 求職者の個人情報の持ち出し:履歴書や面談の録音、企業から預かった非公開の求人を、会社が認めていないAIサービスに入れてしまう
- もっともらしい誇張と間違い:AIは経歴や労働条件を、それらしく書き足すことがある。そのまま出すと、求人の情報の「虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示」の禁止や、労働条件を「虚偽又は誇大な内容としない」という決まりに触れるおそれがある
- AIの点数で人を振り分ける:データの偏りが、推薦の順位や見送りにそのまま出る。職業紹介で差別的な扱いをしないことや、適性と能力で選ぶという公正な採用選考の考え方とぶつかる
求職者を点数にして企業に渡すことは、実際に問題になりました。就職情報サイトの運営会社が、学生のサイト上の閲覧履歴などから「内定を辞退する確率」を算出し、利用企業に提供していたサービスです。個人情報保護委員会は2019年8月26日と12月4日に勧告を行い、同意を得ないまま提供された人は合わせて26,060人としました。サービスを使った企業にも、利用目的の示し方などについて指導を行っています。求職者をAIで点数にするときは、何のために使うか、本人の同意があるかを先に確かめます。
法令・指針で確かめておくこと(原文の要旨)
| 決まり | 書いてあること(要旨) | AIを使うときの対策 |
|---|---|---|
| 職業安定法 第5条の4(求人等に関する情報の的確な表示) | 求人や求職者の情報を広告などで出すとき、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならない。職業紹介事業者は、情報を正確かつ最新に保つ措置をとる(定期的に最新か確かめる、または情報の時点を示す) | AIが書いた求人票や紹介文の条件を、企業の書面と照らしてから出す。掲載中の求人は、確認する日を決めて更新する |
| 職業安定法 第5条の5・指針 第5(求職者等の個人情報の取扱い) | 業務の目的に必要な範囲で、目的を明らかにして集め、その範囲で保管・使用する。次の情報は集めてはならない:人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況。特別な職業上の必要性がある場合などは除く。漏えいを防ぐ措置をとり、個人情報の適正管理の規程を作る | AIに入れる前に、これらの話題を記録から外す。使ってよいAIサービスを決め、利用目的の示し方と管理の規程を見直す |
| 職業安定法 第5条の3・指針 第3(労働条件等の明示) | 業務内容とその変更の範囲、契約期間、試用期間、就業場所とその変更の範囲、就業時間、賃金、加入保険、受動喫煙の防止措置などを書面などで示す。示すのは、原則として求職者と最初に接触する時点まで。虚偽又は誇大な内容としない | 求人票を下書きさせるときは、明示する項目を指示文に入れ、空欄は企業に確かめる |
| 職業安定法 第51条(秘密を守る義務等) | 職業紹介事業者とその従業者は、正当な理由なく、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。業務に関して知り得た個人情報を、みだりに他人に知らせてはならない(どちらも、従業者でなくなった後も同じ) | 外部のAIサービスに入れた情報が、学習に使われないか、どこに残るかを、設定と契約で確かめる |
| 職業安定法 第3条、厚生労働省「公正な採用選考の基本」 | 人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由に、職業紹介で差別的取扱を受けることがない。採用選考は、応募者の適性・能力に基づいた基準で行う | AIに推薦の可否や合否の見立てを決めさせない。性別・年齢などの属性を、AIの評価の材料にしない |
経団連の報告書は、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.1版)」をもとに、人事の場面での対応例を挙げています。採用・評価など影響の大きい判断で、AIの結果だけで不利益な扱いを決めない。採用・評価のAIに、性別・年齢などの属性情報を入力・学習させない。要配慮個人情報は入力しない。AIサービスの提供者によるデータの保存・二次利用の有無を事前に確かめる。使うAIツールを会社が指定したものに限る。採用でAIを使っていることを候補者に明示する。人事部門向けの内容ですが、紹介会社が自社のルールを作るときにもそのまま使えます。
社内ルールに入れたい5つのポイント
- 使ってよいAIサービス:会社が認めたサービスとアカウントだけを使う。入力した内容が学習に使われない設定を確かめる
- 入れてはいけない情報:指針で集めてはいけないとされる3つの事項、求職者の連絡先、企業から預かった非公開求人の社名などを具体的に書く
- 外に出す前に人が読む書類:推薦文、求人票、求職者と企業への連絡は、必ず担当者が元の書類と照らしてから出す
- AIに決めさせないこと:推薦するかどうか、どの求人を勧めるか、年収の交渉の数字
- 利用目的と相談先:求職者に示す個人情報の利用目的と、個人情報適正管理規程を見直す。間違えて情報を入れたときに、誰にすぐ伝えるかを決める
個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を入力するときの注意を呼びかけています。ルールの作り方全体は生成AIの社内ルールの作り方で解説しています。人材紹介では、これに職業安定法と指針の決まりを足して、A4用紙1枚にまとめるところから始めます。
人材紹介のための3段階導入ロードマップ
期間は目安です。会社の大きさや、面談記録がどれだけ文字になっているかで前後します。
段階1:面談記録と推薦文の下書きから始める(0〜3か月)
- 使ってよいAIサービス、入れてはいけない情報、人が確かめる書類を1枚のルールにまとめる。求職者に示す利用目的と個人情報適正管理規程も、このときに見直す
- キャリアアドバイザー1〜2人で、面談記録(プロンプト①)と推薦文(プロンプト②)の下書きを試す
- 試す前と後で、求職者1人あたりの推薦準備の時間を記録しておく
段階2:求人の受付・求人紹介・選考の調整へ広げる(3〜6か月)
- うまくいった指示文を、手順書と文例集にして社内で共有する
- 企業担当の求人票の下書き、求職者への求人紹介メール、面接の評価の整理(プロンプト③〜⑤)に広げる
- 使う人を増やす前に、社員向けの研修を行う。研修の内容や進め方によっては、国の助成金の対象になることがある(条件はAI研修に使える助成金で解説)
確定した求人を複数の掲載先に登録・更新する転記が多い会社は、この段階で求人登録・更新の自動化支援のような仕組みづくりを考えます。
段階3:AIエージェントで面談から推薦までを流れにする(6か月〜)
- 「面談の録音を送ると、面談記録と推薦文の下書きができ、担当者の確認待ちに届く」のように、いくつかの作業をつないだ仕組みをつくる
- 掲載中の求人について、企業に最新かどうかを確かめる連絡の下書きを、決まった日に自動で作る
- 月ごとに、推薦1件あたりの準備時間、書類選考の通過率、面談から推薦までの日数を確かめ、続ける・広げる・やめるを決める
シス学の場合
シス学(システム経営学)は、AIエージェントを活用し、会社を「儲かるシステム」につくり変える経営学です。株式会社むさしAI研修が提供しています。
シス学では、仕事を「作業・確認・判断」に分けて考えます。下書きや転記などの作業はAIが、AIの結果を確かめて例外に対応する確認は社員が、方針や最終の決定である判断は社長が受け持ちます。人材紹介の代表的な書類である推薦文に当てはめると、次のようになります。
| 任せ先 | 受け持つ仕事 | 推薦文での中身 |
|---|---|---|
| AI | 作業 | 面談記録と求人票から、要件と経歴の対応表と推薦文の下書きを作る。経歴にない所は「要確認」と書く |
| 社員(キャリアアドバイザー) | 確認 | 経歴の事実と照らし、誇張を削る。「要確認」を本人に聞いて埋め、送る前に本人に読んでもらう |
| 社長 | 判断 | 推薦文で書かないこと・盛らないことの基準を決める。基準に当てはまらない例外の推薦を、出すかどうか決める |
社長に集まっていた推薦文の手直しを、AIと社員に渡す。そのために、社長が推薦文を直すときに見ている点(要件との差の書き方、使わない言葉など)を、社員の確認の手順書に書き出しておきます。
人材紹介会社向けには、確定した求人情報を掲載先に合わせて整理し、登録・更新の事務を減らすお手伝いをしています。中身は求人登録・更新の自動化支援でご紹介しています。面談から推薦までのどこからAIに任せるかの順番づくり、職業安定法をふまえたルールづくり、社員向けのAI研修は、シス学 AIコンサルティングの中で一緒に進めます。月1回の定例ミーティング(90分)、月1回のオンライン壁打ち・相談会(60分)、月内のチャット相談が含まれます。
定例と壁打ちはオンラインで行い、全国に対応しています。料金は、対象の業務と体制をお聞きしたうえで、無料相談でご案内します。自社に合うかどうかも、まずは30分の無料相談からお伝えします。
まとめ:人材紹介×生成AIは「事実だけを整える下書き係」として、面談記録から始める
- 令和6年度、有料職業紹介の常用求人数は41.8%増、常用就職件数は5.3%増。扱う情報は成約よりずっと速く増え、就職1件の手数料は約103万円
- 生成AIは、面談記録、職務経歴書の素案、推薦文、求人票、求人紹介のメール、面接の評価の整理で使える
- 各社は、職務経歴書づくり2時間→30分(パーソルキャリア)、推薦準備 約3時間→約1.5時間(アイランド・ブレイン)などを公表している。数字はそのまま自社に当てはめない
- 職業安定法の的確表示(第5条の4)、個人情報(第5条の5と指針)、秘密を守る義務(第51条)、差別の禁止(第3条)を押さえる。そのうえで、集めてはいけない情報とAIに決めさせないことを先に決める
- 0〜3か月は面談記録と推薦文、3〜6か月で求人票・紹介メール・選考の調整へ、6か月〜でAIエージェントの流れにする。効果は数字で確かめる
まずは次の面談1件で、本人の同意を得て録音し、プロンプト①で面談記録を作ってみてください。いつもの書き方と、かかった時間を比べることが、自社に合う使い方を見つける一歩目になります。
よくある質問
小さな人材紹介会社でも、生成AIは使えますか?
使えます。大手のような専用の仕組みがなくても、面談記録や推薦文の下書きから始められます。取締役1人で立ち上げた紹介事業で、推薦準備を約3時間から約1.5時間にした事例も公表されています。ただし、経歴や労働条件は必ず人が元の書類と照らしてから使ってください。
求職者の履歴書や面談の録音を、AIに入れても大丈夫ですか?
会社が認めたAIサービスで、入力した情報が学習に使われないか、どこに残るかを確かめてから使います。職業安定法と指針では、目的の範囲で集めて使うことが定められています。本籍・出生地など社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想・信条、労働組合への加入状況は集めてはいけません。入れる前に、これらを記録から外してください。
AIに、推薦するかどうかや候補者の順位を決めさせてもよいですか?
決めさせないでください。職業安定法は職業紹介での差別的な取扱いを禁じ、厚生労働省は採用選考を適性と能力で行うよう求めています。AIは、要件と経歴の対応表や推薦文の下書きまでにとどめ、推薦の判断は担当者が行います。
人材紹介で、AIエージェントは何ができますか?
面談の文字起こし、面談記録づくり、希望に合う求人の候補出し、推薦文の下書きといった作業をつなぎ、担当者の確認待ちまで自動で進められます。企業や求職者に出す前に、必ず担当者が確かめる手順を組み込んでおくことが前提です。
AIで作った求人票や紹介メールで、気をつけることは何ですか?
職業安定法は、求人の情報に虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をすることを禁じ、正確で最新の内容に保つ措置を求めています。AIが条件を書き足したり丸めたりしていないかを企業の書面と照らし、年齢や性別を限る表現がないかを確かめてから出します。



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